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ウクライナ在住「ベトナム人」の安否気遣うベトナム

 ウクライナへのロシア軍の侵攻が本年2月24日未明に開始された。ウクライナの都市が次々と攻撃され、キエフ近くの空港やチェルノブイリ原子力発電所も占領された。「ウクライナへの軍事侵攻の意図はない」とプーチン露大統領は懸念する各国首脳に説明してきたが、結局決断はゆるがなかった。

 ベトナム戦争が終結後、ベトナムは経済的な危機を迎え、産業復興も、商品輸出もままならなかった80年代、ベトナムは国として社会主義「兄弟国」への労働力輸出、海外出稼ぎを奨励した。ソ連をはじめ東ドイツやポーランドなどの東欧諸国へも多くのベトナム人が「出稼ぎ」にでた。

 現地で結婚や事業をはじめたものも多く、そのまま出稼ぎに出た国の国籍を取得し、ソ連・東欧の体制崩壊後も在留している「ベトナム人」は多い。
 ウクライナには1万人とも3万人とも言われるベトナム系ウクライナ人が住んでいる。ベトナムの報道ではその多くがベトナム北中部の貧しい地域から移住したが、現地でもガイドや家屋の賃貸、僑胞子息の教育に従事し、決して豊かではないという。

 ビングループの総帥ファム・ニャット・ヴオンは1990年代にソ連に留学し、その後ウクライナで起業して即席ラーメン製造で財をなした。

 かようにウクライナとは縁の深いベトナムだが、西側とロシアの外電を翻訳して伝える客観報道に徹している。親族や事業でウクライナとつながっている人々には毎日つらい報道が続く。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2022年3月号掲載


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