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けつねうどん、ちょうだい。

ふと食べたくなるものってありますよね。


😋ふと食べたくなるのは

たとえば突然頭にひらめくカレー。

もうそうなってしまうと、鼻の奥からいつか食べたカレーの香りの残像がよみがえってきます。

時間があるならいまから牛すじを買いにいって、そのままコトコト煮込みたい。もしなければ、お気に入りのカレーショップに飛び込むか、はたまたテイクアウトするか。

冷やし中華なんかも、暑くなってくるとそういうタイプです。そのときはラーメンじゃだめ。冷たいからといってザルそばでもだめ。あの甘酸っぱい醤油だれがたまらなくほしくなります。

🦊この日食べたくなったもの

そしてこの日、食べたくなったもの。これです。

けつねうどん、ちょうだい。

え、きつねだろうって。け、じゃなくて、き、だろう。

うん、そう。そうなんですけどね。外で食べるときとか、注文を聞きに来た店員さんに答えるときはもちろん、きつねうどんひとつ。そういいます。周りの人もみんなそういってます。わかってます。でも、でもね。

🦊地元のうどん屋にて

実家のほう帰るとちゃいますねん。うどん屋さんいってみ。そば屋さんちゃうで。うどん屋、な。はいるやん。がらがら。へい、らっしゃい。

けつねうどん。

そんなオーダーがきこえてくるんやわ。なんなら、うどんのほうも、うろん、ゆうてるおっちゃんもぎょうさん居てるで。

けつねうろん、けつねうどん、けつね。けつね、けつね、けつねうどん。

きつねゆうても通じるし、ゆうてる人も普通に居てるけどな、けつねうどんゆう言葉の“け”の部分には、なんやしらんけど、想い出が詰まってる気がしてしゃあないんや。

🦊ほな、つくりまっせ

うどん屋に居るおっちゃんらの顔思い浮かべてたら、なんや懐かしなってきたわ。食べたさ倍増や。ほな、つくろか。

🤘お揚げさん炊くで

まずはお揚げさんを用意。せやねん、ついさん付けしてしまうんや。

なんせ、お稲荷さんにあげるやつやん。敬称付けなバチ当たるわな。

炊く前にな、お箸を2膳ほどまとめて上でころころしとくんや。ほなら半分に切ったとき、ぴろーってめくりやすなんねん。

え、なんなのために開くのんって。決まってるやん。

お揚げさん炊くときはな、いっぺんにぎょうさん炊いとくんや。ほんで、けつねうどんに載せへんかった分は、冷蔵庫入れといて、あしたお稲荷さんにするんやんか。いなり寿司、好きやろ、みんな。大喜びやで。

味付けはシンプルに、醤油と砂糖と水や。酒とかみりんとか足してもええけど、そんなんおまじないみたいなもんや。

あったかて、なかったかて甘もうなるし、ちゃんと味染みるしな。

ほれ、見てみいな。ええ色してはるやろ。おいしいで。

🤘うどん茹でるで

ほな、うどん茹でよか。

ええか、うどんはな、やわらかいもんやで。袋にな、茹で時間7分て書いてたら、8分茹でんねん。ほしたら、無事ふにゃふにゃや。あんじょうなるわ。歯ごたえとか、のどごしとか、そんなんいらんねん。

噛んだらふにゃっとしてて、口の中で溶けんちゃうか、思うくらいの舌触りがええねん。せやな、例えるんやったら、ほらぁまるで、天使の羽衣や。

え、それゆうんやったら、天女やろ、て。

知らんがな。

ほんなんどっちにしたかて、空飛んでんにゃろ。目ぇ悪いさかい、違いみたいわからへんわ。一緒や、一緒。とりあえず飛んでる女の子や。漢字で書いたらどっちも天てはいってるやん。半分おんなじ、ほなもう一緒やがな。せやろ。

🤘あとは早いで

うどん茹でたら、あとは早いで。めんつゆ注いでうどん入れんねんけどな、なんで東京のつゆは黒いんやろな。うどんつゆゆうたら、もっとこう、色薄ぅてな、金色できらきらしてなあかんやろ。ゆうとくけど、蕎麦かてそうやで。

🤘ねぎは青やで、そんなもん

まあええわ。ここまでできたら、あとはトッピングや。

ねぎな、そらないとあかん。ねぎのないけつねうどんなんて、ひき肉のないハンバーグみたいなもんや。

なんやねん、それ。そんなもん、玉ねぎやんか。あ、パン粉と卵は入ってんのか。それはそれで、ますますなんやわからんわ。

ちなみにわかってる思うけど、ねぎは青いやつやで。白ねぎみたいな、あんなぶっといもん、あれはねぎちゃう。バットや。あれ見たらな、3塁打打ちたなんねん。せやから、ノーヒットノーラン目指してるんやったら、白ねぎは持ってこんほうがええ。

ほんでお揚げさん置くやろ。ええ感じやん。せやけど、彩りが足りひんわ。

ここでねぎや。見てんか、この緑、ええ仕事してまっしゃろ。これがもし白ねぎやってみ。うどんも白、ねぎも白や。あんたは白鳥か、ゆうねん。クルクル回っとったら、しまいにくるみにぶつかって、頭かち割られるで。

え、それ白鳥の湖と関係ないて。知っとんがな。どっちもバレエやろ、名曲と名曲でボケたん、わからんのかいな。しかも割れてんの、くるみのほうと違て頭のほうやで。ここで笑わんかったら、どこで笑うねん。しっかりしぃや。

🦊けつねうどん、ちょうだい

できたで。

けつねうどん完成や。ちょうだい、いうんかいな。そう思て、2人前つくっといたがな。お揚げさん、ぎょうさん炊いといてよかったわ。

最後な、七味振んねん。たっぷりやで。そんなんちょっとやったら、振らんほうがええ。おつゆ、赤なるか思うくらいでちょうどええんや。

え、辛くないか、て。

あほかいな。辛いに決まってるやん。そんなん、辛なかったら、その七味あほになっとるやん。すぐ買いにいかなあかん。そんなことしとってみ、うどんのびるで。

え、もともとやわらかいはずやて。そうや、やわらかないとうどんちゃうもん。せやけどな、おつゆ冷めるやん。

え、一味やったらあかんのか、て。

久しぶりに使った七味の辛味が飛んでても、棚にまだ一味がある、て。それ、早よゆうてえな。山椒とか陳皮とかだいじなもんはいってへんのは残念やけど、唐辛子の入ってない七味よりは全然ええやんか。それ振っといたらええわ。

え、もともと七味がちゃんと辛いやて。七味が辛くないのは、妄想やて。なんやそうかいな。妄想でそんな話するて、あんたも変わった人やな。まあ、ええわ。

ほな、食べよか。

🦊誰が呼ぶのか、けつねうどん

ちなみに自分はきつねうどんのこと、けつねとはいいません。ただ、けつねという呼び方は耳になじみがあって、祖父はそう呼んでました。

たしかなことはわかりませんが、イメージとしては、年配の人や大阪の中でもコテコテの人がそう呼ぶことが多いように感じてます。ちごたら、すんません。堪忍しとくれやす。

ふと思ったのですが、きつねうどんって、よそゆきじゃない、普段の日のごはんじゃないですか。ハレの日のごちそうとは違います。いわばケの食事。けつねうどんの“け”には、そんな意味も含まれてるのかもしれませんね。知らんけど。

こんど帰省して時間があったら、大阪に本場のきつねうどん食べにいくのもいいなぁという気がしてきました。

🔪けつねうどんのレシピ

🦊材料(2人分)
・お揚げさん…2枚(+作り置き用3枚)
・醤油
・砂糖
・水
・うどん
・青ねぎ
・うどんつゆ
・七味とうがらし

①箸を2膳まとめて、油揚げの上でころころ転がすようにして、中を剥がします。こうしておくと、半分に切ったあと開きやすくなるので、作り置き用に多めに炊いたとき残った分は、いなり寿司に使えます。うどん用だけを炊くときはこの工程は不要です。
②お鍋に半分に切った①、醤油、砂糖、水を入れて味が染みるまで煮ます。
③うどんをやわらかめに茹でて、温めたうどんつゆを注いだ丼にいれます。
④②の油揚げ、刻んだ青ねぎをトッピングして、七味とうがらしを振ってできあがりです。

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