飯塚 信夫(神奈川大学経済学部教授)

日本経済論、経済統計。ホームページ(https://sites.google.com/…

飯塚 信夫(神奈川大学経済学部教授)

日本経済論、経済統計。ホームページ(https://sites.google.com/view/todobuono/)、東京財団政策研究所の研究プログラム(https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3839)もよろしく。

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【お知らせ】マガジンを再編成いたしました

 2018年12月にnoteを始めて以来、コツコツとコラムを書いてきました。コラムは本務校や非常勤先の講義にも活用(参考資料として読んでもらうなど)しておりますが、本数がそこそこ増えてきて(現在:321本)、整理が必要になってきました。  従来のマガジンはいったん廃止し、「経済統計のよもやま話」関連で9個のマガジンを作成。そのほかに、分類しきれないコラムを集めた「その他のよもやま話」、お手伝いしている東京財団政策研究所での活動の紹介を集めた「東京財団政策研究所での活動」も含め

    • 日本のアルコール輸出金額は過去10年間で5倍に~けん引役は?

       ゼミの学生が日本のアルコール輸出動向に興味があると言ってきました。日本のアルコール輸出金額の推移については、「農林水産物品目別実績」(農林水産省)のホームページで、1989年以降のデータが入手できます。また、2005年以降については、国別の輸出金額の内訳も知ることができます。ただし、ビールと清酒を除くと個別のお酒の輸出金額はそのページではわかりません。  一方、国税庁の「酒類の輸出動向について」ホームページでは、主要品目別の内訳データを知ることができます。ただし、遡れるのは

      • ”日銀版コア”の上昇率がさらに縮小~2024年4月の消費者物価指数

         本日(24日)、2024年4月の消費者物価が公表されました。消費者物価(総合)の前年同月比上昇率は2.5%と3月の2.7%からさらに上昇率が縮小しました。先月のnoteで注目した消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はエコノミストの皆さんの間では”日銀版コア”と呼ばれているようですが、4月の前年同月比上昇率は2.4%と3月の2.9%から上昇率が縮小。縮小幅は0.5ポイントと、総合指数よりも大きくなっています。  日経電子版は、過去、値動きが乏しかった「岩盤品目」でも

        • 前年同期比で見れば2021年1-3月期以来のマイナス成長~2024年1-3月期のGDP1次速報

          本日(16日)、内閣府は2024年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を公表しました。日経電子版は季節調整済み前期比の動きに注目し、2四半期ぶりのマイナス成長となったと報じています。一方、私のnoteでかねて注目している前年同期比でみると、実質GDPは3年ぶりのマイナス成長になってしまいました。2023年初からの減速傾向がはっきりしてきました。 民間需要は3四半期連続のマイナス  2024年1~3月期の実質GDPの前年同期比成長率は▲0.2%。10~12月期の1.2%か

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        • その他のよもやま話
          23本
        • 経済統計のよもやま話(物価)
          14本
        • 経済統計のよもやま話(インバウンド関連等)
          54本
        • 経済統計のよもやま話(企業・収益・景気指数)
          28本
        • 経済統計のよもやま話(経済見通しなど)
          16本
        • 経済統計のよもやま話(家計・消費)
          10本

        記事

          経常収支黒字は減少トレンド?~2024年3月の国際収支

           昨日(5月10日)、2024年3月分の国際収支統計が公表されました。昨日の日経夕刊では23年度の経常収支黒字が過去最大になったことなどを報じています。本稿では季節調整値と原系列の前年同月差に注目しながら月次の推移を確認していきたいと思います。 季節調整値で見ると前月比増加になったが…  3月の経常黒字は季節調整値でみると2.0兆円。急縮小した2024年2月から増加しました。2024年2月(1.4兆円)からの黒字拡大に寄与したのは第一次所得収支の黒字拡大(2月:2.5兆円

          経常収支黒字は減少トレンド?~2024年3月の国際収支

          共通事業所ベースでは実質賃金0.9%減〜2024年3月の毎月勤労統計

           昨日(9日)、「毎月勤労統計」(厚生労働省)の2024年3月分の速報値が公表されました。昨日の日経夕刊は1面で実質賃金の前年同月比マイナスが24ヵ月連続で最長になったと報じ、本日の朝刊でも、今後、インフレ率が高まることが見込まれる中、実質賃金上昇率がプラスに転じることの難しさを伝えています。  実質賃金のマイナスもさることながら、現金給与総額(名目賃金)の前年同月比上昇率が2月の1.4%から3月は0.6 %へ急縮小している点も気になるところです(結果、実質賃金の下落率も拡大

          共通事業所ベースでは実質賃金0.9%減〜2024年3月の毎月勤労統計

          まずは借入金利が低下しました!~変動金利型住宅ローンが我が家に再びやってきた

          3月下旬に書かせていただいた以下のnoteの通り、日本銀行の金融政策が変更されたタイミングで、私が返済中の住宅ローン金利の固定期間が終了しました。最悪のタイミング(笑)。固定金利での返済が昨日(4月30日)、最終回を迎え、本日、新しい金利と返済予定表を確認しました。 借入金利は1.4%から0.97%へ  現在の住宅ローンに借り換えをしたのは2014年4月。10年固定型の住宅ローンで、金利は1.4%でした。ただし、1.5%ポイントの優遇後だったので、当時の10年固定型の本来

          まずは借入金利が低下しました!~変動金利型住宅ローンが我が家に再びやってきた

          日本人観光客の延べ宿泊者数が減少~2024年3月の宿泊旅行統計調査と2024年2月の出入国管理統計

          観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2024年3月分が本日(4月30日)公表されました。「出入国管理統計」の「短期滞在」の入国外国人の動向ともにポイントをまとめたいと思います。 2024年3月の延べ宿泊者数、前年同月比8.2%増  2024年3月の延べ宿泊者数は5485万5800人泊であり、前年同月比で8.2%増加しました。2024年1月、2月と2ケタ増だったのですが、1ケタ増へ減速しました。外国人観光客の寄与が10.2%と2ケタ台を維持したものの、、日本人観光客の寄与がマイナ

          日本人観光客の延べ宿泊者数が減少~2024年3月の宿泊旅行統計調査と2024年2月の出入国管理統計

          「L字カーブ」の実態は?

           昨日、この住宅ローンの記事を読んでいたら「L字カーブ」という言葉を見つけました。「M字カーブ」の誤植かと思ったら、違うんですね。記事では「ペアローンにはもう1つ固有のリスクがある。若年女性の正規雇用率が上がる一方、その割合が年齢とともに下がる「L字カーブ」は依然、残る。出産などを機に妻の収入が減ったり途絶えたりすると、一気に返済が苦しくなるおそれもある」とペアローンを借りる際の注意点について指摘しています。日本経済論を教えるものとして不勉強でした(汗)。ただ、このL字カーブ

          2024年度はエネルギー価格中心の物価上昇になるか?~2024年3月の消費者物価

          昨日(19日)、2024年3月の消費者物価が公表されました。消費者物価の前年同月比上昇率は2月の2.8%から3月は2.7%と0.1ポイント縮小しました。一方、日経朝刊はコストプッシュ圧力が今後の消費者物価を押し上げるリスクを示しています。 生鮮食品及びエネルギーを除く総合に注目  消費者物価の代表的な指数は「総合」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の3種類あります。金融政策では、景気とは無関係に天候要因などで変動する「生鮮食品を除く総合」が注目され

          2024年度はエネルギー価格中心の物価上昇になるか?~2024年3月の消費者物価

          2024年以降の指数を使ってはダメ‼~毎月勤労統計調査

          ちょっと刺激的なタイトルになってしまいました。毎月のように「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の速報値の動向を書かせていただいているのに、「こんな変なことが起きてるんかい」と今頃気が付きました。 正確に言うと、経済分析などで「毎月勤労統計調査」の賃金、労働時間関連の指数を使う際は、2024年1月以降の値は使ってはいけないというのが結論です。 以下、その理由を説明していきたいと思います。 指数で計算した前年比と公表された前年比が合致しない‼  下の表をご覧ください。毎月勤労統

          2024年以降の指数を使ってはダメ‼~毎月勤労統計調査

          先月の経常収支黒字急増は幻だった?~2024年2月の国際収支

           昨日(4月8日)、2月分の国際収支統計が公表されました。今朝の日経朝刊では旅行収支の黒字が倍増したことが注目されていますが、主役はそれではありません。いつものように、季節調整値と原系列の前年同月差に注目しながら中身を確認していきたいと思います。 季節調整値で見ると経常収支黒字は急縮小  2月の経常黒字は季節調整値でみると1.4兆円。急増した2024年1月から一転して縮小しました。2024年1月(2.7兆円)からの黒字縮小に最も寄与したのは第一次所得収支の黒字縮小(1月:

          先月の経常収支黒字急増は幻だった?~2024年2月の国際収支

          実質賃金上昇率のマイナスが過去最長に並んだけれども…~2024年2月の毎月勤労統計

          「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の2024年2月分が本日(8日)公表されました。日本経済新聞夕刊は、実質賃金上昇率(▲1.3%)が23ヵ月連続のマイナス(2022年4月~2024年2月)と、リーマン・ショック前後の2007年9月~09年7月以来に並んだと報じています。  しかし、リーマン・ショックの時期は23ヵ月中18ヵ月、名目賃金上昇率もマイナスでした。名目賃金上昇率がプラスで、物価上昇率がそれを上回るために実質賃金上昇率がマイナスになっているのとは、だいぶ事情が異なりま

          実質賃金上昇率のマイナスが過去最長に並んだけれども…~2024年2月の毎月勤労統計

          延べ宿泊者数は6ヵ月連続で2019年同月超え~2024年2月の宿泊旅行統計調査と2024年1月の出入国管理統計

          観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2024年2月分が本日(3月29日)公表されました。「出入国管理統計」の「短期滞在」の入国外国人の動向ともにポイントをまとめたいと思います。 2024年2月の延べ宿泊者数、前年同月比17%増  2024年2月の延べ宿泊者数は4814万7890人泊であり、前年同月比で17.0%増加しました。2024年1月の15.6%増に続き、2ヵ月連続の2ケタ増です。外国人観光客の寄与が13.4%と、2024年1月の13.1%から若干拡大し、日本人観光客の寄与

          延べ宿泊者数は6ヵ月連続で2019年同月超え~2024年2月の宿泊旅行統計調査と2024年1月の出入国管理統計

          【お知らせ】『第7回中長期経済見通し研究会』の開催報告を掲載いたしました

          私が参加している東京財団政策研究所の研究プログラム「エビデンスに基づく政策立案(EBPM)に資する経済データの活用」の一環で実施している、中長期経済見通し研究会の第7回の開催報告をホームページに掲載いたしました。主要シンクタンクで経済見通しを担当するエコノミスト6人が日本経済の先行きについて議論しております。ご高覧いただければ幸いです。 この開催報告の掲載をもって2年半にわたった研究プログラムの成果発信が終わりました。下記のリンクで成果をまとめていますので、こちらもあわせて

          【お知らせ】『第7回中長期経済見通し研究会』の開催報告を掲載いたしました

          未払利息は辛かった(涙)~変動金利型住宅ローンの思い出

           日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、変動金利型住宅ローンの金利がいつから上がるのかに注目が集まっています。日経電子版の下記の記事でも、変動金利型住宅ローンの金利の金利の決定方法などを詳しく解説しています。その中で気になるのが以下の記述です。 利息が毎月の返済額を上回ると、未払利息が発生する  上記の記述では、「金利が上がれば返済額に占める利払い部分の比率が増え、元金が減るペースが落ちかねない」とあります。元金が減るペースが落ちるだけならまだしも、元金が減らずに、

          未払利息は辛かった(涙)~変動金利型住宅ローンの思い出