シューティングゲーム開発者におすすめしたいアナザーバージョン商法の話

私は現在、インディーゲームを作っている人達にゲームの売れ行きアップやクオリティアップ方法を解説した記事をnoteで連載しています。

今回は番外編的な話として、「シューティングゲームを作っている個人や少人数のチーム、あるいは昔からSTGを作ってきた会社で、どうやってシューティングゲームの利益を増やすか?」について少し書いてみようと思います。

今回話す方法以外にもシューティングゲームの利益を増やす話もあるのですが、それはまた別の機会に。

<アナザーバージョン商法で二種類出して利益を増やす>

アーケードとか家庭用のシューティングでは、「同じSTGのアナザーバージョンを作る」みたいな事は昔からわりとやっていました。

たとえばアーケードのSTGだと日本国内版と海外版ではゲームバランスが結構違ったり、ゲームシステムやステージ構成、ボスの攻撃パターンが違う物もありました。

また、今現在steamやswitchで出ている蟲姫様や怒首領蜂大復活などは1本のソフトで異なるゲームシステムのバージョンが遊べるようになっています。
蟲姫様の場合はプレイ時に選択して弾幕系STGとして楽しめるし、非弾幕系STGとしても楽しめます。

こういうアナザーバージョンを使った売り方は比較的安く出すシューティングゲームでもやってみると、同じシューティングゲームを元に複数バリエーションのゲームを短い期間で作れて利益を増やす事ができます。

・ステージ構成やボスの攻撃パターンが異なるアナザーバージョン商法
・弾幕系と非弾幕系という風に、ゲームシステムが異なるアナザーバージョン商法
・グラフィックがゲームボーイ風とSFC風のアナザーバージョン商法

みたいに、色々なアナザーバージョン商法ができるでしょう。
「1本のソフトに異なるバージョンを入れる」ではなく、「異なるバージョンを同時に出す」(ソフト価格は安めにして)をやってみるのです。

蟲姫様みたいに、弾幕系として作り、その後に非弾幕系のSTGもそれを元に作り、その二つをそれぞれ安い値段で同時に出してみるとか。
<弾幕系バージョン> <高速弾系バージョン>みたいにそれぞれタイトルに付けて。

二つのバージョンが同時に出ると、「弾幕系は嫌いだ」という人でも高速弾系の方を買うようになるし、「弾幕系は好きだけど高速弾系は苦手」という人は弾幕系を買うでしょう。
どちらも楽しめる人はプレイ感が異なるので両方買ったり。

弾幕系シューティングを頑張って作っても、「弾幕系は好きになれない」という人は買ってくれないのですが、こうやって非弾幕系も別に出すとそういう層も取り込めます。

また、「ステージ構成やボスの攻撃パターンが異なる」みたいな同じゲームシステムのSTGでもプレイ感が異なるシューティングゲームが同時に二つ出たら、値段が安いなら両方買うという人も出てくるでしょう。

他にも異なるグラフィックでのアナザーバージョン商法もできます。

switchやsteamではヴェルゼウス(VERZEUS)やサンダーストライカーというゲームボーイ風のグラフィックのシューティングが出ています。
どちらもSTGとしては出来は良くおすすめなのですが、ゲームボーイ風の緑系モノトーングラフィックはそういうのが好きな人以外には受けが悪いように思います。
(私はゲームボーイ風グラフィックは好みですが)

しかしこのグラフィック部分だけをスーパーファミコンかゲームギアのようなもっと色数を使ったドット絵に変えたバージョンも別に出せば、そちらが結構売れるようになるのではないでしょうか。
ついでにステージ構成やボスの攻撃パターンも変えていれば、スーパーファミコン風版とゲームボーイ風版の両方を買うという人も出てくるでしょう。

こういう「アナザーバージョンを二つ同時に出す」という商法は、シューティングゲームを個人や少人数で開発している人達だけでなく、長年シューティングゲームを作ってきた会社も利益を増やすために検討してみてはどうでしょうか。

ただし、値段が安いシューティングでのみ取れる戦法です。
値段がそこそこするのに異なるバージョンが二つ出てしまうと、ユーザーレビューで「ソフトの値段がそこそこするんだから一本に全てのバージョンを収録しておけよ」と低評価レビューを書かれて売り上げ低下を招く事になるでしょう。