漫画の売れ行きを増やすためにどうやって購入のハードルを下げていくか?

雑誌や漫画アプリで漫画を連載中の人も、kindleで出版社を介さず自分で漫画を有料で販売している人も、「自分の漫画がなかなか売れない……」という事で悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

今は漫画に限った話ではなくゲームとか音楽とかその他の物もコンテンツがあまりにも増えすぎて、個々の作品はなかなか売れない厳しい時代です。
作品の売れ行きを増やす方法を日頃から真面目に考えていないと生き残れません。

最近は雑誌だったり漫画アプリで週に何十種類もの漫画を読んでいる人が多く、そういう人達は使える小遣いに限りがあるのでその中の一部の漫画のコミックだけを買うという風になっています。
自分の漫画がそういうコミックを買ってもらえる漫画の中に入るには、色々な手段で購入のハードルを下げていくというのが大事です。

内容的には過去に語ってきた事も交えつつ、その購入のハードル下げの方法を一つ一つ解説していきたいと思います。

<SNSで作者への親近感や好感度が上がっていくとコミック購入のハードルが下がっていく>

以前にも

という過去の記事でも書いた通り、noteやその他のSNSで作者が親近感を抱かせたり好感度を上げる内容の記事やコミックエッセイを投稿していくと、それによって読者は「この漫画家を応援したい」とか「この人の漫画を読んでみよう」という気持ちになっていきます。

コミックエッセイはXの方がリポストで拡散されやすいですが、noteの方はまとめて次々とコミックエッセイを読めてより親近感や好感度を高めやすいので、Xとnoteの両方で公開していくと良いでしょう。

またコミックエッセイの方が効果が高いですが、手軽に書ける文章での記事でも好感度や親近感アップにつながります。
たとえば、あまねりつか(前田英紀)さんのnoteの記事もかなり好感度や親近感アップになっていると思います。
私は前田さんの記事を色々みて、好感度が上がっていって彼の漫画をいくつかkindleで買ったり。

「好感度の上昇によって物の売れ行きが良くなっていく」というのは漫画に限らず色々な商売に共通する商売繁盛の基本とも言えます。
だからこそお店もメーカーも売り上げを伸ばすために好感度アップに力を入れています。

最近は色々な漫画家がSNSでコメントをしていますが、好感度が下がるようなコメントをついしてしまうとコミックの売れ行き低下を引き起こすので注意しましょう。

<コミックの値段を買いやすくする>

紙の単行本も同時に出している場合は難しいかもしれませんが、電子書籍しか出していなくて自分で価格を決定できる場合はコミックの値段は比較的買いやすい価格に設定した方が売れ行きが増えます。

今は普通のコミックがどんどん値段が上がっていき、「ここまで高くなると買いにくい」と思っている人も増えてきています。物価高で可処分所得が減っている事もあるし。
逆に買いやすい値段にすると他の漫画が高くなっているからこそ、より目立って購入のハードルも下がっていきます。

コミックの値段を下げると一冊あたりの利益は減るものの売れ行きも増えるので、全体としては利益はそんな変わらないか、むしろ増えるという事も。
インディーゲームとかも値引きセールの時に一気に売れ行きが増えて、通常価格で売っている時より何倍も売れて利益が増えたりしています。

また、紙の本も出している漫画でも電子書籍版だけをセールで安く売って一気に読者を増やそうという事も、最近の出版社は時々やり出すようになっています。

「他と同じような値段で売る」だと他の漫画の中に埋没しやすくなります。
「他の漫画よりお得な価格(安い価格)で売る」をやると心理的にも購入のハードルを下げる効果があります。

複数巻で構成される漫画は一巻あたりの値段が安くなると「これならこのシリーズを買っていってみよう」と思ったり。


<kindle unlimitedでも読めるようにしてみる>

全巻はともかく最初の数巻だけでもkindle unlimitedでいつでも試し読みできるようになると、知らなかった漫画でもその試し読みでキャラや作風が気に入りコミックを買ってくれるようになるというのもあります。

内容を知らない漫画をいきなり買うというのは購入のハードルが高いですが、kindle unlimitedで試し読みできるようになるとそのハードルを下げる事になります。
また、kindle unlimitedではページビュー数によりいくらかお金が入って来るというのもあります。
今現在は一ページあたり0.5円と言われています。この数値は将来下がっていく可能性もありますが。


<kindleインディーズ版も出して作品にはまる人を増やす>

余力があるなら、本編は有料販売しつつ、無料で入手できるkindleインディーズ版も出し、そちらでは漫画内に登場するキャラ達のおまけエピソード集やショート漫画を集めた内容にする、みたいにしてみるのも良いでしょう。
kindleインディーズは無料で入手できるというだけあって、かなりダウンロードされる場合もあります。

kindle インディーズ版も有料版同様しっかり描き込むと大変なので、インディーズ版の方はややラフな絵でも大丈夫だと思います。

連載形式の漫画はストーリー的に一部のキャラの登場が無くなってしまう事が多く、インディーズ版でそういうキャラ達が登場するおまけ漫画を展開するとそのキャラのファンは喜ぶでしょう。

またインディーズ版でセクシーやカッコ良い、萌えるなどキャラにはまるシーンがあるショート漫画を掲載すると、それでキャラに興味を持って本編の有料版を読む人を増やす効果もあるでしょう。

kindleインディーズでまとめて出す前にそういうショート作品はnoteやXなどでも公開していくと、フォロワー数稼ぎや作品の知名度アップにもなります。


<キャラクターの魅力でコミックを買わせる>

以前上記記事でも解説しましたが、読者は漫画内に登場するいずれかのキャラクターにはまると、コミック購入のハードルが一気に下がる事になります。(下がるどころかハードルが一気に消滅する)

昔から「キャラクターが魅力的な作品ほど漫画が売れやすくなる」というのは出版社や漫画家も良くわかっていて、だからこそ今は亡き小池一夫さんも劇画村塾などの漫画制作指導や技法書で「売れるためにはキャラクターの魅力をいかに引き出すのが大事か」というのを繰り返し解説していました。
「ストーリーも大事だが、それ以上に魅力あるキャラ作りに力を入れろ」と。

漫画によってはストーリーを進めるためのコマだけにキャラがなっている事もわりとありますが、そういう漫画では読者はキャラにはまりにくいです。
漫画内で読者がキャラにはまってしまうようなシーンを意識して色々入れていくのをおすすめします。

あなたの漫画のキャラに読者が恋したら、もうその時点で「この漫画のコミックを買わないという選択肢は無い」という状況にできます。

また扉絵でも魅力的にキャラを描くと、それによってキャラにはまる人もいるでしょう。

雑誌とかで連載している漫画の場合、普段読まない漫画でも扉絵を目にする事はよくあります。
その扉絵で自分好みのキャラの絵があると、「このキャラ良いな。この漫画を読んでみよう」という気にさせられます。

<おまけイラストをSNSで投稿し続けてキャラに興味を持ってもらう>


空いた時間に自分の漫画に登場するキャラ達のおまけのラフイラストを描いてXやnoteなどのSNSにコツコツと投稿していく事でも、漫画を読んだ事がない人がそのイラストを見てキャラに興味を持ち、漫画を読むようになってキャラにはまる(そしてコミックを買うようになる)という流れに持っていく事もできます。

また、そのおまけイラストは扉絵や表紙絵の元にしたり、ある程度量がたまったらラフイラスト集としてまとめたのをkindleで安く売って収益を増やしたりも。

kindleインディーズは無料で配れますが、漫画でないと駄目なので絵ばかりのラフイラスト集はNGだと思います。
先ほど解説したkindleインディーズ版にラフイラストを混ぜて配布するというならokだと思いますが。


<脳が気持ち良くなる漫画を目指す>

人間というのは「脳が気持ち良くなる物には自分からお金を払いたくなる」という性質があります。
またより強く気持ち良くさせる漫画になっているほど購入のハードルは下がっていきます。

でも解説したように、脳が気持ち良くなる要素を漫画の中にいくつも意識して入れていく事は、コミックの購入ハードルを大きく下げる事につながります。

<知名度アップのために漫画のコマやページの転載の許可をする>


上記記事でも解説したように、他の人がネタバレ部分以外のコマやページ画像を自由に転載できるようになると、それによってあなたの漫画がより多くの人に知られてコミックの売れ行きを増やす効果があります。

文章や表紙絵だけで漫画を紹介されるより、実際の漫画のコマやページ画像も一緒に掲載された方がそれを目にした人はより強くその漫画に興味を持つようになるのです。

他の人があなたの漫画をSNSや動画で紹介しやすくなるよう、条件付きでコマやページ画像の転載は許可する事を漫画の巻末に記載するのをおすすめします。

<強く感動させてみる>

読者をしっかり感動させる漫画というのは実際はなかなか作るのが難しい物ですが、深く感動させた作品というのは「コミックを買ってまた読み返したい」と強く思わせてくれます。

以前記事にした

このあやかし堂のホウライという漫画も全三巻で終わる作品ながら、二巻と三巻では読者の心を強く揺り動かすシーンがありました。
私も最近読み返したのですが、危うくまたもや泣きそうになりました。
それくらい感動させる力が強い素晴らしい漫画です。

この漫画は今は漫画アプリなどで全話読めるようにすると、「読んですごい感動した。コミックを買って今後の人生で繰り返し読み返したい」と思う人が結構出て、電子書籍版の売れ行きがずいぶん増えるのではと思います。
全三巻なので比較的一気買いしやすい価格にもなっているし。

「笑わせる」、「スリルを感じさせる」、「ほっとさせる」など漫画には色々な楽しみがありますが、その中に「感動させる」も混じっている漫画はやはり読者の印象に強く残ります。
そして強く感動させる作品になっていると「コミックを買ってまた読み返したい」と思わせてくれます。

感動というのは漫画に限らず音楽とか映画とかでも売れ行きを増やすために大事な要素だと思います。


上記のような感じで「購入のハードルが下がっていく事」をいくつもやっていくと、あなたの漫画の売れ行きも増えていくでしょう。
今はどの業界も本当に競争が厳しすぎて物が売れない時代です。
売れ行きを増やす方法は積極的にやるべきで、良かったらこの記事を参考にして頑張ってみてください。