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あなたは最近、何をやめましたか?

マネジメントの父と呼ばれたピーター・ドラッカーは企業のコンサルを依頼された際に、経営者に対して最初によくこの質問をしたそうです。

あなたは最近、何をやめましたか?

「何に取り組んでいるのか?」
「何を始めようとしているのか?」

ではなく、

「何をやめたか?」

です。

みなさんが同じ問いを受けたとしたら何と答えますか?

物事は始めるよりもやめる方が、はるかにエネルギーを要します。

ドラッカーはイノベーションを魅力的なものにするための最初の一歩は、「事業の体系的な廃棄」だと教えています。

「すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄」は、組織が健康を維持するために絶対に必要なことだといっています。
(「イノベーションと企業家精神」ダイヤモンド社から)

でも、このことは社内でかなり多くの反発を受けることになります。

特に、過去に成功し、現在の基礎をつくった事業であればなおさらのことです。

時代の流れの中で、すでに新しい事業が生まれ、過去に成功した事業はすっかり陳腐化し、収益を生むことなく、ただ維持しているだけの状態であっても、廃棄するのは勇気が必要です。

さらに悪いことに、優秀な社員を陳腐化した過去の事業の担当にしている、なんて言うこともよく見るケースです。

「恒久的な成功などありえない。しかるに、成功は失敗よりも捨てることが難しい。すでに誇りを育てている。成功は愛着を生み、思考と行動を習慣化し、過信を生む。意味のなくなった成功は、失敗よりも害が大きい。」

(「マネジメント 課題、責任、実践(上)」)

このことに関するドラッカーの教えの根底は、イノベーションをし続けるためには定期的な事業の廃棄を制度化しなさいということです。

「イノベーションを行うには、イノベーションに挑戦できる最高の人材を自由にしておかなければならない。同時に資金を投入できるようにしておかなければならない。いずれも、過去の成功や失敗、特に惜しくも失敗したものや、うまくいったはずのものを廃棄しない限り不可能である。」

(「イノベーションと企業家精神」)

では、どうやって廃棄すべき事業を見つけるのか。

その答えは、次の究極の質問であぶり出してください。

「まだこれを行っていなかったとして、今からこれを始めるだろうか?」
 
この質問に明確に「YES」と答えられない事業があれば、すぐにどうやって収束させるか、あるいは廃棄するかに取り組みなさいと教えています。
 
事業の廃棄はトップの仕事です。
 
はじめることは社員でもできますが、止める決断はトップにしかできません。

もう、その事業はやめませんか?


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