【無料公開】女の子たちのキャンプ地。

 今朝みた夢の中でわたしは、元夫の首ねっこをチョークして、あるいは腕ひしぎ、みたいに掴まえて(つまり逃げないように押さえつけて、ということなのだろうけど)、えらい勢いで説教してた。体格的にも筋肉的にも、現実にはそんなこと不可能なのだけど。何でこんな夢みたかな、と思った。

 わたしは「お前はわたしに謝ったのか!」とか「何が悪かったかわかってるのか!」とか叱りつけてた。「このままだとまた繰り返すぞ!」とも言ってた。

 元夫の家から逃げてきたばかりの頃は、元夫不在の家にいて自分の停めた車が見つからないかどきどきしている夢や、元夫不在の店にいて何か用事を済まそうとしている夢や、そういう感じの夢だったから、いろいろ自分も変わったんだろうなと思った。あれからもう少しで6年経つ。

 でももしかすると、あれはわたしが元夫に言いたい、あるいは言いたかったことではなかったのかもしれないなと思う。目が覚めてから考えてみたけど、今さら元夫に謝らせたいという気もあんまりなかったし、彼はまあ繰り返したし、最終的には失踪しちゃって、帰ってきたのやらどこか余所の地にいるのやら、そしてそこらへんももうどうでもよかったりするのだ。

 なんとなく、わたしは、わたしも含めわたしの相談者さんたちも含め、それらの女の子たちの「夫たち」、そう、集合名詞っぽい感じのそれら「夫たち」に、「お前らちゃんと謝ったのか!」「何が悪かったかわかってるのか!」「このままだとまた繰り返すぞ!」と叱りつけたいのかもしれない。その集合名詞は夫だけではなく交際相手かもしれないし、親をはじめとする家族かもしれないし、教師や上司や有力者、わたしたちに対し権力を持ち力を行使してくる、あらゆる存在の集合名詞なのかもしれないけど。女の子たちは前に進むが、権力を持つ者たちはその権力がゆえに、大抵変われないままだ。

 夢の中の場所は、何か女の子たちのキャンプ地のような、わたしの家でも元夫の家でもないところだった。誰とも思い出せない、夢の中の友達のような女の子たちが、たくさんいた。誰かが「もー思いっきりやってやった!すっきりした!」と朗らかに笑っていた。サバイブした女の子たちのキャンプ地。わたしは、シスターフッド、という言葉がだいすきだ。

(2021年2月)

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