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もう一つのラブストーリー①「再会」

「ちえ」と再会したのは、高校を卒業して5年目の同級会だった。

同級会がお開きになり、二次会に行く者、帰る者とそれぞれバラバラになりました。

そのタイミングを見計らって「ちえ」に声をかけた。

「〇〇さん、これからどうするの?」

「私は、車で来てるから帰るけど」

「車は、どこに止めてあるの?」

「市営駐車場だけど」

「じゃあ同じ方向だから一緒に行こう」 

久しぶりに見た「ちえ」は、眩しいほど綺麗になっていました。

こんな可愛い子が同じクラスにいたのに、なんで気づかなかったんだろう?

そう思うほど「ちえ」が可愛く見えた。

市営駐車場までの道筋で「ちえ」に「〇〇さんって彼氏いるの?」と聞いてみた。 

「彼氏?そんなのいないよ」

「やった」(心の声)

「〇〇さんって、そんなに可愛いのに彼氏いないんだあ···」

「七不思議だよね」

「おだてても何も出ないわよ」

「じゃあさあ、明日空いてる?」

「う~ん、空いてるけど···」

「じゃあ、映画に付き合ってくれない?」

「う~ん、良いけど···」

「やった」(心の声)

市営駐車場に到着すると「T君の家って遠いんだよね?」

「実家はね、今は、この近くにアパート借りてるんだ」

「ふ~ん、じゃあ私の車に乗ってく?」

「えっ、良いの?じゃあ送ってもらおかな」

「ちえ」の車の中で「〇〇さん家ってどこだっけ?」

「私の家は□□だけど···」

「□□かあ···。そっちの方は良く分からないなあ···。なにか目印になる建物とかある?」

「そうだね···。小学校ならあるけど」

「それって□□小学校?それなら分かるよ」

「じゃあ明日の10時に小学校の前で待ち合わせで良い?」

「うん、分かった」

「あ、俺のアパートね、次の信号を左に行ってくれる」

アパートに到着後、「ありがとう、明日もよろしくね」

「あっそうだ、ここからの帰り道って分かる?」

「あっ、分かんない···」

「アハハ、じゃあ分かるとこまで戻ろうか」

「ゴメンねT君」

「良いから良いから、そこを右に曲がって、もう一度右折して」

「あの信号を左折すると商店街の通りに出るんだけど」

「あっ、そこまで行けば分かるよ」

「じゃあ、俺、ここで降りるよ」

「ゴメンね、かえって遠回りさせちゃって」

「T君は、ここからどうして帰るの?」

「うん、走ってくよ、酔い覚ましにはちょうど良いから」
 
これが「ちえ」との再会でした。

高校3年生の時に、一緒のクラスになったものの、ほとんど喋った記憶がありません。

そんな「ちえ」を再会した当日にデートに誘うことに成功しました。

私は「ちえ」に一目惚れしてしまったのです。

                                                                   つづく




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