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〈絵本〉mozo mozo①


大きな海の小さな島に ねこがいっぴき暮らしていました。島の真ん中には木が立っていました。ねこは木と友達でした。木の下で本を読んだり昼寝をしたりして毎日を過ごしていました。

ある日 島中の植物が枯れていきました。
木の葉っぱもすこしずつ黄色くなりました。
木はねこを呼んで言いました。
「むかしかし、私のおじいさんからきいた話だよ。島の植物がすっかり枯れてしまうとき、それは『もぞもぞ』が怒っているんだと」

「『もぞもぞ』ってなに?」ねこはききました。
「海の底のもっと下にいる生き物だよ」
「どうすれば『もぞもぞ』に会えるの?」
「それは私にもわからない」

ねこは決めました。海の底まで潜っていって『もぞもぞ』に会いに行くことにしたのです。木は、緑色の葉っぱを1枚とってねこに渡しました。「これをしっぽにつけて行きなさい。海の中でも息ができるようになるしケガをした体を治すよ」ねこはじょうぶなひもで葉っぱをしっぽにつけて海にドボンと入りました。


「ねこさん、ねこさん、どこに行くの?」小さな赤い魚がねこに話しかけました。「『もぞもぞ』に会いに行くんだよ」「もぞもぞってなぁに?」「海の底のもっと下にいる生き物なんだ」「ふうん。私、知らない。でも、海の底のには宝物がたくさん埋まっているってきいたことがある。ねえ、宝物がでてきたら私にもちょうだい!」赤い魚は、ねこの周りをくるんと泳いでむこうに行ってしまいました。



「ねこさん、ねこさん、どこへ行くの?」
魚の群れから声がしました。
「『もぞもぞ』に会いに行くんだよ」
「もぞもぞってなぁに?」
「海の底に下にいる生き物なんだ」
「なんだって!それは、きっと海の神さまにちが  いない。僕たちも一度は会ってみたい神さまさ。でも、一人で行くのは危ないよ。海の神さまに会うには、勉強や準備が必要だからね。僕たちと一緒に行かない?」

「ありがとう、でもぼく急いでいるから、一緒には行けないんだ」
ねこはひゅんと体をひねって再び潜っていきました。



②へつづく
〈絵本〉mozo mozo②|toga.shi|note

〈絵本〉mozomozo③|toga.shi|note

〈絵本〉mozo mozo のこと まえがき|toga.shi|note


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