② 今までのカリキュラムマネジメントの実際

カリキュラムマネジメントと言えば「単元や教材の内容を関連させるもの」と思われる方も多いかと思います。今までは、そのようものが教科を関連させたカリキュラムマネジメントの代表的なものとして公開されてきました。
具体的に4年生を例にすれば、国語科教材の『世界にほこる和紙』と社会科単元の『きょう土の伝統・文化と先人たち』とを関連させ、自分たちの都道府県内の伝統文化や産業を理解させていく。そして、そこから各校独自の総合的な学習の時間の単元『私たちの市の伝統』に発展させることによって、自分たちの地元について探究させていくようなものです。
このようなものには、環境や福祉、国際理解などの例が多くみられます。

これはこれで意味があるものでしょう。
「伝統的な文化や産業」等についての知識や理解が深まることになるのですから。

ここで「教科横断的な視点」について考えてみましょう。

確かに、上記のように教科間の学習をつないでいくことが「教科横断」であると言えるでしょう。しかしながら、各教科には各教科の目標があることになります。例えば、国語科教材の『世界にほこる和紙』は国語科の目標達成のために存在する教材です。「和紙について理解を深めさせること」は国語科の目標ではありません。『世界にほこる和紙』という教材を用いて4年生の指導事項である「段落相互の関係」を把握する能力を高めることが国語科教育では必須となるのです(「教材を教える」のではなくて「教材で教える」のです)。

よって、「教科横断的な視点」とは「教科を横断させることによってそれぞれの教科の目標がよりよく達成される」ことが最も重要なポイントになっていなければならないのです。
その上であるのならば、上記のような教材や単元の内容を関連させることも可能となるのです。決してこれが優先されることはないのです。

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