新妻東一

在ベトナム・メディアコーディネーター。旅行会社経営。ベトナムと日本の近現代史、特に仏領…

新妻東一

在ベトナム・メディアコーディネーター。旅行会社経営。ベトナムと日本の近現代史、特に仏領インドシナ、仏印進駐時代の美術・文化交流史、鉄道史に興味あり。

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  • ベトナム・エンタメ通信

    日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」に掲載された記事をウェブに再録。

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自己紹介 氏名:新妻東一(にいづまとういち) 生年月日:1962年5月19日 出身地:日本国東京都 経歴:1988年、東京外国語大学外国語学部インドシナ語学科ベトナム語専攻卒。1986年、三進交易株式会社(貿易業)入社。2004年、同社ベトナム駐在所長。2010年、三進ベトナム株式会社(旅行業)をハノイに設立。テレビの取材コーディネート、ウェブ記事のライティングも手掛ける。 資格:旅行業取扱主任者資格 ベトナム語のビジネス会話通訳・ビジネス文書翻訳。ベトナムの近現代史、鉄道

    • コロナが明けててんてこ舞いの日々

       コロナの3年間は仕事がない、という悩みだったが、コロナが明けてからは、仕事が次々とやってきて、目が回る忙しさ。受けた仕事をすべてこなせるかどうかという悩み。仕事をすれば色々トラブルもあるし、それを一つ一つ解決するのもたいへんだが、これも仕事がない、という悩みよりは悩みの質が違う。ありがたい悩みだと思えば、どうということもない。  一時は会社の閉鎖も考えたが、「蓄え」と有機野菜のネット通販やら、物書きをするなど、旅行業以外の仕事をして食いつないできたことは、次になにがおきて

      • 日越友好の証、ディーゼル機関車DD11形修復なる

         2月24日、ハノイのザーラム機関車工場。国労はじめ全交運労組がベトナムの南北統一を記念して寄贈した機関車DD11が日越友好の証として保存のために修復され、そのお披露目式が催された。  ベトナム側はベトナム国鉄労組副委員長、ザーラム機関車工場労組委員長、日本側は友好協会・東日本鉄道支部の藤野支部長を団長とする一行に加え、協会事務局長の柳さん、国労の松川委員長が参加した。  機関車DD11の修復のための募金活動がはじまってから8年が経過しての修復完成だから当事者の方の感慨も

        • 旧正月に響き渡るカラオケ騒音に想うこと

           旧正月を今年も妻の実家があるタイニン省で過ごした。朝晩は20度程度と肌寒いが、日中は30度を超える。ハンモックに横たわって昼寝をするのにも心地よい気候だ。  旧正月ともなると連日、朝から晩まで隣近所のカラオケの騒音がひどい。歌がうまいならまだしも、音痴が歌っているといたたまれない。当初は騒音妨害だと怒鳴りこもうかと思うほどだが、次第に慣れてしまい、旧正月も終われば静けさも戻るだろうとあきらめる。  最近はキャンプ場やビーチにカラオケマシンを持ち込んで盛り上がる人たちもい

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          ベトナム人女性の写真撮影好きは「自分を愛すること」の現れか

           ベトナムではプロの写真家に撮影してもらう機会が多い。結婚式、子どもの誕生日、学校の卒業式、あるいは会社のイベントとして社員全員の撮影会もある。女性ならば新しいアオザイを新調して街や花畑にくりだし、プロのカメラマンに撮影してもらう。撮影費用はカメラマン、メイク、アシスタント込みで一人当たり220万ベトナムドン、約1.2万円ほどなので、結構な金額だ。遠出をすれば、さらに車両費がかかる。ちょっとした出費だが、それでも写真撮影好きな中年女性は、季節ごとにアオザイを新調して年4回も写

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          汚職撲滅の行き過ぎで、あらゆる行政機関で決裁の渋滞?!

           ベトナムではコロナをめぐる二つの大汚職事件で、逮捕者が数多くでている。  一つはPCR検査機械の導入にあたっての汚職だ。こちらは機械の納入業者が保健省本省や地方の保健局や病院などへの贈収賄事件である。  もう一つは海外に暮らすベトナム人がコロナによる航空便の停止によって帰国できなかった人に対する特別便を巡り、不当に高い料金を設定し、交通運輸省や外務省・在外公館関係者がそこから賄賂を受け取っていた事件である。  後者では在日大使館大使や大阪、福岡の総領事まで同時に帰国命

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          ハロウィンはハノイでも子どもや若者たちで大賑わい

           毎年10月下旬はハノイでもハロウィンで賑わう。特に子どもたちは好みのヒーロー、ヒロインになりきった仮装ができるので大喜びだ。  ハロウィンには私の末娘が通う小学校では思いおもいの服装で学校に通うことが許される。ハリーポッターや魔女、スパイダーマン、「鬼滅の刃」の禰󠄀豆子など、好みのキャラクターのコスチュームを身にまとい、クラスでのハロウィン・イベントを楽しんだようだ。  ハロウィンは死者を弔う古代ケルトの風習であったものがキリスト教と結びついて発展し、ジャガイモ飢饉によ

          ハロウィンはハノイでも子どもや若者たちで大賑わい

          円安で日本のランチがベトナムより安く感じられる時代に

           円安である。ベトナムドンは日本円に対して恐ろしいほど高いものになってしまった。日本円1円に対して160ベトナムドンだ。  ついこの間まで1円はおよそ200ドンだった。2万ドンは約100円。タクシーの初乗りが2万ドン、100円。観光地でボトル入りの水を購入すれば1万ドン、50円。  ベトナムドンの価格からゼロを二つとって2で割ればおおよその円価格が暗算できた。それが今や1米ドル=145円だ。1円200ドンの時代からしたら日本円は2割もの減価だ。  ドンとドルはペッグ制(

          円安で日本のランチがベトナムより安く感じられる時代に

          秋の訪れを告げる「バインチュントゥー」の販売所

           旧暦8月15日は中秋節である。今年は新暦9月10日。中秋節の1ヶ月前からバインチュントゥー、月餅の販売所がハノイの街の各所に臨時で設けられる。私の住むマンションの近所にも5、6軒並んでいる。  90年代、この時期にハノイに仕事で出張するとお土産にこのバインチュントゥーをいただいた。米粉・小麦粉で作られた皮の中に緑豆、ハスの実、ナッツ類、卵の黄身や豚の脂身などが入っていて、一片が20cmほどもある大きなものだった。一口食べるとお腹がいっぱいになるハイカロリーなお菓子だ。外国

          秋の訪れを告げる「バインチュントゥー」の販売所

          日本のコロナ感染拡大、円安、燃料費高騰。回復またれるベトナムの旅行業

           ベトナムでは本年3月15日からコロナ前の通常通り、日本のパスポートを所持している方なら商用、観光目的を問わず、15日以内の渡航はビザなし、コロナの陰性証明もワクチン接種証明も海外旅行保険の加入の有無も問われることなく入国できるようになった。  これで海外や日本からの旅行のお客様も元通りになるだろうと安堵していたのもつかのま、日本ではコロナの変異株が新たに発生し、感染が拡大、1日に20万人という感染者が報告されている。感染者が増えれば重症者も死者も増えるからやっかいだ。

          日本のコロナ感染拡大、円安、燃料費高騰。回復またれるベトナムの旅行業

          ハノイの新たな公共交通手段、EV車両の「ビンバス」

           ベトナムの交通手段といえばオートバイだが、バス路線も思いのほか発達している。ただハノイ市が運営するハノイバスは評判が悪い。車両は清掃、整備が悪く薄汚れ、きちんと停止せずに乗客を乗降させ、平気で急停車、急発進を繰り返し、乗り心地も極めて悪い。車掌も横柄で不愉快極まりない。  そこへベトナムの新興財閥であるビングループがバス運行サービスを開始した。傘下の自動車製造メーカーであるビンファスト社に車体を作らせ、これまた傘下のビンバス社がバスの運行を担当する。バスは電動モーターで走

          ハノイの新たな公共交通手段、EV車両の「ビンバス」

          日本の文豪たちの小説がベトナムで読まれている?!

           「お父さん、Dazai Osamuの”Thất lạc cõi ngừoi”読んだことある?」と娘にたずねられた。太宰治は私の中学校時代の教科書に「走れメロス」が掲載されていたし、それをきっかけに私も太宰の短編小説は一通り読んだ。「”Thất lạc cõi ngừoi”、人の世を見失う?、ああ『人間失格』か。読んだことがあるけど、そんなに面白くなかったな」そう答えると「この本を読んで読書感想文を書いて先生に提出しなければならないんだ。ちょっと読んでみる」と言って娘は作品を

          日本の文豪たちの小説がベトナムで読まれている?!

          ビザなし渡航が再開したベトナム、でも感染者数は1日数万人

           3月15日、ベトナムは日本を含む13ヵ国からのベトナムへの査証なし渡航を再開した。搭乗72時間前の陰性証明さえ取得できれば日本発ベトナム行きの飛行機に搭乗することができる。ベトナムに到着しても検査も隔離もない。そのまま空港から車に乗って市内観光もできる。ワクチン接種も海外旅行保険の加入も条件となっていない。日本からベトナムへの業務渡航を希望する人にとっては朗報だ。  ベトナムのコロナ感染者数は今も毎日十万人近くにのぼっている。感染してもほとんどの人が無症状か鼻水、喉の痛み

          ビザなし渡航が再開したベトナム、でも感染者数は1日数万人

          ウクライナ在住「ベトナム人」の安否気遣うベトナム

           ウクライナへのロシア軍の侵攻が本年2月24日未明に開始された。ウクライナの都市が次々と攻撃され、キエフ近くの空港やチェルノブイリ原子力発電所も占領された。「ウクライナへの軍事侵攻の意図はない」とプーチン露大統領は懸念する各国首脳に説明してきたが、結局決断はゆるがなかった。  ベトナム戦争が終結後、ベトナムは経済的な危機を迎え、産業復興も、商品輸出もままならなかった80年代、ベトナムは国として社会主義「兄弟国」への労働力輸出、海外出稼ぎを奨励した。ソ連をはじめ東ドイツやポー

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          歴史はその切り取り方で、現実外交に正負どちらにも働く〜オペラ「アニオー姫」に思う

           来年2023年は日越外交樹立50周年記念だ。その記念作品として創作オペラ「アニオー姫」の制作発表がこのほど行われた。ベトナム国立交響楽団の音楽監督である本名徹次氏や漆画家の安藤彩英子氏など、私の知人の多くが本プロジェクトに参加する。  「アニオー姫」は17世紀初頭、日本が鎖国する以前、朱印船貿易華やかなころ、長崎の商人・荒木宗太郎と広南阮氏の「アニオー姫」との恋物語で実話をもとにしている。長崎では輿入れの行列が壮麗だったことから、おくんち祭りの出し物の一つとなっている。ま

          歴史はその切り取り方で、現実外交に正負どちらにも働く〜オペラ「アニオー姫」に思う

          「ゼロ・コロナ」から「ウィズ・コロナ」に舵をきったベトナム

           コロナ感染予防のため、市内での運行が禁止されていたバス、タクシーの運行が先日ようやく再開された。私も早速タクシーに乗車した。運転手は「社会隔離の間、家でじっとしていた。仕事に出られるのがこれほどうれしいとはね」という。  不要不急な外出するな、買い物も3日に一度にせよとの規制は2週間程度なら耐えられもするが、2、3ヶ月もとなると限界がやってくる。ベトナムは補助金や給付金が出るわけでもない。日銭で毎日生活している人も多い。蓄えがなければ生活は成り立たない。  社会隔離でも

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