小清水志織

本音で嘘を書いているひとりです。小説、詩など好きなものを。

小清水志織

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マガジン

  • 詩集

    note をはじめたころから貯めてきた詩をまとめています。

  • 蒼生のレファレンス

    世界を知りたがる少女と、世界を知りたがらない青年。 星《ルーレタ》の導きによって結ばれた二人が不思議な事件に立ち向かっていく、異世界謎解きアドベンチャー。

  • 連載小説『言葉くづし』

    言葉では打ち消せない想いが、きっと真実。

  • 夏炉冬扇(中断)

    大変申し訳ありませんが、制作の途中で挫折してしまい、更新をストップいたしました。別のかたちで最後まで書き直したものが、連載小説『言葉くづし』(サイト内マガジンのひとつ)です。よければそちらをご覧ください。

  • そして誰も来なくなった

    有名なミステリの設定をお借りしつつ…。

最近の記事

動画配信サービスをはじめて

こんにちは、小清水志織です。 先日、アマゾンプライム(アマプラ)の月料金をコンビニで払ってきたんですけど、手数料こみでも千円いかないものに、(おっきなお札を崩したいから……)という邪な魂胆で店員さんに万札を手渡した不届き者がここにいます。店員さんごめんなさい。この場をお借りして懺悔いたします。嫌な顔せずちゃんとお釣りを出してくださったあなたは聖人です。今度大きいお金を崩すときはセミセルフもしくはセルフのレジにしますね、はい。 とまあ、いきなり罪の告白から始まった今週の n

    • それでも心臓は動いている。

      • Madoka

        ”さようなら” 君のその言葉が すべてのはじまり 夜が支配する永遠の世界で 生きる苦しみに満ちた世界で ただひとつ希望の環が しずかに拡がった 地球は月を追いかけて廻りつづける 褒められることも 貶されることもなく 転がりながら 美しい弧を描く 衛星は 大きな星に守られているのではなく 大きな星を衛るために 存在している ひとつの環が ふたつみっつと重なるとき 軌跡は不規則な真実を見出し 奇跡は不可解な現実となる ”さようなら” すべてがはじまった 君の言葉が やがては

        • ジグザグの道

          帰り路の足どりが軽いのは ちょっと前に辛いことがあったから 吸いこむ風が心地よいのは ちょっと前に風邪を引いたから いやなことは     ながれて たのしいことは      固まって 生きのこることは       切なくて ただしくないことは        つよくて ジグザグに折り返す道を 飽きもせずに歩きつづけて 後ろを振り向いたときにふと たどってきた道のりの長さに 戦慄する 泡を吹いて消えたら 風を飲んで飛べたら 光を模して死ねたら 月に怯えて吠えたら どんなに

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        • 詩集
          151本
        • 蒼生のレファレンス
          21本
        • 連載小説『言葉くづし』
          22本
        • 夏炉冬扇(中断)
          10本
        • そして誰も来なくなった
          22本

        記事

          バトン

          受け継ぐことは ずっと良いことばかりじゃない 欲しくなかったものすらも 気づけば握らされている きっと地球財産の半分は 触れたくないもので出来ていて でも誰かが受け継がないと 地球が半分こわれるから 世代を超えて守っている しかたなく しかたなく 血と矛盾と強欲と慣習とを 受け継いでいる それでいて それでいて 身と正統と権利と安全とを 保証されている いま生きている世代が 勇気を出して浄化槽になれたとき 自分たちが汚れたぶん 未来はちょっとだけ きれいになるだろうに

          【詩】Confused Images

          眉間に皺を寄せる代わりに 脳みその皺を寄せよう 血液が運んでくれるのは 赤い記憶と黒い自分 足元の影をふみながら 自由気ままに呪いをかける 春の風に絞られ 秋の月に怯える僕らは ただ歩くことでしか救われない 気づいて エコー 見つけて エコー 天文学的な希望を胸に秘めて 信じもしない神さまとのダンスを夢見る そんな幽霊以前の人間の 実に多いこと 多いこと 数千年の歴史によって完成した 卓越した脆さの市町の 実に多いこと 多いこと 足元の影をふみながら 自由気ままに呪いをかける

          【詩】Confused Images

          【作品分析】TVアニメ『逃げ上手の若君』のココがおもしろい!!

          こんにちは、小清水志織です。 お盆休みは割とゆっくりできていたのですが、8月後半から公私ともどもやるべき仕事が増えてきて、相変わらずネズミのように走り回る日々でございます。 そんな忙しい毎日でも、おもしろいアニメ作品を見つけ、探求することはやめません(執念)。というわけで、今回はまさにいま話題の『逃げ上手の若君』を取り上げたいと思います! 〈おことわり〉以下の文章は2024年7月から放送中のTVアニメ版のみに基づく感想・分析であり、小清水個人の見解にすぎませんので、あらか

          【作品分析】TVアニメ『逃げ上手の若君』のココがおもしろい!!

          テスター

          薬局の洗剤コーナーで揺れている 小さな桃色のテスターを手にとった あれ おかしいな 洗剤の名前は初めて見るのに 僕が知ってる匂いだ ああ そうか ああ 思い出してしまった これは君の匂いだ もう隣には居ない君の匂いだ いい匂いがする女の子と 仲良くなれた春を誇らしく思っていた そんなことは君に言わない 変態だって思われたくはない 放課後に君の後ろを歩いたとき 二人でお弁当を食べたとき 君が髪の毛を縛ったとき こころ溶けそうな匂いがした そのたびにエンジンがかかって ます

          言葉の綾取りをやめたい

          嗚呼 一刻も早く 言葉の綾取りをやめたい 止めれども 病めれども 蜘蛛の糸のごとく 吐き出される言葉 からまって ほつれて つながって やぶれて ときおり きれいな形になる ネタも 流行も 諧謔も ベタも 解釈も 炎上も なんでもない ほんとうは なんでもない 〈手〉ばかりが編み出した言葉を 〈目〉ばかりが貪っていくから 言葉で雁字搦めになったぼくらの手は 侵されていく 奪っていく 燃えていく 灰になっていく 日本人の平均寿命は延びたのに 日本語のなんと短命なこ

          言葉の綾取りをやめたい

          光陰

          アウトロの余韻がひびく帰り道 夕陽の映す影ふたつ リュックを背負う君の笑顔に 涼しい風が吹いた やりたいこと一色のぼくらの十代は 未来に何を残すの かたちのない贈り物さえも 信じる勇気が欲しいけど あまりにも はかなすぎる光 花びらを転がる雫のように 美しいものは流れていく 乾いた地面に染みていく 王道の青春は夢でしかない 叶える努力も不安しかない 可能性だけがぼくらのすべて 涼しい風よ 吹け やりたいこと一色のぼくらの声を 社会は受け止めてくれるの かたちにして届け

          私の「アニメ原体験」を語ります

          こんにちは、小清水志織です。 私は仕事から帰って眠る前の数時間によくアニメを視聴するのですが、このところ何故か、自分がアニメに没頭するきっかけになった頃を、よく思い出すのです。 X や note であたかも古参のようにアニメを語っていますが、実を申せば本格的にアニメを見始めた(正確には「見直し始めた」)のは2022年の秋ごろからなんですよね。ベテランの皆さんとは比べられないほど経験が浅く、観ておくべき作品も(頑張って観ていますが)まだまだ追いついていません。 しかしながら

          私の「アニメ原体験」を語ります

          【ミニ旅】一乗谷に行ってきました

          今週8月14日(水)、石川県に暮らす私は、生まれて初めて福井県の一乗谷に行ってきました。 いやいや、正直にいうと、きちんと計画を立てて旅行をするのも、自分の運転で県境を越えるのも、生まれて初めてだったのです。 だからカーナビが「福井県に入りました」と告げたとき、「よっしゃあー!」と喝采を(心の中で)叫んだものでした。 旅行好きの方には信じられないと思いますが、育った家庭が貧乏で、おまけに自分の根が出無精だと「おとなりの福井県すら外国」に思えてくる(福井にお住まいの方ごめんな

          【ミニ旅】一乗谷に行ってきました

          【絵✕詩】あの杉は

          ああ あの杉は かつて星になりたかった者たちを かつて星になれなかった者たちを 幾度となく 見送ってきたのだ 木陰に立つ少女は笑う 笑うったら 笑う 太古のその昔から 人はただ流れることだけを 確かな定めとして生きてきた 近づけば不揃いで 遠ざけば没個性の 升目に囲まれた世界 話しても分からない世界 あなたもその一味に加担している世界 目を肥やし 耳を失った 愛することでしか救われない何かを知らぬ そんな人を見て少女は笑う 時間は弧を描き 余白は孤を深め あたかも幻の死を我々

          【絵✕詩】あの杉は

          書き言葉でも、話し言葉でもなく。

          人になにかを伝えるって、とても大変なことだと思う。 もしかすると私は「伝える」というたった四文字、漢字で書いたとしても三文字で済んでしまう行為を達成するために生きているのかもしれない。そう思ってしまうほど、私にとって、とてつもなく大変な作業。 毎月の職場の会議で、簡単な(はずの)報告をすることがある。できるだけ綿密なレジュメを作り、会議前にも目を通して、いざ会議室へ。しかし、いざ私が報告する段になったとたん、うまく言葉が出てこない。さあて困った。私は本当に出来の悪い社会人だ

          書き言葉でも、話し言葉でもなく。

          ソフトドリンク

          あの夏をやり直せたらと 立ち止まる風が笑っている 名前のない空模様を眺めて 君はただ美しいねって褒めて  それですべて描き切ったように これでぜんぶ終わりみたいに 笑って笑って 消えた 空の 波間に 消えた 夏をさわがす心音と 湖月をゆらす波紋たち 笛吹男の影さがす 君は何をしたかったんだい? あれから幾ら経っただろう 想い出は幾ら減っただろう こころの寒暖差がこわくて 廻りめぐるプレイリスト 聴き足りないを埋めながら やるべきことは僕の中にあって 考えている途中のもの

          ソフトドリンク

          【詩】仮面の下

          ひとりビートを刻むしか この気持ちを抑えられない 仮面の下で歌っていたのは 取り憑かれたような秋の月 紅葉が流れる川の上  さらさらと照らされる 正体がばれるのはいつだろう 畏れることはない 恥じ入ることもない それでも あと一音が足りない 非常事態宣言ベルが鳴る 非情みたい天変地異が来る きっと敵はあいつだから その日が来るまでここで歌っていよう 数多の夏休みを超えても 欲求不満の頭は泣いている 画面の上で跳ねるサウンド 心は常に飢えたハウンド 木葉の色味が変わ

          【詩】仮面の下