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日本の写真史から紐解く写真の未来 〜SWITCH最新号より〜

こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。

2024年5月20日、スイッチ・パブリッシングより雑誌『SWITCH Vol.42 No.6 特集 LAST WALTZ 写真の夜明け、写真の果て』が発売されました。


目次と主な内容です

森山大道 最新撮り下ろし「逗子」
深瀬昌久 × 森山大道対談(1991年)
荒木経惟 病室の窓
篠山紀信 幸福な無名時代 沢渡朔/荒木経惟/立木義浩/操上和美/横尾忠則
今年の1月4日、篠山紀信が逝去した。篠山は今を生き、未来への予感を追いかけてシャッターを切り続けてきた同時代を生きた写真家であった。この一瞬を描くことに命を賭す。篠山の不在は、森山大道、荒木経惟ら同世代の写真家の今を想起させた。東京を物語として描いてきた写真家の教えを、全70ページに刻む。

Amazonより

今月号は写真特集です。

年明け早々に篠山紀信氏の訃報が流れ、大きなニュースとなりました。

また、ひとつ、時代が終わった、と思いましたが、そんな時代を、最前線で闘った写真家たちとともに振り返りつつ、写真の今と過去・未来を見つめるのが、最新の『SWITCH』誌です。

発売日に入手しましたので、早速、森山大道氏最新作が表紙になった『SWITCH』の表紙をめくります。

アラーキーの空の写真と共に、編集長・新井敏記氏からの冒頭のことば。坂本龍一、ポリーニ、ケンプ(共にピアニスト)の手の甲の記憶について。3人とも亡くなっているが、篠山紀信の死とリンクするように、亡くなった人を想うのは、今生きている我々にしかできないことを知ったような気持ちになりました。

写真家・佐内正史氏のコーナーでは、自販機の間に座る荒木経惟氏を撮ったスナップが。

巻頭特集は森山大道「逗子」です。85歳になられる森山氏は現在逗子にお住まいですが、まだ現役で街を撮り歩いています。現在進行形の写真が見られるのは「今」ということを忘れてはなりません。長者ヶ崎の海は静かに時間を刻んでいます。

続いては、映画プロデューサの石井朋彦氏が、森山氏が世界へ羽ばたく要因ともなった1999年のサンフランシスコでの写真展で上映されたスライド・ポジフィルムを軸に、森山氏がどう世界に受け入れられたのか、そしてこのフィルムが、特殊な印刷が施された写真集として生まれ変わり、パリフォトで紹介される話を披露しています。

1991年の深瀬昌久氏と森山氏の対談は、1960〜70年代の自身と写真界を振り返る対談ですが、ポイントは欄外のキーワードの説明です。機関紙『ロッコール』から始まり、「豚を殺せ」、「VIVO」、森英恵、「プロヴォーク」、「凶区」など対談の中に出てくるワードを的確にサポートしています。2人の対談から、あの時代の写真を取り巻く空気感がヒシヒシと伝わってきます。

同じ時代を生きた荒木経惟は、リハビリ中とのことですが、病室の窓から見た東京に向けてシャッターを切っています。

「篠山紀信 幸福な無名時代」と名付けられたメイン企画では、沢渡朔氏、荒木経惟氏らのインタビューや、当時の記事を振り返り、篠山紀信氏を深く見つめ直しています。

そして、他にも楽しいページがたくさんありますが、来月号の予告(坂道白書ー坂道シリーズの想像術)のページをめくったらビックリしました。

あっ!中平卓馬だ!

赤いキャップを被って赤いジャンパーを着た中平さんが、眼鏡が反射して目線は見えないけれど、そこにいました。

そして、またページをめくると、

若き日の森山大道!

最後の最後に篠山紀信氏。

巻頭の佐内氏のコーナーのつづきだったんですね。コラムの最後に「アラっ子、しの字、もりやん、中平さん」の文字が、なんだか涙を誘います。

時代は常に回り続けるし、また繰り返すし、もう二度と戻れないし、流されるがまま、どこに行くかもわからない。

まだ深く読み込めていませんが、今月号の『SWITH』は、写真の今、過去・未来を、写真が担ってきたもの、写真家が命を削って伝えてきたものを見せてくれる素晴らしい1冊です。

もしよかったら、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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