#ヘブライ文字学習記 #1 アレフ "א"
本記事では、 第1番目 のヘブライ文字 "א" を紹介していきます。
1. 名前と入力
1.1. 名前
ヘブライ文字 "א" の名前は、ヘブライ語では "אָלֶף"、英語では "alef"、日本語では「アレフ」や「アーレフ」と表記されます。
Unicode における符号位置は "U+05D0"、名前は "Hebrew Letter Alef" です。
似たもので、「アレフ記号」"Alef Symbol" と呼ばれる "ℵ" (U+2135) も存在しますが、こちらは数学で使われる記号です。
日本語入力で「あれふ」と打って変換できるものは、こちらの可能性が高いので気をつける必要があります。
1.2. 入力
Windows 10 の「ヘブライ語 (標準)」キーボードにおいて、 "א" は [T] を押すことで入力できます。
Android のヘブライ語入力でも "א" は QWERTY入力 における [T] の位置にあります。
「ヘブライ語 (標準)」キーボードは、 Windows 10 に「ヘブライ語」か「イディッシュ語」をインストールすると使えるようになります。
インストール方法は以下をご参照ください。
あるいは、発音を基にしたキー配置 "Phonetic Keyboard" においては、 [A] の位置に配置されることが多いと思われます。
2. 由来と派生
2.1. 由来
ヘブライ文字 "א" は、フェニキア文字 "𐤀" に由来します。
"𐤀" も「アレフ」や「アーレフ」と呼ばれます。
Unicode における符号位置は "U+10900"、名前は "Phoenician Letter Alf" です。
そして、フェニキア文字 "𐤀" は、「雄牛」を意味する下図の原シナイ文字に由来します。
なお、原シナイ文字は、 Unicode で定義されていません。
さらに、この原シナイ文字は、ヒエログリフの "𓃾" に由来しているとされます。
Unicode における符号位置は "U+130FE"、名前は "Egyptian Hieroglyph F001" です。
2.2. 派生
ギリシャ文字のアルファ "Α" "α" も、フェニキア文字 "𐤀" に由来します。
そして、ギリシャ文字の "Α" "α" から、ラテン文字のエー "A" "a" や、キリル文字のアー "А" "а" 等が誕生しました。
シリア文字のアラプ "ܐ"、アラビア文字のアリフ "ا" やハムザ "ء" もまた、フェニキア文字 "𐤀" に由来します。
2.3. 雑学
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」を展開する「株式会社アレフ」の社名やロゴの由来は、フェニキア文字のアレフ "𐤀" とされています。
『ドラゴンクエスト』シリーズに登場する世界「アレフガルド」は "א" に由来するとされています。
3. 発音と役割
3.1. ヘブライ語
ヘブライ語における "א" は声門破裂音 /ʔ/ を表し、発音しないこともあります。
また、母音が連続する際に、 /a/ を中心とした母音を表すことも多いです。
なお、『Duolingo』の「ヘブライ語コース」においては、 "א" の発音は 「'」 と表記されています。
また、『Drops』においては、「-」と表記されています。
3.2. イディッシュ
3.2.1. Shtimer Alef
イディッシュにおける "א" は "Shtimer Alef" と呼ばれ、発音しません。
母音で始まる単語の頭に付くことが多いです。
3.2.2. Paskh Alef
"א" にパタハ "ַ" (U+05B7) を付けると "Pasekh Alef" "אַ" になります。
"אַ" は、母音 /a/ 等を表します。
パタハ "ַ " は、「ヘブライ語 (標準)」キーボードにおいて、 [Alt Gr] を押しながら [P] を押すと入力できます。
なお、 [Alt Gr] はキーボードの右側にある [Alt] のことで、 [Ctrl] と同時に左側にある [Alt] を押すことでも代用できます。
なお、『Duolingo』では、 "אַ" の発音は "a" や "aa" と表記されています。
3.2.3. Kumits Alef
"א" にカマツ "ָ " (U+05B8) を付けると "Kumits Alef" "אָ" になります。
なお、カマツについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。
"אָ" は、母音 /ɔ/ 等 を表します。
『Duolingo』では、 "אָ" の発音は "u" と表記されています。
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