個人での漫画制作における色々な背景のパターン
インディーズで漫画を描いたり、出版社を介さず自分で漫画をkindleとかで出している人の場合、背景作画にアシスタントさんを雇えず自分でなんとかする事が多いでしょう。
その背景のパターンも色々あるので列挙してみたいと思います。
<自分でしっかり描き込むケース>
丁寧に描き込む系の背景。
パース定規を使ったり、フリーハンドでも背景の細かい部分をしっかり描き込む系。
背景の作画コストがかなり上がるものの、見映えは良くなるでしょう。
背景の作画に時間がかかるからこそ、一部の背景は素材としてストックして別のコマや別の漫画でも使えるようにした方が良いのではと思います。
(その時の背景作画時間を減らせる事になる)
<簡略化した背景を自分で描くケース>
あえて細部は描きこまず、簡略した感じで背景を描いていくケース。
背景の作画時間を減らせるし、絵的に見やすくなる、温かみのある漫画にしやすいという利点もあります。
簡略化した背景はフリーハンドで線がまっすぐでなくてもなじむし、パースが狂っていても読者はそこまで気にしないという事も。
キャラの絵柄によっては簡略化した背景が似合わないという事もありますが。
<2Dの背景素材を使用>
市販の背景素材集やclip studio assetsみたいな素材投稿サイトで入手した背景素材(ベクター画像やラスター画像背景)を使うケース。
自分が普段描く背景の絵柄とマッチした背景素材が見つかれば大きな時短になるものの、絵柄にあわない背景素材はそのままでは使えないという事になります。
背景は描き込まない人が、ディテールまでしっかり描き込まれた背景素材を使う場合、「線を色々消去していく」というのでも自分の絵柄にあわせられる事があります。
「背景素材に色々描き込んで使う」の真逆の発想で、線を減らしてディテールを無くしていくのです。
線を減らすだけでなく、線と線の交差部分をわざと少し消して手描き感をアップさせたりも。
<3Dの背景素材で線画など制作>
3D素材で背景の線画などを作成するケースもあります。
この手のは「背景をしっかり描き込む系」の漫画にはあうのですが、フリーハンドで描いてたり、簡略化した背景を描いている人にはそのままではあいません。
ただ「3D素材を下絵として表示しながらフリーハンドや定規ツールであっさりした背景を描いてみる」という手段は使えるのではないでしょうか。
<写真を撮影してそれを元に加工して使う>
スマホなどで写真を撮影し、それをグレースケールや網点化して背景として使う方法。
グレースケールより線数の低い網点にした方が漫画絵になじみやすいように思います。網点だとモアレの問題もありますが。
また、こういう背景にベタや線を描き足して背景としてのクオリティを高めている漫画も見かけます。
<自然物などはブラシを使って手軽に描く>
木とか草やその他の自然系背景は今は色々なブラシで比較的楽に描けるようになっています。
自分でも時間がある時にブラシを作ってみたり。
<背景は描かず、背景効果的なトーンやエフェクトで埋める>
全部のコマできっちり背景を描いていくと、漫画として読みにくく感じる場合もあります。
あえて一部のコマでは背景は描かず、背景効果的なトーンやエフェクトで表現するコマも時々入れると漫画としてずいぶん読みやすくなるでしょう。
背景の作画時間も減らせます。
<時間がある時に背景素材を作ってはストックしていったり>
基本的に背景はコマにあわせてその都度考えて描いていきますが、あらかじめ空いた時間に「こういう背景素材が欲しい」と思ったやつを描いて素材としてストックしていったり。
漫画雑誌をペラペラとめくって見ていくと、「自分の漫画用にこういう背景素材が欲しい」みたいなのがわりと見つかると思います。
その際はアングルだけを参考にして、実際は一からデザインした背景を作って素材としてストックしていってはどうでしょうか。
アングル以外も真似ると後々問題になりかねないので注意。
<作った背景素材を売るという事も>
背景の絵柄にもよりますが、作った背景素材をclip studio assetsなどの素材販売サイトで有料素材として売ると、clippyやgoldを結構稼げるという事もあります。
そしてその稼いだ金で色々な背景素材を買う事で、背景の作画をずいぶん楽できるようになる事に。
ただ、「自分のclipIDが他の人にばれてしまう」という問題があります。
普段からclipIDを公開している人はともかく、ばれたら困るという人は自分の漫画でよく使う背景素材は売らない方が良いでしょう。
<エッセイ漫画やショート漫画の背景も素材としてストックしていったり?>
エッセイ漫画やショート漫画で背景をしっかり描いている人もいますが、それらのうち使いまわせそうな物は背景素材としてストックしていくと、将来読み切り作品とかを描く時に少し時短できるかもしれません。