2020.04.20 雨の日に。

前回のnoteを書いてから、早3ヶ月以上経ってしまった。あれから、双子が歩き回るようになり、夜になるとクタクタで、本すらろくに読めない毎日だった。当然、文章を書く余裕もなかった。

しかし、3ヶ月前には全くその存在すら知られていなかったウイルスによって、私たちの生活は大きく変わることとなった。この未曽有の出来事の記憶を残しておきたい。あの時、何を考えていたのか記しておきたい。そう思い、パソコンを開いた。

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この週末はついていなかった。一昨日発熱したのだ。といっても37度台前半をうろうろしている微熱なのだが、今この状況下での発熱は精神的に堪える。もしかしてコロナなのではと悪い方向に考えが向いてしまう。今日になって熱は下がったものの、身体がだるくて動けないので、3月末から家でテレワークをしている夫に休みを取ってもらった。

今日は雨なので、子どもたちを連れて散歩にも行けない。こういう日は、食を充実させる方向に楽しみを持っていくのが一番だ。お手伝いをしたい盛りの長男と一緒に作って楽しめるものということで、餃子を作ることにした。双子が生まれてから、餃子なんて一度も作っていない。いや結婚してからも、数えるほどしか作っていない。以前は、食事作りに時間をかけるなんてばかばかしいと思っていた私が、最近はそう思わなくなった。家族で協力してごはんを作る時間は愛おしいし、何より美味しい。

食後は、子どもたちがそれぞれ遊んでいたので、録画してあったNHKドキュメント72時間を見た。これが素晴らしかった。「大病院の小さなコンビニ」という回で、館山にある亀田総合病院のコンビニを訪れる人たちの様々な思いに触れられていた。中でも一番印象的だったのが、30歳の産婦人科の女医さん。当直明けでレッドブルを2本一気飲みしていた姿が映されていた。
「「おめでとう」って言えるのは、うちの科だけ」という理由で産婦人科を選んだ彼女。でも「辛いです。扱っているものが重すぎて」と本音も漏れた。それでも、キラキラと輝いて見えた。

彼女のことが気になって、後から調べてみた。1984年生まれで、2浪して医学部に入ったらしい。ということは、私と同い年。そして同じ年に大学に入学したことになる。つい彼女と比べてしまう。
早くから医師という職業を目指して、努力してきた彼女。医学生時代から性教育に関する活動を展開し、産婦人科医になった。一方、やりたいことなんて何もなくて、現役の時は消去法で文学部に入った私。流されるままに就職したものの会社に入ってからもやりたいことが見つからず、全く違う分野でやりたいことが出来て、この年で2回目の大学に入り直した。10代で明確な夢があるって、何て素晴らしいんだろうと思う。私は回り道ばかりで、大成しそうもない。でも仕方ない、これが私の人生なんだと半ば諦めに近い気持ちになる。彼女の著書を買ったので、読むのが楽しみだ。

雨で引きこもりの時間を過ごしているうちに鬱々とした気分になってきたので、夫と長男に家のすぐ近くの商店街のケーキ屋にケーキを買いに行ってきてもらった。私が小学生の頃から商店街の変遷を見てきたが、当時から残っている店は数軒しかない。その一つがこのケーキ屋で、店主ご夫婦の人柄もあって地元の人々から愛されている。夫によると、店主のおじいさんはだいぶ耳が遠くなっているらしい。もう80代になるだろうかという店主、元気に美味しいケーキを作り続けてほしい。

ケーキを食べたら元気が出てきて、どうにか1日を終えることが出来た。こういう時代だからこそ、美味しいものには救われる。コロナが収束したら、美味しいものを食べに行きたい気持ちでいっぱいだ。