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ひとりごとエッセイ

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考えている事、いろいろ。
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#エッセイ

刺激に飲みこまれないように

刺激に飲みこまれないように

具体的に何をしていたかというとただ“バタバタしていた”という印象なのですが、なんだかんだ今月はよく人に会った気がします。

色々な社会問題について気になること・憤ることはありつつ、心身の調子が良くなかった昨今。若干の後ろめたさと共に「継続して抗議行動などを続けられる人は、なんでそんなふうでいられるんだろう」と思っていました。
そこで先日、具体的な活動を続ける友人へ、そのモチベーションを尋ねたところ

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正しくなさを抱く。熱い。

正しくなさを抱く。熱い。

思うことを人に話し、しかし話すとものすごく基本的な知識を知らないことに気づいて恥ずかしくなったり…そういうことがなんとなく続いた。
「うわっ、話さなければよかった!」と一瞬思うが、知ったかぶりをする自分を想像すると、余計恥ずかしい。「これは通過すべき“恥”なのだわ」と胸に刻む…。精進します。

ネットに溢れるヘイトの酷い言葉に日々辟易しており、そんな話を人とした。
こういう言葉を見る時大体、私が思

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視野の外を知る(「ハンチバック」感想)

視野の外を知る(「ハンチバック」感想)

先日、芥川賞を受賞した作品「ハンチバック」を読みました。

前評判で「衝撃作!」とか「過激」とか言うのを聞いていたので身構えて読んだのですが、個人的には「痛快」と言う方が近い印象でした。

もちろん、重度身体障がいの重みは私には解り得ませんが、一応自分も障がい者であり、障がいのあるの知人も少なくありません。
その実感と併せて読むと、お上品でもやたらポジティブでもない形で綴られた日常に「よくぞ描いて

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私の中にもある因子

私の中にもある因子

配信で「“死刑囚”に会い続ける男」を見る。

[会い続ける男]がタイトルになっているけど、内容の中心は「彼」(=この監督であり、報道記者の西村匡史氏)ではなく、彼が面会を続けてきた様々な死刑囚の話だ。

犯行に及んだ背景は様々ながら、共通して感じたのは、他者との距離感の取れなさだった。人間関係というのは状況によって近づいたり離れたりするものだという事、また、自分と他者は別人だという境界が育まれてこ

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正しさの解像度

正しさの解像度

絵の紹介が続きましたが、以前何度も書いた「何が正義かよくわからなくなった」と言うような話の続きを書いてみます。
結論から言うと、結局「わからない」と行き詰まったまま特に進んでいません。大きな変化があったとすれば、言いたい事があまりなくなったということでしょうか。
たぶんこれまで当然のように思っていた「正義=良いもの」という考え方の基礎がぽっかりなくなってしまったのが、その理由のような気がします。

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誰かと共に生きる(10月の絵の紹介②)

誰かと共に生きる(10月の絵の紹介②)

前回に続き、ショップに次に掲載する作品をご紹介します。

人と会う機会をめっきり減らしたコロナとの戦いですが、感染者数もだいぶ減り…という事で、人との繋がりを描いた作品を選びました。

人と会う機会が減って一番感じたのは「予想外のことが起こらない」ということでした。オンラインで自分の興味のあるものにアクセスする「だけ」の日常が続くと、入ってくる情報は多くても、自分の予想や想像を超えるアイデアや変化

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炎上スピードと問題意識について

炎上スピードと問題意識について

なんだか色々と炎上が続きますが、皆さんはこれについていけているでしょうか…。
すぐ考え込みがちな自分の気持ちを、まとまらないままに書いてみようと思います。

いじめの話、女性蔑視の話、差別の話。それぞれは炎上して然るべきトピックだと思うのですが、発覚したそばから燃え上がるスピードの速さに最近、怖さを感じています。そこに「熟考」という言葉があまり見えてこないからです。
もちろん、普段からその問題に取

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正義の所在と力と数

正義の所在と力と数

感染者数拡大の中の五輪、それを批判する人、観戦を楽しむ人、医療の逼迫と、カオスな状況が続いていますが、実は私はまだ開会式のゴタゴタ…というか小山田さんの辞任騒動についてモヤモヤと考えています。この間は障害がある人について書いたのですが、さらに深掘りして書いてみることにしました。この間の記事はこれです。

揺らいでいく正しさと弱さ先に逃げ口上を書いてしまうと、私は「自分の思っていた事は全然正しくなか

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大丈夫という幻想

大丈夫という幻想

「調子はどうですか?大丈夫ですか?」

そう聞かれた時、あなたはとっさに何と答えますか?体調は良いけど不安がある、心配事はあるけど気持ちは前向き、気持ちは前向きだけど怪我をしている…など様々な状況がありますが、それはどの辺だったら「大丈夫」で、どのくらいだったら「無理」なんでしょうか。

「大丈夫ってことにする」本を出してから、インタビューやイベントで解離の話をするたびに、必ずと言っていいほど言わ

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ひらくまで、あかない(自分の話をする事について)

ひらくまで、あかない(自分の話をする事について)

まんが「実録・解離性障害のちぐはぐな日々」を刊行して半年。人前で自分の話をする機会が何度もありましたが、その分、自分が話したくない質問を受ける機会も多くあり、そのたびにどうしたものかと考え込んでいます。うーん。なんだろうなあ。

話すのは誰のため?私は基本的に「自分が傷ついてまで社会や人の役に立たなくても良い」と思っているので、漫画にしても取材にしても、自分が苦しくなる質問は完全にお断りしています

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違和感をもっと、異物をあちこちにくれ

違和感をもっと、異物をあちこちにくれ

「表現の不自由展」が大変なことになっていますが、そんな中、ツイッターを見ていたらふと、この展示に関したツイートで「政治要素のある作品はダメだと教えられている」という美大生のツイートを見かけてびっくりしました。美大で?先生が??

政治の話はアウトなのか日本では「政治と宗教の話はやめた方がいい」とよく言います(私はその考え方は嫌いですが)。でも創作って、失敗したりトラブルになったり、経験を通して自分

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