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新しい学校のリーダーズ、圧巻の「コーチェラ」出演に学ぶ、言語を超える音楽の力

世界最大級の音楽フェスとして知られる「コーチェラ」ですが、今年はたくさんの日本人アーティストが出演したことが日本でも大きな話題になりました。

今年は、新しい学校のリーダーズにYOASOBI、そして初音ミクと3組の日本人アーティストが単独のステージに出演。
さらに第1週目には88risingが企画したステージに、新しい学校のリーダーズとYOASOBIに加えて、Number_iやAwichさんも出演したことは日本のメディアでも多数取り上げられていましたので目にした方も多いはずです。

その中でも、「コーチェラ」の会場で最も大きなインパクトを与えたグループとしてご紹介したいのが、新しい学校のリーダーズです。
 

2週連続、ステージの大トリを務める

なにしろ、新しい学校のリーダーズが担当したのは「コーチェラ」の6つあるステージの中の一つ「Gobi」における大トリ。

しかも1週目のパフォーマンスが評判を呼んで2週目の出演では、観客席を覆う巨大なテントに収まりきれないほどの大勢の観衆が集まる結果になっていたそうです。

しかも、新しい学校のリーダーズのステージで印象的なのは、米国でのパフォーマンスであるにもかかわらず、楽曲自体は日本語という点です。
実は新しい学校のリーダーズは、日本語楽曲で世界に挑戦し、既に世界中のファンを魅了し始めているのです。
 

日本よりも海外で先に成功

新しい学校のリーダーズは、日本では昨年「オトナブルー」と首振りダンスが大ヒットし、「新しい学校のリーダーズ / 首振りダンス」が昨年の流行語大賞も受賞したことが記憶に新しい方も多いでしょう。

その関係で日本では、新しい学校のリーダーズが、昨年いきなりブレイクしたアーティストと認識している人が少なくないようです。
ただ、実際には「オトナブルー」がリリースされたのは、4年前の2020年のことなのです。

この2020年に、新しい学校のリーダーズは、米国を拠点とする音楽レーベルである「88rising」と契約し、2021年に「ATARASHII GAKKO!」という名義で世界デビューをして、日本よりも先に海外でファンを増やすことになります。

象徴的なのは、新しい学校のリーダーズが、88risingが米国で開催する音楽フェス「Head in the clouds」に毎年のように出演し、着実にファンを増やしていることでしょう。

新しい学校のリーダーズが所属するアソビシステム代表の中川さんが2023年にインタビューされた際の記事の言葉を借りると「本人たちのモチベーションや姿勢は、(結成した)8年前と何ら変わっていない。」とのことですので、結成した2015年から今まで、自分たちの音楽をやり続け、先に海外での成功を掴むことができたと言えます。

そうした彼女たちのこれまでの活躍が評価されたからこその、「コーチェラ」出演であり、初めての出演にしてステージの大トリを任せられるという快挙を成し遂げることができたとも言えるでしょう。
 

言語の壁を越えたステージ

実際に「コーチェラ」のステージ横から撮影された映像を見て頂ければ、いかに「コーチェラ」のファンの人たちが新しい学校のリーダーズに熱狂しているかがよく伝わってくると思います。

特に圧巻だったのは、メインボーカルのSUZUKAさんの様々な観客とのコミュニケーションでしょう。
曲間では「ATARASHII GAKKO!」「Arigato」などのコールアンドレスポンスが繰り広げられていましたし、パフォーマンスの最中にステージから観客席に降りてハグをするシーンもありました。

そこには明らかに言語の壁はありませんでした。

日本人が米国や英国の往年のポップスターやロックスターに対して熱狂していたのと同じように、「コーチェラ」に参加した様々な国籍の人たちが新しい学校のリーダーズに熱狂する姿がありました。

(出典:新しい学校のリーダーズ公式SNSアカウント)

永らく、日本の音楽業界では日本人アーティストが海外で成功するためには、英語の楽曲が必須であると考えられてきましたが、新しい学校のリーダーズは明確に日本語楽曲によって世界のスターへの道を上っていけることを証明してくれているのです。
 

世界で聴かれ始めている日本の音楽

今年の「コーチェラ」では、YOASOBIや初音ミクなど、他の出演者も同じように日本語楽曲で観客を熱狂させていました。

YouTubeや音楽ストリーミングサービスの普及により、世界で同時に様々なアーティストの楽曲を聴くことができる環境が整ったため、CDの時代に比べるとはるかに音楽が国境や言語の壁を越えやすい時代になっていることは間違いありません。

実はLUMINATEという調査会社のレポートによると、2023年は世界の音楽における日本語楽曲の割合が前年の1.3%から2.1%へ跳ね上がる結果になった年だったようです。

(出典:Luminate Year-End Music Report 2023)

こうした変化は、新しい学校のリーダーズやYOASOBIなどのアーティストが、日本語楽曲で世界中にファンを増やしてくれていることが影響しているのは間違いないでしょう。

振り返ってみると、昨年末の紅白歌合戦でYOASOBIとのコラボも行って話題になったNewJeansは、韓国語楽曲で世界中にファンを増やし、全米チャートで1位を獲得する快挙を成し遂げています。

また、米津玄師さんはアニメ「チェンソーマン」の主題歌である「KICK BACK」が史上初の全編日本語トラックとしてゴールド認定されるほど米国でヒットしたことにより、昨年全米レコード協会によって米国の今年を代表するアーティストに選ばれました。

そういう意味では、既に音楽が言語を超えて世界でヒットするという事例は新しい学校のリーダーズやYOASOBI以外にも多数現れているのです。
 

日本の音楽業界にとってのターニングポイント

今年はNumber_iやAwichさん、そしてゆりやんレトリィバァさんなどの「Bad Bitch 美学」のメンバーも、新しい学校のリーダーズとともに「コーチェラ」のステージを経験することになりましたし、間違いなく日本語楽曲でのパフォーマンスの手応えを感じていたはずです。

また、さらに多くの日本のアーティストや音楽関係者が、新しい学校のリーダーズが2021年から日本語楽曲で世界のファンを増やし続けていた事実と凄みを目の当たりにしたはずです。

(出典:新しい学校のリーダーズ公式SNSアカウント)

この事実を目の前にして、もはや誰も「日本の音楽は世界に通用しない」とか「日本語楽曲は欧米では聴かれない」などと発言する人はいないはず。

日本の音楽業界が、「音楽には国境も言語の壁もない」ということを、全身で感じるきっかけになったことは間違いありません。

今回の「コーチェラ」をきっかけに、間違いなく日本のアーティストの世界挑戦は加速するはず。
今回の「コーチェラ」が、日本の音楽業界にとっての大きなターニングポイントになったと振り返る日を楽しみにしたいと思います。

この記事は2024年4月25日Yahooニュース寄稿記事の全文転載です。


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