はじめて飲んだお酒の味をもう思い出せない
20歳を超えてから10年以上が経った。お酒とはいつの間にか親しくなって、今では顔を合わせない日はない。マブよマブ。
親しい友人と出会ったときのことを思い出せないように、お酒と出会った頃のことを思い出そうとしたら、すっかり分からなくなっていた。
いったい何を、どこで、どんな気持ちで飲んでいたんだろう。ビールで「これの何がうまいというんだい」と言っていたのかな。それともファジーネーブルなんかで「ジュースみたい」とか思っていたかな。あぁ、お店じゃなくて友人の家でチューハイを飲んでいたかもしれない。
うっすらと覚えているのは、一時期は杏露酒にハマっていたということ。おいしくて選んでいたというより、格好つけていた。梅酒はみんな飲んでいるし、「杏露酒ください」って言うのがちょっとツウなかんじがすると思っていたのだ。
父や母が飲んでいて大人になるまで飲めないアレっていうのは、憧れの飲み物にならない方が無理だった。ゆえに恥ずかしながら私はお酒を飲めるのが格好いいと思っていたタイプで、格好いいを基準にビールやハイボールなどいろんなジャンルを開拓していったような気がする。
ただ20歳になったからといって親の前でお酒を飲む姿を見せるのはどうも恥ずかしくて、家ではなかなか飲めなかった。うちの親は「飲めるようになったね!さぁ飲んでみようか。乾杯しよう!」っていうタイプでもなかった。粛々と、毎日嗜むのだ。
そもそも20歳になる瞬間って何かスイッチがあるわけでもないし、自分自身は1日では何も変わっていなくて、本当に飲んでいい実感がない。「私、昨日は飲めなかったけど今日は飲んでいいの?どうして?」ってかんじだ。その感覚はすごくよく覚えている。
今20歳になった自分が目の前に現れて、お酒何から始めたらいいかなと問われたら、なんと答えるだろう。すごい調子に乗ってベラベラ喋りそうで怖い。
でもやっぱり飲みやすい缶チューハイから始める方がいいかなぁ。アルコール度数もいろいろ試して自分を理解しておくと、お店で失敗しづらい(しないとは言ってない)。やっぱりなんでも試しに飲んでみるのがいいと思う。缶ビールはグラスに出した方がおいしいよ!と伝えたい。
あとは、無理だったら私が全部飲むから一緒にいろいろ試そう〜!って言いたい。悪い親戚代表である。
未知の楽しみがたくさんある状況がとっても羨ましい。
だけど、10年以上飲み続けてもお酒はまだまだ未知のことがたくさんある。ワクワクする深〜い世界。そんなことも教えてあげたい。
お酒と仲良くなってからは辛いお酒を好むようになり、杏露酒を選ぶことはほとんどなくなった。なんだか無性に飲みたくなってきたな。今度久しぶりに買ってきてみよう。
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