<ゲームの売れ行きアップ方法>第9回:リリース時の価格も考える

 インディーゲーム開発者やパブリッシャー向けに「ゲームのクオリティアップや売れ行きを増やす方法」を解説していくシリーズ。

 第9回は「リリース時の価格も考える」です。

 

<ゲームの売れ行きアップ方法>第9回:リリース時の価格も考える


「開発にかなり年数がかかった」などで値段を高めに設定するインディーゲームも多いです。
 また、今は個々のインディーゲームの売れ行きは悪く、それでいてパブリッシャー側が各タイトルで行う作業は減るわけではないので、パブリッシャー側が取り分を増やそうとしたり、「もっと高い値段でリリースしましょう」とパブリッシャーからデベロッパーに提案するケースもあるでしょう。

 しかし、ユーザー側からすると「値段の高いインディーゲームは大きく購入意欲が落ちる」という厳然たる事実があります。
 開発者側からすれば「値段は高いがボリュームはきちんとある」と思っていても、ユーザー側からはボリュームはプレイするまでわかりません。
 また、大半のユーザーが「ゲームを多く持っているので買ったインディーゲームは実際は最後までプレイはしない事がわりと多い」ため、「ボリュームが多いから値段も高い」は実は通用しにくいのです。
 同じようなプレイ感が続いて途中で飽きる作品もわりと多く、ゲームによってはそんなプレイしないかもしれないものに大金は払えないのです。

 今はインディーゲームはセールが常態化していて、『名作インディーゲームのセール時の価格』とも比較されてしまいます。
 一つのハードで2000本以上のソフトが同時にセールとなる事ももう珍しくありません。
 switchやPSやxboxなどのCS機でも今は「同時期に2000本近くのソフトがセールされる」というのを頻繁にやっています。
 
 高い値段でリリースしたインディーゲームはそれでも成功している作品は少なからずあるものの、ほとんどが大きくこけています。
「これはフルプライスでも十分通用する」みたいな作品は3000円、4000円の値段設定でも売れているのも一部ありますが。

 最近はyoutuber達がリリース直後のゲームを紹介する事でそのゲームの知名度と売れ行きが大きく増えるケースがわりと多いです。
 高い値段のゲームでもパブリッシャー側からいろいろなyoutuberに無料でゲームのダウンロードコードを提供するなら良いのですが、全てのyoutuberに提供できるわけではありません。
 自分で買って紹介する場合、値段の高さで購入せず紹介しない人を多く生み出します。
 高い値段だとリリース後に紹介してくれる人を大きく減らし、知名度・売れ行きアップにかなりマイナスとなるのです。

 また、このような紹介動画を観て気に入っても、「値段が高すぎる」という理由で購入を断念するユーザーも多くなるでしょう。
 そういうユーザーは一応はウィッシュリストに入れておきますが、セールなどで安く買えるようになるまでにそのゲームに興味が無くなってしまう事もわりとあります。

 デベロッパーもパブリッシャーも「高い値段でのリリースはそれがかなり売れ行きにマイナスになる」という事を意識しましょう。
 3000円、4000円というインディーゲームとしては高い価格やもっと高い値段はよほど魅力のある作品でないと大きくこける事になりかねません。
 2000円前後の値段でのリリースの方が、大きく売れて結局収益が増えやすいと思います。
 小規模タイトルなら1000円以下にも。

 さらに、元の値段が高いソフトはセールの時に50%引きしても「他のセール中のインディーゲームと比べるとまだかなり高い」と思われてセールの時も売れ行きが悪くなります。

「値段が高い方が1本売れた時の利益が大きくなる」と言っても、その値段の高さで大きく売れ行きが落ちると、結局「安くリリースして数多く売った方が儲けという点でも知名度が増えるという点でも良かった」という事になります。

 実際に全世界でミリオン以上売れているインディーゲームの多くが2000円台の価格でリリースした上で、セールでも1500円やもっと安くして売れ行きと知名度を大きく増やすという事をしています。
 元が2000円台のゲームでもある程度開発費を回収した段階で700円以下のセールを繰り返して累計100万本以上の売り上げを叩きだしているソフトもあります。



 

このシリーズは私のnoteの「ゲームの売れ行きアップ方法」のマガジンで連載しています。
第1回から順番にお読みください。


次回は第10回「値引きセールの大切さ」です。
消費者はインディーゲームはセールの時に買うのに慣れすぎて、値引き無しだとあまり売れなくなっています。
セールを頻繁に、また適切な割引率で行うのは大切なのです。