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大丈夫という幻想

「調子はどうですか?大丈夫ですか?」

そう聞かれた時、あなたはとっさに何と答えますか?体調は良いけど不安がある、心配事はあるけど気持ちは前向き、気持ちは前向きだけど怪我をしている…など様々な状況がありますが、それはどの辺だったら「大丈夫」で、どのくらいだったら「無理」なんでしょうか。

「大丈夫ってことにする」

本を出してから、インタビューやイベントで解離の話をするたびに、必ずと言っていいほど言われるのが「今は大丈夫ですか?」という言葉です。私はほぼ例外なく「あ、大丈夫です」と言っているのですが先日、診察の際に主治医からぽろっと「解離の話を人にする機会が増えたと思いますが、その負荷を解離してやり過ごしていませんか」と言われ、あまりにも図星で感心してしまいました。やはりプロはお見通しなのだなあ〜。

嫌なことが発生したら、負荷を適切に自覚して、必要であれば距離を取る。
それが最善の策だと思うのですが、嫌なことを避けるのではなく自分と違うところに飛ばして(解離させて)「嫌じゃないって事にする」という癖がついてしまって、それがなかなか抜けません。本当に平気なのか「平気って事にしてる」のか自分でもよくわからず、後からグワ〜と負荷が舞い戻ってきて初めて「そうか〜!私は無理してたのか〜!」と気付いたりするのです。

全てが嘘だし、それも本当

多くの負荷をそれでスルーしてきましたが、結局そのスルースキルは全部解離で作り出した虚像。さて、そうすると私は一体どこまでが本物でどこからが虚像だったのでしょうか。

例え虚像の連続であっても、今ここに生きているのは現実だし、解離で切りぬけたいと思ってしまった気持ちは本音なのだから、それは虚像(=嘘?)ではない、とも言えるでしょう。
いや、そもそも何が幻想で何か本音かなんて、明確な区分けはあまり必要がないのかもしれません。
解離なんていう特殊な例を持ち出さなくても、スポーツや音楽に熱狂的になったり、熱烈な恋愛をしたりして「もう私にはこれしかない!!」と思っても、あとから「いや、あれはひとときの思い込みだったな」と気づく…というのはよくあることです。
…とはいえ、自分の存在が揺らぐ瞬間が日常的に訪れるというのは、やっぱり気持ちのよいものではありません。

で「大丈夫」?

結論から言えば「大丈夫かどうかは後になってみないとわからない」ということです。
出版をきっかけに、解離性障害について話す機会が増えた私にとって、これからの課題は「大丈夫です」以外の返事を考えることなのかもしれません。それにはまず、自分が大丈夫じゃないことを自覚しなければならないのですが、それが苦手だから困っているのであって…。
と、いきなり暗礁に乗り上げていますが、悩みつつ動きつつ、引き続き、のろのろと考えていこうと思います。

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トークイベントのお知らせ

8月23日(金)神保町ブックセンター
というわけで(?)解離性障害を始め、自分の経験などをこちらのイベントでお話させていただきます。


対談をお願いしたのは、お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さん。
前半では私の解離性障害についてのお話などを中心に、後半では不登校やひきこもり経験を経てきたルイさんと私の、何とかなってきた事や、どうにもならなかった事などを語ります。
ご予約は先着順となっております。申し込み用サイトからどうぞ!

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オンラインショップ

今回掲載した作品の原画はこちらで販売しています。お気軽にどうぞ〜!
 endless nap store

「代理人」(156×210mm)7,000円

お知らせ・その2

トークイベントの後の土日、チラシを担当させて頂いたこちらのお芝居が上演となります。こどもの人権をテーマに、弁護士さんと子供達によって毎年行われている公演です。ご興味がある方はぜひ足をお運び下さい。


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