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汚職撲滅の行き過ぎで、あらゆる行政機関で決裁の渋滞?!

 ベトナムではコロナをめぐる二つの大汚職事件で、逮捕者が数多くでている。

 一つはPCR検査機械の導入にあたっての汚職だ。こちらは機械の納入業者が保健省本省や地方の保健局や病院などへの贈収賄事件である。

 もう一つは海外に暮らすベトナム人がコロナによる航空便の停止によって帰国できなかった人に対する特別便を巡り、不当に高い料金を設定し、交通運輸省や外務省・在外公館関係者がそこから賄賂を受け取っていた事件である。

 後者では在日大使館大使や大阪、福岡の総領事まで同時に帰国命令が出て、大阪の領事は逮捕され、他の大使・領事らも取調べを受け、逮捕される可能性も取り沙汰されている。

 保健省大臣、交通運輸省大臣が罷免された。コロナで苦しんでいる国民をよそに共産党員や役人たちが私腹を肥やしていたとあって、国民からの批判は大きい。

 汚職事件にメスがはいるのは歓迎だが、ベトナムの官僚は自ら決裁した案件で、収賄があったとみなされれば、逮捕されてしまうとあって、皆ただちの決裁を渋るか、先延ばしにする傾向にある。そのため、ありとあらゆる公共事業や国や公の機関の活動が停滞してしまっているのだ。

 国立病院では医薬品の購入決裁を院長が渋るために薬品を購入できず、医師や事務方がが自腹で医薬品を購入してしのいでいるという。

 汚職撲滅は必要だが、経済活動にまで支障をきたすとなっては本末転倒と言わざるを得ない。早期の解決が望まれる。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2022年12月号掲載


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