試験間近の問題演習は「4類型」を意識してみてはいかが?~令和5年予備試験論文式試験に向けて~

こんにちは、あるいはこんばんは。とげぬき法律事務所弁護士の寺岡拓也です。

さて、表題のとおり、予想ではなく過去の出題について今一度確認してみよう。

とは言ったものの、過去出題された論点については、昨年にまとめていたので、記事のリンクを貼っておくこととしよう。

これらは”過去問で出ていた分野の確認”にすぎないから、この記事を読んだだけで合格になるわけではない。
以下、これからの問題演習や過去問との向き合い方について、4パターンに分けて考えてみよう。

A 過去問頻出かつ基本・典型論点
B 過去問未出であるが、基本・典型論点
C 過去問出題済みであるが、マイナー論点
D 過去問未出かつマイナー論点

まずは、これらのA~Dについて各科目ごとに、「自分で」考えてほしい。その感覚がとても大切であろう。

というわけで少し長めの改行をしておく。

こんなもんでいいか。

では改めて。

Aについては、言うことはないだろう。しのごの言わずに”過去問”を用いて”丁寧に”演習を行い、”処理手順、理由付け、規範、当てはめの際の評価ワードまでこだわって”おさえておく。現場で「何だっけ…?」となってる余裕はないと思うべし。任務懈怠責任、強制/任意、処分性…etc.
基本である以上、他の受験生もある程度書けてくる。そのある程度書けてくる他の受験生より頭一つ出られるような準備を。何となく当てはめればいいだろう+αとして、評価ワードまでこだわってほしい(判例やら再現答案からパクってくればいいのだが)。

Bについて。予備試験の問題の集積は、H23~R4までの12年分しかない以上、未だに出題のない典型論点はいくらでもある。
例えば、事業譲渡。
・事業譲渡の規範を(判例への批判があることを前提に)書けるか(けっこう長いし)
・ちゃんと当てはめできるか
・事業譲渡性のあとに「重要な」の当てはめまでされているか
・特別決議が必要であるという条文を引けるか
・総会決議なき事業譲渡の有効性について論証できるか
パッと思いつくだけでも差が出そうな問題であるし、司法試験においてはH18とH27の2回の出題がある。毎年「出るかもよ~匂うぞ~」と言ってるものの全然出てこなくてちょいと悔しい。が、やっておくべし。
刑法の不真正不作為犯もここに当たるだろう。
欲を言えば、Aと同等レベルのクオリティまで仕上げたいが、相対評価であることを考えると、他の受験生も「でも過去問にはないしなあ…」という気持ちで優先度は落ちてくるのかもしれない。なお、予備試験に出ていない以上、過去問で演習はできないわけだから、Bについては司法試験に出ていれば司法試験を使って演習することもできるし、ご自身お持ちの問題集を使って演習することもできる。欲を言えば司法試験出題ありであれば”採点実感だけでも読み、やらかしのポイントを確認”できるといいのだが…そこまでの余裕はなかなかあるまい。

Cについて。記憶に新しいところではR2の刑訴、一事不再理効。同年の民法(無権代理と相続の考え方を成年後見人に応用する問題)なんかもそうかもしれない。前者につき優秀答案も読んでみたが、前提ともいえる単一性と狭義の同一性の理解に誤りがあったにもかかわらず高得点が付いていたので、優秀な合格者でさえ準備が足りなかったのだろう。
「一回出てるんだから出されても文句は言えないよね?」という気持ちと「マイナーが2回出る可能性は極めて低いから最悪やらなくても…」という気持ちがせめぎ合い、モチベーションの出し方は難しいかもしれない。優先度の高いA・Bでさえ十分なクオリティに仕上がってないのなら妥協することもあるやもしれぬ。が、非常に高度な戦いを強いられる予備試験という性質を踏まえると、最低限、
”何の論点かがわかり(問題の所在をつたない言葉でも説明ができる)、”
”関係する条文を指摘することができ”
”キーフレーズとなる規範のワードを覚えている”
という状態になっておけるといいのかもしれない。細かな理由付け、事案に即した当てはめ(評価ワード含む)ところまでもってく余裕はあまりないのではないか。2桁以上合格を目指す受験生は別であるが。

Dについて。過去問至上主義を徹底すれば、Cより優先度は落ちるのかもしれない。しかし、マイナー論点(をどう定義するかにもよるが)である以上、既出のCより優先度が高いという考え方も出来る。クオリティとしてはCと同じで構わないと思うが。
予備校でいうところのCランク論点(A~Cの三段階として)がここに当たるわけだが、例えば民訴の管轄に関するところは予備では出ていなかったと記憶している(ただし、司法では出題されている)。憲法なんかで言えば、昨年の時点では28条はここに位置していたが、出題されてしまったので上記Cに位置している。

以上、残り期間においては問題毎に強弱(≒メリハリ)をつけて問題演習を行うことが有益ではなかろうか。

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