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ひとりごとエッセイ

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考えている事、いろいろ。
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#社会

私の中にもある因子

私の中にもある因子

配信で「“死刑囚”に会い続ける男」を見る。

[会い続ける男]がタイトルになっているけど、内容の中心は「彼」(=この監督であり、報道記者の西村匡史氏)ではなく、彼が面会を続けてきた様々な死刑囚の話だ。

犯行に及んだ背景は様々ながら、共通して感じたのは、他者との距離感の取れなさだった。人間関係というのは状況によって近づいたり離れたりするものだという事、また、自分と他者は別人だという境界が育まれてこ

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差別について役に立った考え方

差別について役に立った考え方

相模原のやまゆり園での殺傷事件から今年で7年になります。
何を書こう、と思ったんですが、最近、差別について向き合いやすくなった考え方があるので、描いてみることにしました。
かなりぬるい&大雑把な話ですが、大事なことかなと思っています。

酷いヘイターや、ガチガチの差別主義者の人の場合は、こういうレベルじゃないと思うんですが、日常の中で差別についてモヤっとした時、この考え方があると割と素直に、目の前

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守られていい

守られていい

配信で「自由を奪われるひとびと〜収容する社会を考える〜」を見る。

入管や刑務所、病院での人権侵害の実情が、当事者や各種の支援者の声で語られたイベント。
劣悪な状況であるらしいという情報は知っていたけど、実際に現場を知っている人の声は、情報で知る以上の重みを感じさせるものでした。

暴行やネグレクトへの憤りと同時に、関心を持たなかったらそれらの暴挙は全く外側からは見えないという構造を恐ろしく思いま

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「みんな」って誰

「みんな」って誰

方々に連絡が多い日。複雑だが、人と関わりながら進める作業はやはりイキイキする。一人で黙々と漫画を描くのがよほど寂しかったのかな、私は…。

ニュース。渋谷の美竹公園で、路上生活の方の排除が行われたという話。そんな暴力的なやり方をするのかとびっくりした。

「人権侵害だ」と憤る声の一方「そもそも公園に住むのが良くない」という意見も。それはそうだろうけど、どんな状況でも、その人の生活を力で脅かしていい

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居ることが許される場所

居ることが許される場所

先日の日記。
八王子の地域活動支援センター・パオの見学に伺う。

心の病を抱える人たちのアート活動に力を入れてる場所で、そのあたりのご縁で紹介して頂いたのでした。室内を丁寧に案内して下さり、漫画やゾンビ道場の感想もお伺いできて、嬉しいことしきり…。ありがとうございます。

メンタルの障害について、そこを取り巻く社会について、色んなお話をしたのだけど、その中で「病気になると、病院か家で療養して、次の

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最初は希望だったもの

最初は希望だったもの

話題になっていたこの動画を見た

政治と宗教の関係についても衝撃的だったんだけど、それと同じくらい「なんでこうなっちゃったのかなあ」という気持ちが否めなかった。

「こうなっちゃった」というのは、愛とか平和とかいう、多分みんなが求めているであろうものがカルト化してしまった…という意味です。
最初から絶対悪として出てきたなら純粋に憎いけど、そうではないところが、何ともな。
だって「平和な世界を目指し

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止まっている間も生きている

止まっている間も生きている

午前中。ツイッターで募集している、解離性障害についてのハッシュタグ「#かいちぐ」 の内容をまとめる作業。
こまめにやればいいのですがなかなか遅くてすみません…。

「かいちぐ」をまとめているとしみじみと、ああ、皆さんそれぞれに頑張って生きているのだなあ、と熱いものが込み上げます。元気をもらう、とかでも同情でもなく、なんだろう…「同志達よ、生きていこう」…という「情」だろうか…。友情、愛情、人情…。

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炎上スピードと問題意識について

炎上スピードと問題意識について

なんだか色々と炎上が続きますが、皆さんはこれについていけているでしょうか…。
すぐ考え込みがちな自分の気持ちを、まとまらないままに書いてみようと思います。

いじめの話、女性蔑視の話、差別の話。それぞれは炎上して然るべきトピックだと思うのですが、発覚したそばから燃え上がるスピードの速さに最近、怖さを感じています。そこに「熟考」という言葉があまり見えてこないからです。
もちろん、普段からその問題に取

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正義の所在と力と数

正義の所在と力と数

感染者数拡大の中の五輪、それを批判する人、観戦を楽しむ人、医療の逼迫と、カオスな状況が続いていますが、実は私はまだ開会式のゴタゴタ…というか小山田さんの辞任騒動についてモヤモヤと考えています。この間は障害がある人について書いたのですが、さらに深掘りして書いてみることにしました。この間の記事はこれです。

揺らいでいく正しさと弱さ先に逃げ口上を書いてしまうと、私は「自分の思っていた事は全然正しくなか

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同じ地平で呼吸をする(多様性について)

同じ地平で呼吸をする(多様性について)

オリンピックが始まりましたが、開催を直前に控え、開会式の音楽を担当する予定だった小山田圭吾さんが、過去に起こした暴力事件が問題となりその責務を辞任しました。
そこからの流れで、思ったことがあったので書きます。

最初に書いておくと、ここに書きたいのは小山田さんの話ではありません。「障害のある人にそんな暴力をしてはダメ」という論調についてです。

怒りは労りに変わらないのか報じられたのは、とても端的

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数少ない声について

数少ない声について

突然ですが、みなさんは社会においてご自身のことを多数派、少数派のどちらだと思いますか?それは自分で選んだことでしょうか。それとも、そうならざるを得なかったのでしょうか。

私はというと、学校を途中でやめていたり、職歴があやふやだったり、精神障害があったりという面では少数派ですが、身体的には健康だとか、配偶者が異性であるという点では多数派です。多くの人が、そのように少数派の面、多数派の面、両方持って

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違和感をもっと、異物をあちこちにくれ

違和感をもっと、異物をあちこちにくれ

「表現の不自由展」が大変なことになっていますが、そんな中、ツイッターを見ていたらふと、この展示に関したツイートで「政治要素のある作品はダメだと教えられている」という美大生のツイートを見かけてびっくりしました。美大で?先生が??

政治の話はアウトなのか日本では「政治と宗教の話はやめた方がいい」とよく言います(私はその考え方は嫌いですが)。でも創作って、失敗したりトラブルになったり、経験を通して自分

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