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155.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」

第27節「メタルヒーローシリーズ④+石ノ森作品」

⑭テレビ朝日系日曜8時『重甲ビーファイター』(1995年2月5日 - 1996年2月25日 全53話)

 『ブルースワット』に続く1996年の「メタルヒーローシリーズ第14作は再び主人公が変身する『重甲ビーファイター』です。 

1995年1月発行 社内報『とうえい』第407号

 テレビ朝日梶淳東映堀長文のプロデューサー陣に、『世界忍者戦ジライヤ』から「メタルヒーローシリーズ」を離れ「東映不思議コメディシリーズ」を担当していた日笠淳とプロデューサー補として丸山真哉が加わります。
 脚本はチーフ宮下隼一扇澤延男鷺山京子浅香晶小林靖子とこれまでシリーズ作品に携わってきた少人数で執筆。監督も『宇宙刑事シャイダー』を担当した澤井信一郎をパイロットに、おなじみの三ツ村鐵治石田秀範金田治の他、レギュラー監督として坂本太郎渡辺勝也が参加、制作スタッフもシリーズのベテランとともに若手がメインに起用されました。
 協力会社は、音響効果大泉音映、装置東映美術センター紀和美建、美粧サン・メイク、衣裳東京衣裳、装飾大晃商会、アクションジャパン・アクション・クラブ、キャラクター制作レインボー造型企画、技術協力東通、企画協力企画者104、特撮監督尾上克郎特撮研究所など各社が前作に引き続き担当します。
 音楽は川村栄二、オープニングテーマ「重甲ビーファイター」、エンディングテーマ「地球孝行」の両曲とも作詞阿木燿子、作曲宇崎竜童、編曲石田勝範、歌石原慎一と、今シリーズではこれまでにないスタッフで臨みました。

 オスカブトムシの精の宿るインセクトアーマーを重甲し「ブルービート」となる昆虫学者甲斐拓也役は土屋大輔、クワガタムシの精の宿るインセクトアーマーを重甲し「ジースタッグ」となる樹木医片霧大作役は金井茂、メスカブトムシの精を宿すインセクトアーマーを重甲し「レッドル」となる水族館インストラクター兼動物学者羽山麗役は葉月レイナ。この3名が侵略者組織ジャマールと戦う3人の昆虫戦士「ビーファイター」を演じます。
 葉月が撮影中のけがで離れたことで第22話から巴千草演じる鷹取舞が2代目「レッドル」として登場しました。

『重甲ビーファイター』
©東映

 1995年4月15日公開「東映スーパーヒーローフェア」では劇場版『重甲ビーファイター』(宮下隼一脚本・金田治監督)が公開されます。

1995年4月15日「東映スーパーヒーローフェア」
『重甲ビーファイター』宮下隼一脚本・金田治監督

 初回10.9%で始まった『重甲ビーファイター』は1年間全53話続き、最高視聴率は4月の第13話で12.8%、平均視聴率は9.0% でした。

『重甲ビーファイター』
©東映

⑮テレビ朝日系日曜8時『ビーファイターカブト』(1996年3月3日 - 1997年2月16日 全50話)

 1996年3月、「メタルヒーローシリーズ第14作として『重甲ビーファイター』の続編『ビーファイターカブト』が始まります。

1996年1月発行 社内報『とうえい』第418号

 今作から東映堀長文が他番組に移り、日笠淳がチーフプロデューサーとしてプロデューサー補の丸山真哉とともに企画を担当しました。また、テレビ朝日サイドも梶淳から岩本太郎、次に上田めぐみと替わります。
 脚本は前作と同じチーフ宮下扇澤鷺山浅香小林。監督はメイン東條昭平、他三ツ村石田金田が演出しました。スタッフもほぼ変わらず、協力会社も特殊効果が映画工房を引き継いだ日本映像クリエィティブに会社名が代わった他はお馴染みのメンバーが参加します。
 音楽は前作で編曲を担当した石田勝範、オープニングテーマ「ビーファイターカブト」、エンディングテーマ「大声で歌えば」の両曲とも作詞阿木燿子、作曲宇崎竜童と前作と変わらず、編曲が前作で劇伴を担当した川村栄二で、樫原伸彦が歌いました。

 インプットカードX-Xを使用しネオインセクトアーマー超重甲することで「BFカブト」となる聖聖(セントホーリー)学園高等部2年A組鳥羽甲平中里栄臣、インプットカードX-Yを使用しネオインセクトアーマー超重甲することで「BFクワガー」となるコスモアカデミア日本支部地球環境探査セクション研究員橘健吾安達直人、インプットカードZ-Zを使用しネオインセクトアーマー超重甲することで「BFテントウ」となるコスモアカデミア日本支部電脳工学研究員鮎川蘭栗栖ゆきな。この3名が2億年の眠りから目覚めた悪の超軍団メルザード一族と戦う3人の昆虫戦士「新ビーファイター」を演じます。
 小山内博士役で、『欽ドン!良い子!悪い子!普通の子!』のイモ欽トリオのヨシ夫として人気を博した劇団東京ヴォードヴィルショー山口良一がレギュラー出演、また前作「ビーファイター」の3人も登場しました。

『ビーファイターカブト』
©東映

 初回9.5%で始まった『ビーファイターカブト』は1年間全50話続き、最高視聴率は6月の第14話で11.5%、平均視聴率は8.9% でした。

『ビーファイターカブト』
©東映

⑯テレビ朝日系日曜8時『ビーロボカブタック』(1997年2月23日 - 1998年3月1日 全52話)

 1997年の「メタルヒーローシリーズ第16作は、終了した「東映不思議コメディシリーズ」の要素をとりいれた『ビーロボカブタック』となります。

1997年1月発行 社内報『とうえい』第429号

 主役「カブタック」は前作と同じカブトムシがモチーフですが、これまでの等身大ヒーローとは異なり、「ロボコン」のようなコメディタッチのロボットでした。

「カブタック」
©東映

 プロデューサーは前作同様にテレビ朝日上田東映日笠丸山がプロデューサーに昇進します。
 脚本ではこれまで数多くのアニメ番組を手がけ「ウィンスペクター」や「ソルブレイン」などに参加した山田隆司をメインに起用。宮下扇澤とともに、西園悟と「東映不思議コメディシリーズ」の浦沢義雄が初参加しました。
 「戦隊シリーズ」から戻ってきた坂本をメインに、監督陣は前作に続く石田に加え、同じく戻ってきた渡辺、新たに岩原直樹諸田敏が担当します。
 制作スタッフでは美術に『ビー・バップ・ハイスクール』を担当した大嶋修一、特撮監督を佛田洋、音楽は前作に続いて石田が起用されました。
 主題歌は、オープニングテーマ「清く正しくカブタック」が作詞八手三郎、 作曲・編曲石川恵樹で、エンディングテーマ「逆転ロックンロール!!」は作詞大賀玉之輔、 作曲・編曲MASAKIで、両曲ともカブタックの声優草尾毅が歌います。

 あらゆる願いをかなえるという「スターピース」を探すために「カブタック」(声優草尾毅)やクワガタがモチーフの「クワジーロ」(中村大樹)、テントウムシモチーフの「テントリーナ」(橘ひかり)などの「ビーロボ」を開発した高円寺寅彦博士を作家の志茂田景樹が演じました。 

ノーマルモード「テントリーナ」「カブタック」「クワジーロ」
©東映

 「ビーロボ」は省エネ形態の「ノーマルモード」から性能向上形態の「スーパーモード」に変形します。

スーパーモード「クワジーロ」「カブタック」「テントリーナ」
©東映

 この作品では三人の他にもアニメで活躍する人気声優たちが「デンデンローラー」(矢尾一樹)、「コブランダー」(松本大)、「スパイドン」(茶風林)、「シャークラー」(千葉繁)など多数レギュラー出演しました。

『ビーロボカブタック』
©東映

 1997年12月には東映ビデオよりオリジナルビデオ『ビーロボカブタック クリスマス大決戦!!』が発売され、『重甲ビーファイター』より「ブルービート」、『ビーファイターカブト』より「ビーファイターカブト」も客演します。

東映ビデオ『ビーロボカブタック クリスマス大決戦!!』
©東映

 初回9.3%で始まった『ビーロボカブタック』は1年間全52話続き、最高視聴率は10月の第33話で11.6%、平均視聴率は9.7% と前作を上回る成績を残しました。

『ビーロボカブタック』
©東映

 中華人民共和国では1998年から定期的に再放送され、昨年にはプラモデルも発売されるなど人気が高まっており、新たなる展開が期待されています。

⑰テレビ朝日系日曜8時『テツワン探偵ロボタック』(1998年3月8日 - 1999年1月24日 全45話)

 1998年3月、『ビーロボカブタック』の好評を受け「メタルヒーローシリーズ第17作となる少年探偵物の要素を取り入れたコメディロボット作品『テツワン探偵ロボタック』がスタートしました。

1998年2月発行 社内報『とうえい』第441号

 プロデューサーは上田日笠丸山。脚本もメイン山田宮下扇澤西園浦沢お~いとしのぶが初参加し、監督は初パイロットの渡辺に、岩原坂本石田ヒデ・I)が演出します。
 制作陣も美術の木村光之以外はほぼいつものメンバー、音楽には『ブルースワット』以来の若草恵が起用されました。
 オープニングテーマ「なせばなるほどロボタック」は作詞大賀玉之輔、 作曲・編曲石川恵樹影山ヒロノブが歌い、エンディングテーマ「ロボタック絵かき歌(第1 - 31話)は作詞大賀玉之輔with ケースケ & ユーギ & モエ、 作曲大谷奈津子、編曲山崎洋一で歌が佐々木望第32 - 45話いいじゃない」は作詞大賀玉之輔で作曲・編曲が藤沢秀樹 、声優たちによるロボタック・オール・スターズが歌いました。

 今作もレギュラーロボットたちの声優として「ロボタック佐々木希、「カメロック堀秀行、「ミミーナ浅川悠、「トラボルト山口勝平、「タッカード古川登志夫、「スピーダム / スピーディーワンダー堀川亮、「マイトバーン / マイティーワンダー龍田直樹と人気声優を揃えます。

犬型ロボット「ロボタック」
©東映

 今作でも「ロボタック」たちは「ノーマルモード」から「スペシャルモード」に変形しました。

スペシャルモードの「ダークロー」と「ロボタック」
©東映

 1998年12月には東映ビデオよりオリジナルビデオ『テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険』が発売されます。この作品では前作の「カブタック」も客演しました。

東映ビデオ『テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険』©東映

 初回10.1%で始まった『テツワン探偵ロボタック』は11か月全45話続き、最高視聴率は5月の第9話で12.5%、平均視聴率は9.6% と前作とほぼ同じ成績を残します。 

『テツワン探偵ロボタック』
©東映

 『テツワン探偵ロボタック』は前作同様に好評でしたが、次作は1998年1月25日逝去した石ノ森章太郎一周忌に合わせて「ロボコン」を復活させることが決まり、これまで17作続いた東映オリジナル原作による「メタルヒーローシリーズ」はこの作品で終了しましました。

番外編 テレビ朝日系日曜8時『燃えろ!!ロボコン』(1999年1月31日 - 年1月23日 全51話)

 1999年1月、『燃えろ!!ロボコン』の放映が開始します。

1999年1月発行 社内報『とうえい』第451号
1999年1月発行 社内報『とうえい』第451号

 テレビ朝日のプロデューサーは上田清水祐美東映はこれまで時代劇など大人向けドラマを担当してきた小嶋雄嗣丸山が担当します。
 脚本はメインの西園扇澤浦沢山田。新たに平柳益実荒川稔久藤井邦夫横手美智子田嶋久子明星剛が加わりました。
 監督はメイン坂本岩原ヒデ・I加藤弘之がこのシリーズで監督デビューします。
 制作スタッフでは、撮影いのくままさお内田正司と照明小野幹雄高橋道夫中川勇雄才木勝のメンバーが変わりました。協力会社は替わらず、スーパーバイザーとして小野寺章が参加します。
 音楽は有澤孝紀。オープニングテーマ「街は大騒ぎ!! 〜Welcome to Mitara Funk City〜」(第1話 - 第24話)は「爆風スランプ」のファンキー末吉が作詞・作曲・編曲・プロデュース し、 影山ヒロノブデーモン小暮も参加したTokyo Funk Cityが歌・演奏、続く「燃えろ×4ロボコン!!」(第25話 - 第51話)は作詞近藤由華 、作曲有澤孝紀 、編曲猪股義周で「NHK歌のお兄さん」 速水けんたろう が歌いました。
 エンディングテーマ「歌は世界を救う!!」(第1話 - 第24話・第48話 - 第50話)も作詞・作曲・プロデュース はファンキー末吉 、 編曲仮谷克之で演歌歌手の 冠二郎が歌い、続く「100点満点 ロボコンたいそう」(第25話 - 第47話)は作詞大森祥子、作曲速水けんたろう、補作曲有澤孝紀、編曲猪股義周ロボコンの声優伊倉一恵森の木児童合唱団が歌いました。「燃えろ!! ロボコン」(第51話)は作詞大賀玉之輔、作曲有澤孝紀、 編曲猪股義周樫原伸彦が歌います。

「ロボコン」
©東映

 ロボコンが居候する栗原家のパパ渡辺いっけいママは「ピンクレディー」の未唯が起用され、マドンナロボットロビーナ役で加藤夏希がデビューしました。

「ロボコン」と「ロビーナ」
©東映

 初回10.2%で始まった『燃えろ !! ロボコン』は1年間全51話続き、最高視聴率は4月の第12話で12.2%、平均視聴率は9.2% と前作『テツワン探偵ロボタック』とほぼ同じ成績を残します。

『燃えろ!!ロボコン』
©東映

 石ノ森章太郎一周忌で製作された『燃えろ !! ロボコン』の後番組は、石ノ森の代表作である『仮面ライダー』の復活作『仮面ライダークウガ』。ここから現在まで続く「平成仮面ライダーシリーズ」がスタートしました。

トップ写真:『ビーロボカブタック』©東映