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東大で全10学部の授業を一度に履修してみた話 (進振りの最適解は教育学部だったかもしれない)【前編】

こんにちは。トと申します。

現在、東大工学部の学生です。
今回は、私が3年の秋学期に東大にある全10学部の授業をすべて一つずつ以上履修した話を書こうと思います。

まず、東大には全部で10個の学部があります。

理系学部は、理学部、工学部、農学部、医学部、薬学部の5つがあり、文系学部は、法学部、経済学部、教育学部、文学部、教養学部の5つがあります。

そして私は、工学部の機械工学科に所属しています。

東大の機械工学科の3年秋学期では模範的には以下のような時間割になります。

機械工学を学ぶ上で質量ともに必要十分な知識が得られるように考えられた時間割だと思います。

東大機械工学科公式ページよりhttps://www2.mech.t.u-tokyo.ac.jp/education/timetable/

そして、今回全学部履修に挑戦した私の時間割は以下のようなものです。


文理問わずさまざま授業が並んでいます。

個人的には、せっかく総合大学に来た意味を強く感じられるようなとても楽しい時間割が出来上がってすごく気に入りました。

リベラルアーツとはこのようなことをいうのでしょうか。

このような特殊な時間割で約半年間授業を受けた感想や得た知見、体験談を話していこうと思います。


他学部履修の扱いについて

そもそも私が所属する学科における他学部履修の扱いがどうなっているかについて説明します。

他学部履修が卒業単位に算入できるのは10単位まで(但し算入できるかどうかは学科長の判断による)となっております。

基本的に1授業あたり2単位もらえるのですが、私は3年秋学期以前にすでに4単位他学部履修枠を持っていました。そのため、今回の全学部履修の挑戦で18単位取得しても、12単位分は無駄になるという計算です。

工学部の卒業単位は95.5と全学部の中でもかなり多い方で、そうでなくても必要単位数が多い中今回12単位分を捨てるかもしれない挑戦をしようとしているわけです。

そして「但し算入できるかどうかは学科長の判断による」という文言が気になるのですが、どうやらほとんどの単位が認められるということなので、この点の心配は無用だったようです。心の広い学科長で助かる、、。

履修計画パズルが難しすぎる

上でさらっと時間割を紹介しました。

いっぱい授業があるなーくらいに思われたかもしれませんが、この時間割を決めるのにかなり多くのことを考えました。その過程をここに記そうと思います。

まず、機械工学科の模範的な時間割を確認すると、なんとすでに必修が6コマ、その他選択科目も併せて18コマあります。

私は工学部の他に9学部の授業を履修しようとしているのでそのまま他学部の授業を追加しようとすると18+9で27コマとなり、1-5限×5日間で25コマの上限を超えてしまいます。

自分の学部の卒業や学習の理解にもかかわるので、なるべく工学部の授業を削りたくはなかったのですが、全学部履修を成功させるためにとりあえず工学部の授業を18コマから16コマに削って、残りの9コマで他学部履修をすることにしました。

経済学部と法学部の授業は2コマセット!

そう思って、様々な学部の授業のシラバスを見てみると、なんと経済学部と法学部は多くの授業が2コマセットで行われているということに気づきました。

経済学部は秋学期を前半後半の2つのタームに分けてその代わりに各タームで週に2コマ授業をするというのが通例のようです。法学部も2コマセットなのが普通のようでした。

私の場合、1つの学部のために2コマ割くことは履修することができる工学部の授業の数が減ることを意味し、それは卒業が遠のくことを意味するので、避けようと決めました。

その時点で、経済学部と法学部から履修できる授業の候補数が激減し、さらに法学部で言えば、「刑法」とか「民法」のような王道の授業を履修できないことが確定しました。

結果として、法学部から履修する授業は「イスラーム法」という法学部生にとってはかなりマイナーな授業を選択することになりました。

経済学部からは「障害と経済」を選びました。

地理的制約

全10学部のうちほとんどは本郷キャンパスで開講されているのですが、ただ1つ、教養学部だけは駒場キャンパスで開講されています。

駒場キャンパスと本郷キャンパス間の移動はおよそ1時間かかり、急げば昼休み中に移動できるかどうかくらいの時間です。

私の場合全25コマ埋まってしまうことがほぼ確定していたので、仮に昼休みに移動できたとしても午前または午後のどちらかは必ず駒場キャンパスで過ごさなきゃいけないことになります。

そうすると必然的に1コマ分のロスが生じてしまうことに気づきました。
そこで、教養学部からはオンラインで開講されていて、対面で出席する必要のない授業を選ぶことにしました。

もし私がオンライン授業が定着する以前であるコロナ禍以前にこの大学に入り、全学部履修チャレンジをしようとしていたら、この地理的制約ゆえにあきらめてしまっていた可能性が高かったでしょう。

そう思うとオンラインで講義をする環境が整備されていい時代になったと思います。
教養学部からは「認知脳科学概論」を履修しました。

地理的制約は駒場本郷間の問題だけかと思ったのですが、農学部も問題でした。農学部の授業は弥生キャンパスで開講されます。

弥生キャンパスは本郷キャンパスから道路一本挟んだ隣の立地にあるのですが、本郷キャンパスはとにかく広いので、本郷キャンパスの端から弥生キャンパスへの移動は10分の授業間の休憩ではかなり急がないと間に合いません。
よくある罠としては、理学部の建物はだいたい第二食堂の近くにあるので、理学部と農学部の授業なら連続して取れると思いがちなのですが、理学部2号館だけ赤門の方にあり、その授業を取ってしまうと二つの授業間でダッシュすることになります。

他にも教育学部や経済学部と農学部の授業を連続して取るのも厳しめです。

医学部医学科は他学部履修できない

医学部からも授業を取ろうと思って調べていると、医学部医学科のほとんど授業は他学部履修できない、ということに気づきました。

はじめ医学部といえば医学科のことしか気づかなかったのですが、東大の医学部には健康総合科学科もありそちらの授業は他学部からでも履修できるようになっていたので、健康総合科学科の「感染症」という授業を履修することにしました。

曜限の制約

当然、曜限の制約も強くあります。私の場合、自分の学科の必修だけで月木金の3,4限が埋まっていました。

そして、いろんな学部の色んな授業は均等には配分されておらず、全体としては特に2,3,4限あたりに授業が集中しているような傾向にあるような気がします(体感です)。

そのせいでただでさえ大変な履修計画パズルの難易度がさらに上がるわけです。

自分が取れそうなx学部の授業は曜限的に3択くらいに絞られるけど、これを取ると、この時間には必修の授業が入っているからダメで、あれを取ると○学部の授業を取る曜限がなくなってしまうからダメで、、というような作業を延々と繰り返してようやく出来上がったのが上で載せた時間割なわけです。

コマ数を増やすためのテクニック

工学部の履修のルールを熱心に読んでいたところ、あることに気づきました。
前年度「不可」だった工学部科目に関しては、今年度、工学部科目と重複履修することができる、と書いてあったのです。

そこで、私はとにかく工学部のコマ数を稼ぎたいので、昨年度不可になった科目があったことを思い出して、重複履修することにしました。

そうして、週26コマという限界突破した時間割にすることに成功しました!!

ここまで読んでいただきありがとうございました。これで前編終了です。次回以降では、実際に履修してみて経験したこと、あるある、取った成績、などについて説明していこうと思います。

ありがとうございました。

以下が、中編となります。是非お読みください。


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