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「こわれ者の祭典」のこと

依存症専門オンラインメディアAddiction Reportさんで、こんな記事がアップされていました。

月乃光司さんは、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」主催の方です。
私はかつて「こわれ者の祭典」にかなり人生を救われていたので、久々にその名前をメディアで見て、おおっ!と嬉しくなってしまいました。

私が、このイベントに出会ったのは20歳くらいの頃。
もともと出演者の友人だったのが始まりで、初の東京公演からだいぶ長い間、お客さん兼ボランティア(?)として関わっていました。
生きづらさや障害を、医療や福祉の枠組みではなく、東京のライブハウスで、しかもお笑いを交えてパフォーマンスにする。それは「病気や障害を持ったら普通の人と同じようには暮らせないんだろう」と当然のように思っていた当時の私にとって、目から鱗の体験でした。
その頃は、「生きづらさ」なんて言葉もほとんど聞かなかったし、障害や病気の当事者による制作活動は今よりもっともっとクローズなものだったのです。

こわれ者の祭典をきっかけに知り合った人たちと最近、よく話すのが「こわれ者があってよかったよね」という事です。
私は今40歳で、当時出会った人も当然それなりに歳を重ねています。歳を重ねると言うのは、死なずに人生を続けてきたということ。「今すぐ死にたい」という絶望を感じても、自分が死を選ばずにすんだのは間違いなく、こわれ者の祭典でカッコ悪く、ダサく、うまくいかず、絶望しても孤独でも、その状態のままで仲間とつながる体験を得られたからだと思います。

こわれ者の出演者、そこに来ているさまざまな生きづらさを持った人、また「自分は特にそういう要素はないけどなんとなく来た」みたいな人…。そのように立場も年齢も経験も違う人が、それぞれの経験を媒介にフラットに繋がる場が存在するというのは私にとって希望でした。

そのように、生死やメンタルのアップダウンについて色々な刺激を受けたからこそ、あえて距離を取った方が良いと思ったり、やはりまた見ようかなと思ってみたり、いろいろな時間がありました。
ただ、少なくとも、20代の多感な時期にあの場がなかったら私は「スムーズに社会に出られない人間は生きていけない(そしてそれが出来ないなら自分は生きる価値がない)」と本気で思い、もっと深刻にドロップアウトしていたと思います。

というわけでこわれ者の動画を貼ります。

生きづらさや障害に対し、医療や福祉はもちろん具体的な解決策になります。しかし、解決にも答えにもならない「参ったね〜」が言える場や相手があったからこそ私は、「生きていこう」という基本的な感覚を保持して生きてこられました。

そして今は、障害や病気に限らず誰もが「参ったね〜」を言える世間になってほしいし、その一助になる作品を作りたい!…という思いで制作をしています。
志の低い「参ったねー」を、言おう。ワタシも言いますんで…。

大丈夫じゃなくて「大丈夫じゃないわ」と思いながら死なないでいること。そんな私とかあなたとかが死なずにいるのは、たぶん光ですよ。

イラスト。ほつれそうな糸、それを切ろうとしているハサミ、その先にある結び目

今日のヘッダーの絵は、たぶんその頃に描いた絵です。切りそうで切りたくて、でもつながってるのだ。


お知らせ

ギャラリーharu & みじんこ洞 冬の企画展〈フリペ展〉

開催期間: 2024年1月20日(土)〜3月10日(日)
上記期間中の水木土日に毎週開催
開催場所: ギャラリーharu (高円寺)

ゾンビ道場最新号(30号)はもちろん、バックナンバー(27号くらいから)も配布しているよ。


「双極月間@横浜」
日時:
3月9日 11:00~16:00
会場:
かながわ県民センター12階第2会議室

トークでちょこっと出演します。
詳細は下記フライヤーまたは、双極月間さんのnoteをご覧下さい。


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