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マネジメントの基本的な5つの仕事

この春からマネジメントの職に就かれた方が大勢いらっしゃると思い、今日はドラッカーが教える「マネジメントの仕事」についてお伝えします。

といっても、このことだけで『マネジメント 課題、責任、実践』(ダイヤモンド社)で、上・中・下の三部作を書いているほど膨大なボリュームになるのですが、その「中」に簡潔に記述したある箇所があります。

マネジメントの仕事には次の5つの基本的なものがあって、それらの5つの仕事が相まって、活気にあふれた成長する組織を生み出すと教えています。

1.目標を設定すること

目標が設定できないマネージャーは、イロハのイが失格です。

目標とは目的に対しての道標ですから、それぞれの目標についての到達地点を決めて、そのためになすべきことを決めなければなりません。

みなさんの部下の中に、明確な組織目標を定めていないマネージャーはいませんか?

2.組織すること

活動、決定、関係を分析し仕事を分類し、さらに活動に分割して人を割り当てます。

3.チームを作り機能させること

組織に動機づけを行いコミュニケーションを図り、投入した人・もの・金の総和よりも大きなものを生み出すこと。

4.評価をすること

評価そのものもさることながら、評価の尺度を定めることです。

評価の尺度ほど、組織全体と一人ひとりの成果にとって重要な要因はありません。そして尺度の意味と成果とを、チーム全体で共有することです。

5.自らを含めて人材を育成すること

このことについては以前「人を育成し、組織の成果に貢献するために、チームのメンバーに質問すべきこと」でお伝えしたとおりです。

見てのとおり、これらのマネジメントの仕事はすべて「人を扱う」もので、それゆえに正義の原則のもとにあって、終始真摯たるべきことが求められます。

つまり公正さこそが主であって、経済性は二の次です。
分析的な能力よりも真摯さの方がはるかに重要です。

すなわち、マネジメントは、人という特殊な資源とともに仕事をするわけで、人と働くということは人の成長に関わりをもつということになります。

部下を正しい方向へ導き、より大きく、より豊かな人間にすることが、直接的に、自らがより豊かな人間となるかより貧しい人間となるか、成長するか退化するかを決める

「マネジメント 課題・責任・実践(中)」(ダイヤモンド社)

ここにドラッカーのマネジメントの真髄が見えてきます。

一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。自ら知的な能力を持ちながら、真摯さよりも知的な能力を評価したりしない

「マネジメント 課題・責任・実践(中)」(ダイヤモンド社)

そして、マネジメントの仕事は誰でも学ぶことができますが、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、初めから身につけておかなければならない資質が一つだけあり、それは「真摯さ」であると、繰り返し言っています。

ドラッカーの著書のいたるところに出てくる英語の原文の「integrity」を「真摯さ」と訳したのは、訳者の上田惇生先生の大きな功績だったと言えると思います。

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