tokkodo/とっこうどう

古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

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マガジン

  • ちょっとだけ明治はじまり雑学集

    いま身の回りにある、あんな物もこんな言葉も、すべては明治時代に原点がありました!当ブログ連載中にちょっとだけ紹介した雑学を一挙に集めてみました!

  • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!

    この国に「小説」を根付かせる!では一体「小説」とは何なのか!「小説」の性質と意義を理論的に紹介したのが坪内逍遥の『小説神髄』です!近代文学を読む上で避けては通れない理論書をはたして読破できるのか、挑戦しました!

  • 『中国小説史略』読書奮闘記

    「小説」という語源の『荘子』から20世紀に至るまで、中国小説の歴史を初めて学問的にまとめたのは小説家の魯迅でした!「小説って、なんで小説なんだ?」という疑問から始まった魯迅の『中国小説史略』の読書日記です!

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こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。 古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、それなら新刊書店の店員でも図書館の職員でもよかったわけですが、なぜか古本屋の店主になってしまいました。 思い返してみると、ぼ

    • #1378 暖炉の前の椅子で首をうなだれるしんじあ

      それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 しんじあという人は、明けても暮れても祈禱と説教にただ一筋に働く男です。恋を知らずば神を知らじ、神を知らずば恋を知らざらん。恋のはじめは神と人とに起こり、小さく説けば親と子の間に起こる。この心を長じて、男女を、国家を、天下を、後世を恋うまでも伸ばす者です。キリストも釈迦も真に恋しり、情けしりである。その流れを汲みながら心得ぬしんじあの恋しらず、るびなを恋う心なければ天下の女を、男を恋う心どこか

      • #1377 甘味ばかりで料理はならず、直線のみで絵はかけず

        それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 しんじあという人は、明けても暮れても祈禱と説教にただ一筋に働く男です。恋を知らずば神を知らじ、神を知らずば恋を知らざらん。恋のはじめは神と人とに起こり、小さく説けば親と子の間に起こる。この心を長じて、男女を、国家を、天下を、後世を恋うまでも伸ばす者です。キリストも釈迦も真に恋しり、情けしりである。その流れを汲みながら心得ぬしんじあの恋しらず、るびなを恋う心なければ天下の女を、男を恋う心どこか

        • #1376 しんじあは恋する人なり、恋につかわれる人にはあらず

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 しんじあという人は、明けても暮れても祈禱と説教にただ一筋に働く男です。恋を知らずば神を知らじ、神を知らずば恋を知らざらん。恋のはじめは神と人とに起こり、小さく説けば親と子の間に起こる。この心を長じて、男女を、国家を、天下を、後世を恋うまでも伸ばす者です。 ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

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        • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!
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        • 『中国小説史略』読書奮闘記
          13本

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          #1375 第十五回は、試験に現れなかったしんじあについて説明するところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第十五回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 秦の滅亡後、楚の項羽(前232-前202)と漢の劉邦(前256-前195)の戦いが始まりますが、紀元前202年、劣勢を強いられた項羽の軍は垓下[ガイカ]に立てこもります。漢軍の兵に取り囲まれ、夜になると楚の歌を歌う声が聞こえてきます。これが「四面楚歌」の由来です。悲憤慷慨した項羽は詩を作って詠みます。それが「垓下[ガイカ

          #1375 第十五回は、試験に現れなかったしんじあについて説明するところから……

          #1374 絶望の大洋に浮びし木の葉の上の蟻にも似たり

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1374 絶望の大洋に浮びし木の葉の上の蟻にも似たり

          #1373 瞳を注いで座を見れば……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1373 瞳を注いで座を見れば……

          #1372 天命、天命なりとたしかに信ず

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1372 天命、天命なりとたしかに信ず

          #1371 もうもう感心の胆勇だ!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1371 もうもう感心の胆勇だ!

          #1370 予はすでに答えをなせり

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1370 予はすでに答えをなせり

          #1369 いよいよ第二回の試験が始まる!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験日の翌日の11月6日に、ぶんせいむは新聞の広告欄内にこんな文章を寄せます。「予の愛女のために求婚の広告をなしたる以来申し込み非常に多く、ついに昨日、資格を有してるか試験をした。少しの時間の空費と、礼節の欠乏に堪えられず不快の念を抱き立ち去った者197人あり。無試験という平和の洋上にありながら狂瀾し、自らの船の脆弱を露出して、到底人生の航海を安全愉快に終えられない者であるため、自ら問題とし

          #1369 いよいよ第二回の試験が始まる!

          #1368 第十四回は、最初の試験のあとにぶんせいむが新聞広告を出すところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第十四回」に入りますよ!それでは早速読んでいきましょう! ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

          #1368 第十四回は、最初の試験のあとにぶんせいむが新聞広告を出すところから……

          #1367 諸君、今日の試験はすでに終われり!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 11月5日午前5時、馬に車に徒歩に、空が薄暗く寒さ強いぜねらす村に各々集まりますが、寂然として案内を乞うても答えがありません。みな不平を抱いて園内を散歩している6時ごろ、中央の小高い築山にしんぷるが現れます。しんぷるが言います。「5時までに来たるべしと広告せしはぶんせいむの命令だが、主人は8時30分にならなければ覚めない習慣にてなお寝床のうちにあり。朝飯を算入すれば9時30分にならなければ相

          #1367 諸君、今日の試験はすでに終われり!

          #1366 譲れ諸君!諸君の幾分は去れ!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 11月5日午前5時、馬に車に徒歩に、空が薄暗く寒さ強いぜねらす村に各々集まりますが、寂然として案内を乞うても答えがありません。みな不平を抱いて園内を散歩している6時ごろ、中央の小高い築山にしんぷるが現れます。しんぷるが言います。「5時までに来たるべしと広告せしはぶんせいむの命令だが、主人は8時30分にならなければ覚めない習慣にてなお寝床のうちにあり。朝飯を算入すれば9時30分にならなければ相

          #1366 譲れ諸君!諸君の幾分は去れ!

          #1365 来たれ!同意の諸君は我とともに来たれ!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 11月5日午前5時、馬に車に徒歩に、空が薄暗く寒さ強いぜねらす村に各々集まりますが、寂然として案内を乞うても答えがありません。みな不平を抱いて園内を散歩している6時ごろ、中央の小高い築山にしんぷるが現れます。しんぷるが言います。「5時までに来たるべしと広告せしはぶんせいむの命令だが、主人は8時30分にならなければ覚めない習慣にてなお寝床のうちにあり。朝飯を算入すれば9時30分にならなければ相

          #1365 来たれ!同意の諸君は我とともに来たれ!

          #1364 いつまで経ってもぶんせいむが来ない

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 11月5日午前5時、馬に車に徒歩に、空が薄暗く寒さ強いぜねらす村に各々集まりますが、寂然として案内を乞うても答えがありません。みな不平を抱いて園内を散歩している6時ごろ、中央の小高い築山にしんぷるが現れます。しんぷるが言います。「5時までに来たるべしと広告せしはぶんせいむの命令だが、主人は8時30分にならなければ覚めない習慣にてなお寝床のうちにあり。朝飯を算入すれば9時30分にならなければ相

          #1364 いつまで経ってもぶんせいむが来ない