命のつな引き 心と命のどっちが重い?

下記の曲はテーマソング的に選びました。曲中の「ピーピーピー音」がなんか「生きてます」に聞こえたので…
(Start again/カート・ヒューゴ・シュナイダー)https://music.youtube.com/watch?v=XH-nEDUu1Ng&si=IJyllZU0cILWWKuQ

さて、今日はいよいよ一年半前の自殺をはかろうとした夜の事を振り返ろうと思う。
ずっと考えるのを避けていた感があるけど、やっと心の準備が出来たのだろう。
ふと、そのように思いついた。

そもそも自殺を思い立ったのは、仕事を失い、ウツ状態で、妻に暴力をふるい、妻が子供を連れて出ていった後だった。

最後に唯一残った「家族」を失い、これで全てを失った事になる。

幸せだった家族がいない。
毎日幼稚園に迎えに行った子供たちがいない。
アムロちゃんの鼻歌を本気で歌う奥さんがいない。
あんなに貴重なものを失った。
ウツになるほど頑張って寝ないで働いて守っていたものを失った。

オレは、どうすれば、いいんだ!
ドウスレバイイノカわからない。

結果、オレは何もできなかった。ただソファーに座った。

....突然、いろいろな絶望感をともなって恐ろしい記憶が勝手に頭の中で再生され始める。
それはとても強い勢いがあって、気をそらす事を許してくれない感情の流れだった。

(子供がいない、お前が悪い、オレは正しい、なぜオレは暴力をふるったんだ、オレは悪くない、後輩に怒鳴られたオレ、あんなに頑張ったのになんでオレが悪いのか、オレのことはどうでもいいのか、なぜオレの家族を奪うんだ、返してくれよ、もう帰ってこないんだ、オレは全てを失ったんだ、そういう男なんだ、オレは暴力をふるう男なんだ、仕事もミスだらけのダメな人間なんだ、家族には相応しくないんだ、、、、、、)

といったようなネガティブな感情がの洪水がものすごいスピードで突如発生するのだが、これが耐えられない痛みをともなう。感情なのに痛いのだ。
最初は5分続いて5分おさまって〈虚無〉があり、また始まって…を繰り返し、
「感情の洪水」が続く時間が段々と長くなってきて
苦痛が耐えられなくなり
死ぬ事が〈救い〉に感じられるようになる。
楽になりたくなる。
もうだぶん次の大きな波は耐えられないだろう。
オレは折れたい。耐える自信がない。
死ぬ準備をしておこう。
いつ折れてもいいようにしよう。

そしてオレは急いで心臓の正確な位置をググッて、ろっ骨の間をキチンと把握した。間違って肺に刺したら、痛いだけだからだ。ラクにならないからだ。

当時の写真

オレは上半身裸で、マジックで心臓の位置をチェックし、片手に包丁を持って一日を過ごした。

自殺とは、命より心を優先させた結果に過ぎないんだと思った。

「命より大事なものはない」と言われるが、「心」は「命」よりも大事なんだとオレは今でも思う。
実際は「心」の方が大幅に重かった。「命」なんて速攻でどこかに吹き飛ぶのだ。すぐに「命」は考えなくなるモノなのだ。

自殺を引き止めるのもまた「こころ」なのだが

その感情の洪水のような心のなかで起こった事を思い返す。

オレの自殺を後押ししたモノ(痛み)の一つが〈正義感〉だった。
こんなにもサイテーな自分は死んであたり前、責任を取るには命が必要だ。

・大事な会議に寝過ごしたオレ
・納期に間に合わなかったオレ
・後輩に怒鳴られたオレ
・奥さんに暴力を振るったオレ
・子供に会う資格のないオレ
・奥さんと子供がいなかなったオレ

洪水のように頭の中をとめどなく襲う思考。何度も何度も同じ事をリピートする思考。
一生懸命ほかの事を考えようとするが、大きな勢いで洪水にモッて行かれる。

どれもオレの正義感が〈絶対的な否定〉をする。
どれもオレの正義感が〈生きる価値が無い〉と断言する。

しかし、自殺を思い止まらせる〈正義感〉も同時に存在した。〈自殺は良くない、迷惑をかけちゃいけない、誰かを傷つけてはならない〉という社会的な正義感だ。

同じ〈正義感〉が綱引きを始めるのだ。

痛くないのか?怖くないのか?
そんな事を思う資格はあるのか?イヤ無い。

そしてこの〈つな引き〉自体が、そのままのエネルギー量の〈絶望感〉に変わる。
絶望感でどうしていいのか分からなくなる。
どうしていいのか分からない〈虚無〉になる。

そして何度も何度も同じ「洪水」と「虚無」が繰り返され、

同時に、ずっと、ただただ〈絶望〉する。

オレはこの時〈本当の絶望〉というものを、生まれて初めて味わった。

残念ながら、それは言葉では表わす事が出来ない種類の感情だった。それに当てはまる言葉がない。

もう一度考えるが、やはり言葉では無理そうだ。

どちらにせよ、そこには〈死にたくない〉が入り込む隙間がない。
〈死にたくない〉は、物理的に考える事が不可能なのだ。
だから〈死ぬのが怖い〉事もない。
〈死〉は只の〈救いの最終ライン〉だった。

誰か他にも同じような事を考えている人がいたら、是非言いたい。

オレたちが 今そこにいるということには、必ず理由がある。どんな理由かはわからないけど、必ずある。
必ずだ。100%の保証をしたい。大事なクリスタルの石を賭けてもいいくらい本気だ。

ちなみに〈正義感〉という感情はネガティヴかポジティブであらわせば、ネガティヴな感情だと思う。
何かを断定する。〇〇ではいけない。正義感は人を縛る。〇〇してはいけない。正義感が振るわれるのは、許せないものに対してだ。
一見いい事に見えるから、堂々と振りかざすけど、怒りや嫌悪とカテゴリーは同じなんだと思う。
良心にも見えるから、分かりづらいだけで、人を傷つける感情だ。相手が悪モノってだけで、堂々と振るわれる「悪意」な気がする。

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