<ゲームの売れ行きアップ方法>第26回:視認性の悪さも評価を落とし売り上げを減らしてしまう

 インディーゲーム開発者やパブリッシャー向けに「ゲームのクオリティアップや売れ行きを増やす方法」を解説していくシリーズ。

 第26回は「視認性の悪さも評価を落とし売り上げを減らしてしまう」です。

 

<ゲームの売れ行きアップ方法>第26回:視認性の悪さも評価を落とし売り上げを減らしてしまう>


 視認性の悪いゲームはプレイ時にそれがストレスになって楽しい気持ちを阻害し、結局ストアで書かれるユーザーレビューでも評価が悪くなり、ゲームの売り上げにもずいぶんと影響してきます。

 たとえばシューティングゲームでは3Dベースのグラフィックでは敵の弾を半透明表現するのもわりとありますが、半透明弾は背景と混ざって視認性が結構悪化し、「敵の弾が見にくくなっていつの間にか被弾しやすく、そのイライラで楽しい気持ちを大きく低下させてしまう」という事はよくあります。
 ユーザーレビューでも「敵の弾が見にくい」と書かれているシューティングゲームを時々見かけるでしょう。
 3D系のグラフィックのシューティングでも敵の弾は旧来と同じく不透明でしっかり見えやすくするか、敵の弾の輪郭に厚めの強調エフェクトを付けるなどすると視認性が良くなるでしょう。

 また、2Dドット絵でシューティングがよく作られていた時は、「遠景は明度を落としたり、手前の背景レイヤー(自機とぶつかる地形レイヤー)とは色相をずらしたりして、遠景が目立たないようにした」という工夫をしているゲームもわりとありました。
 3Dグラフィックで縦や横スクロールシューティングを作る時にこの鉄則を忘れて遠景が自己主張しすぎる(結果として敵の弾がよけにくくなって楽しさが薄れる)シューティングも時々あります。

 「遠景はそれより手前の背景レイヤーより目立たないようにする」というのはシューティングだけでなく、サイドビューの2Dや3Dグラフィックのアクションゲームでも同じく考慮しておくべきです。
 遠景はあえて明度を落としたり、空気遠近法的に色を薄くしたり、色相を手前の背景レイヤーよりずらしたり。
 
 また、遠景の描画を細かく描きすぎでも遠景が自己主張しすぎてキャラが背景に埋もれたように見えて視認性を大きく悪化させたりもします。
 これはプレイ時に余計なストレスを増やすだけでなく、「遠景の書き込みを頑張りすぎるとそれだけ制作期間、コストが無駄に増えてしまう」という大きなデメリットもあります。
 
 昔のゲームでは「夜のシーンでは遠景の木や植物はあえてシルエット風表現にした」というゲームもわりとあります。これは視認性を良くすると同時に制作コストを抑える効果もあったのです。

 SFCやPCエンジン、メガドラ、あの頃のアーケードゲームなどの昔の2Dアクションゲームでは「遠景を目立たなくさせる作画」「制作コストを抑える作画」を色々学べますので、youtubeなどで昔のゲームのプレイ動画をよく観てみると良いでしょう。
 インディーゲームでは時々「そこはあえて簡略化した方が良い」のに、ものすごい背景を描きこんでしまって、かえって見にくくなってプレイ時の気持ち良さを阻害している作品も時々あります。
 静止画や動画では美しいグラフィックに見えても自分でプレイするとどうも視認性が悪くてプレイ感が悪いというのが。

 ゲーム制作をある程度長くしてきた人なら今回書いた事は鉄則として知っているべき事なのですが、ゲーム制作をあまりした事がない人や、「グラフィックを作る事」には慣れても「ゲームに適したグラフィックデザインにする事」には慣れていない人がこの大きな失敗をやりがちです。

 ゲームプレイ時の快適さを阻害するようなグラフィックデザインをするとプレイ時にユーザーにストレスを与えてしまい、ストアで書かれるユーザーレビューでも悪い評価になりやすく売り上げにも悪い影響が出てきますので注意してください。

 背景のグラフィックを描きこみすぎると画面内の情報量が多くなり、「プレイしていてなんだか脳が疲れてしまう」という現象も起こします。
 脳が疲れやすいゲームはプレイ時の楽しさも感じにくくなるのです。 

 
 

このシリーズは私のnoteの「ゲームの売れ行きアップ方法」のマガジンで連載しています。
第1回から順番にお読みください。


次回は第27回「暗すぎる画面、小さすぎる文字の弊害」です。
画面が暗すぎる、文字が小さすぎるなども視認性を悪くさせ、プレイヤーにストレスを与えてゲームの楽しさを奪い、また評価が低くなって売れ行きも悪化してしまいます。