<ゲームの売れ行きアップ方法>第37回:パブリッシャーとの契約について
インディーゲーム開発者やパブリッシャー向けに「ゲームのクオリティアップや売れ行きを増やす方法」を解説していくシリーズ。
第37回は「パブリッシャーとの契約について」です。
<ゲームの売れ行きアップ方法>第37回:パブリッシャーとの契約について>
インディーゲームの多くがパブリッシャーと契約してリリースする事になっています。
そのパブリッシャーについては、できれば国内の知名度や実績のあるパブリッシャーか、海外でもやはり有名パブリッシャーと契約するのをおすすめします。
よくわからないパブリッシャーと契約してしまうと、契約時にきちんと書類を確認しておかないとIP(ゲームソフトの権利)を奪われる契約になってしまっている事もあります。
デベロッパーへの分配額がひどいという契約になっていたりも。
また、販売本数を偽って実際より少ない販売本数データをデベロッパーに伝えて中抜きして稼ぎを増やすというひどいパブリッシャー(当然違法)に当たる場合もあります。
パブリッシャーではなく担当が中抜きしていたりも。(横領)
パブリッシャー業務を長年やっていたところならともかく、「会社としては有名だがパブリッシャー業務はやり始めたばかり」みたいな所は契約内容がデベロッパーを軽視しているような物でないかどうかきちんと確認する必要があります。
自分で確認するだけでなく、法律の専門家にも契約書類を見てもらったり。
「インディーゲームのパブリッシャー事業で会社の儲けを増やそう」と安易に考えて参入してくる大手や中小も多く、その皺寄せをデベロッパーが受ける事があります。
パブリッシャーの中にはあまり宣伝効果が無い事にお金を平気で無駄使いしたり、「アニメーションをストア用のPVに入れましょう」みたいに言ってきて、無駄にPVの製作コストを大きく増やそうとする事もあります。
このシリーズで以前にも書いたように、ストア用PVに金のかかるアニメを入れてもそれでゲームソフトの売れ行きが大きく増える事はありません。
また、ゲーム内にパブリッシャーから用意されたイラストレーターの絵を入れさせようとしてくる場合もありますが、それはできれば断っておいた方が良いと思います。(あるいはパブリッシャー介さず直接イラストレーターと契約する)
何らかの理由でパブリッシャーと関係が悪化して自社IPを引き上げて別のパブリッシャーから出し直す場合、そのゲーム内イラストを変更するはめになり、手間がかかるし元のイラストのが好きだった人から色々文句を言われる事もあります。
出し直しの場合はパブリッシャー変更前のはストアから消しても、そっちも再ダウンロードはできるままになるでしょうが、以前のキャライラストが色々なサイトに残り続けるとイラストを差し替えた後の新しいのを買った人から「キャラの絵が違う」というクレームが付きやすい。
パブリッシャーの経営状況についてはデベロッパー側はあまりきちんと確認できません。
もしソフトを預けていたパブリッシャーが倒産などした場合は、デベロッパーは他のパブリッシャーへソフトの販売権を移す前に債権者との権利関係で色々揉める事になってしまう事があります。
販売権も債権の一部と認識されて、「債権者側が販売権の移管は認めない」みたいにトラブルになったり。
またその際に「IPを奪われる」みたいな契約を債権者がしてこようとする場合もあり、それには絶対判を押さないようにしてください。
ロイヤリティとかの契約内容は個々のソフトごとに変わってきますが、そういう話は守秘義務契約で明らかにしてはいけません。
酒の席でも契約内容の一部を他人に話すと、それが元でパブリッシャーと関係が悪化してソフトの販売を停止されたり、パブリッシャーのイメージ悪化などで民事の損害賠償訴訟に発展する場合もありますので、パブリッシャーと契約している内容の公開はやめておきましょう。
パブリッシャーに何か不満があってもSNSなどで文句を言ってはいけません。
「理不尽な目にあったから炎上させる」みたいに思ってSNSで内情を暴露したい気持ちもわからないではないですが、かなり面倒な事態に発展してしまいます。
パブリッシャーと一緒に仕事をすると、色々な事でストレスが溜まる事もあるかもしれませんが、仕事というのは大抵そういうものだと思ってあまり気にしないでください。
「こうして欲しい」「こうするべき」という気持ちが強いほど、パブリッシャー側が思い通りに動いてくれなかった時にストレスが増えてしまいます。
このシリーズは私のnoteの「ゲームの売れ行きアップ方法」のマガジンで連載しています。
第1回から順番にお読みください。
次回は第38回「パブリッシャー側が意識すべきこと」です。
大ヒットしたり、長く売れ続けるソフトをリリースできるとパブリッシャー的にも儲けが増える事になります。
そういう良作ソフトを開発するデベロッパーをきちんと捕まえるためにはパブリッシャーはどういう点に気をつけるべきかを解説します。