2035年までに実装されている漫画の便利な作画補助機能の話

漫画の製作ソフトとしてトップのシェアを誇るクリップスタジオペイント。
私も持っているこのソフトですが、以前にAIによる作画機能の搭載を発表したところ、漫画家からもイラストレーターからも猛反対を受けて計画を取りやめた事がありました。

「他人の絵柄を勝手に学習して色々なイラストを生成する」というのはさすがに問題があり、反対されて当然とも言えます。
しかしこれとは違い、「自分の絵柄を学習し、漫画などを作画する際に補助してくれる(作画時間の短縮になる)」というAI作画機能はおそらく今後10年以内にこのソフトか、あるいはライバルの漫画制作ソフトで実装されてしまうのではと思います。

特に威力を発揮するのが顔の作画です。

漫画は色々なキャラの顔を様々なアングルで描くわけですが、顔を構成する目や鼻や口の位置やサイズなどが安定せず、「同じキャラでもコマごとに顔が変わってしまう」という事で結構苦労している人は多いでしょう。

それを修正するために何度も顔を描き直して時間がかかってしまったり、あるいは途中で諦めてしまって後で自分の漫画を見返した時にコマごとに顔が違って絶望してしまったり。
締め切りがある連載漫画はわりと多くの漫画で同じキャラでもコマごとに顔のパーツバランスが変わってしまっていますよね。

でも2035年頃にはこの「顔の作画」というのはかなり時間がかからない作業になっています。
AIによる作画補助機能によって。

あらかじめ自分の絵柄で漫画に登場するキャラ達の顔を、それぞれ複数のアングルで作画するとそれをAIが学習します。
後は漫画の作画の時にキャラを選択してから顔の角度を指定すると、そのアングルの顔の作画を一瞬でやってくれるのです。(中間のアングルはAIが計算で生成する)

漫画の顔の作画行程でよくある「丸っぽいあたりを描いてから、目を通る横線と、顔の中心を通る縦線を描く」をやると、それで顔の角度をAIが理解して、指定したキャラの顔が1秒も経たずに自分の絵柄で描画されるという感じです。
しかも顔の頭部3DCGモデルみたいにリアルタイムでぐりぐりと角度の微調整も可能。拡大縮小も。
あとはAIにペン入れもまかせるもよし、描画された絵を下絵として自分でペン入れしていくもよし。

こういう機能が搭載されると、今まで顔の作画にかかっていた時間が大きく短縮されるようになります。

また表情についてはその都度自分で部分的に描き直しみたいになりますが、あらかじめ複数の表情(喜怒哀楽、その他)で学習させておくと、表情を指定すれば一瞬でその表情で作画してくれたり。
(表情は自分で描いた方がより多彩な表情になると思いますが)

一度この顔の作画補助機能を体験してしまうと、あまりにも快適すぎてもうこの機能無しでの作画は考えられなくなってしまうでしょう。
仕事で漫画を描いている人も、趣味やインディーズで漫画を描いている人も結構な時間短縮になり、その空いた時間で他の作画に力を入れたり、内容の強化に力を入れたり、あるいはヘビーな漫画制作の仕事の休憩や睡眠時間を増やせるという。

もちろん「漫画はコマごとに四苦八苦して顔を描いていくのが良い」と思う人もいるでしょうが、そういう人も全部のコマはともかく一部のコマはこの顔の作画補助機能で作画時間は短縮しても良いのではと思います。


今回私が書いた事はセルシスさんがきちんと特許を取り開発してクリスタに実装するのなら良いのですが、ライバル会社が特許を取ってしまうとクリスタに搭載されないという悲惨な事になってしまう事があります。
だからセルシスさん関係者がもしこれを読んでいたら、速攻でこのアイデアの特許を取られたら良いのではと思います。
私はXをやっていないので、Xをやっている方はセルシスさんのアカウントにこの記事を知らせてみると良いかも?

あるいはどこかの開発会社がこの機能を開発し、プラグイン的に色々な企業に売り込めば、クリスタやメディパンペイント、その他色々な漫画制作ソフトで実装できるようになるでしょう。
その開発会社は今後ずっとこの機能のライセンス料金で手堅くずっと儲け続ける事になるのではと思います。

年々色々な機能が搭載されて便利になっていく漫画制作ソフトですが、今回私が書いた機能はおそらくこれから10年以内に実装されるようになるのではと思います。
こういう機能が実装されると、商業で漫画制作をされている方達のタイトなスケジュールももう少し緩和できるのではないでしょうか。

良い漫画を生み出してくれている人達が健康的に漫画制作の仕事を続けられる、そういう環境になって欲しいですね。


このような未来の話は以下の記事でも語っています。