冬が来る前に

と聞いてこの歌を思い出す人はいるだろうか。

知っているというと世代がばれてしまうけれど、別に音楽の話ではなく、今回もトマムの山のお話。

前回のゲストの来訪からしばらく経って、妹から依頼が来る。

「笹苅りが終わったようだからパトロールをお願いします」
「お願いしますって言っても今年やたら熊の目撃情報多いんだよ」
「熊に気をつけてお願いします」
「・・・」

気をつけて行くしかない。今年はなんだかんだ言って1回しかパトロール行ってないし。

10月の下旬になると、トマム周辺はいつ雪が降ってもおかしくない。なので、早めに行かないといけないんだけど、忙しくてそれほど時間が取れないので今回は短縮ルート。下山口から登って下りてくることにする。登山口から山頂までの一番キツいルートを省略できるなら、だいたい1.5時間くらい短縮できることになる。


赤い線が太くなっているところが今回のルート。だいたい半分。

さ、笹が苅ってあるのを確認すれば良いんだし。

現地に着くとまだ雪は積もってない。熊対策はトウガラシスプレーと爆竹。そして音楽。こっちを餌として認識して喰らいに来るやつはどうしようもないわけで、バッタリ遭遇するのだけは避ける。

以前うっかり自分の肌にトウガラシスプレーを付けてしまったことがあるんだけど、あれはわりと丈夫なはずの手の肌に付いただけでもめちゃくちゃヒリヒリした。粘膜なんかに入ったら本当に危ないので、使うときは注意が必要。自分の身を使った人体実験なんかしたくなかった。

なので、嗅覚の鋭い(犬の5倍くらいあるらしい)熊にはかなり効果的のはず。問題はいざという時に適切に扱えるかどうかということになる。

腰のホルダーに入れておいて、素早く取り出して噴霧できる体勢を練習する。早ければ3秒。北の早撃ちマックとは俺のことだ。

目の前に出てきたらどうしようもないけど、少し距離があってパニックにならなければ何とかなる。はず。

杖代わりのポール、手袋、タオル、十徳ナイフ、水など必要な装備もバックパックに入れる。非常食には羊羹が最適。チョコレートでもいいんだけどあれは溶けるので。タオルは普通のタオルといわゆる手ぬぐい。止血用のガーゼの代わりにする時には裂きやすい方が良いはず。

同じ山に10回以上登っていると必要な装備をそろえるのにもだんだん慣れてくる。

山の笹は綺麗に苅ってあった。

前回の登山口
今回の登山口。全然違う。

これくらい綺麗に苅っていただけると行程はかなり楽。ちゃんと盛大に爆竹を鳴らしてから入山。

いつもは下山口だけど、今回は登山もこちらから。

今回は前回は時間が無くて回れなかった沢まで下りる。落ち葉が濡れていて結構滑る。

実は右側に見える石は人為的に計算して積んであって石段になっている。


妹夫婦が設置しているカメラ。動きがあったときだけ作動する。当然僕も映ることになる。
イエーイ、見てるー?


登山道に横たわる大倒木。これを回避するのが結構難儀。


これまであまり手を入れてこなかった北斜面も綺麗にトリムしてもらった


登山していて絶対に足場にしてはいけない倒木。めちゃくちゃ滑る上に、突き出た枝は簡単に皮膚を貫通する。


ジャンクションにある看板も無事。


今年は雪が遅く、これを書いている11月の1週目になっても積雪がない。そして猛暑のせいで木の実が少なく、熊の出没情報は増える一方。でも今回は熊にも出会わずに、無事下山。

音楽を鳴らすのも、ガチャガチャした賑やかなロック調がいいはずなので、今回はボンジョビを熱唱しながら登ってきた。It's my life.


帰ってきたその日の夜、妹からメールが転送されてくる。

帰宅してから転送されてきたメール。

・・・。
・・・・・・(#^ω^)

まぁいるよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?