花組『鴛鴦歌合戦 / GRAND MIRAGE!』(2023/7_1回目)

初の和物観劇、そして初のロマンティックレビュー観劇。
私の中で新しい花組さんの魅力がたくさん見られてすごく嬉しい。新鮮な気持ちで楽しめました。


鴛鴦歌合戦

最初からテーマソングフル尺で目が鮮やか。色とりどりの傘が舞って、一気にテンションを上げてくれる。そこからしばらく歌が続くのですごくミュージカルっぽかった。

序盤、お春ちゃんとお父様、お富さんたちの会話が続いて、ちょっとテンポを掴みにくかった。というか、中々柚香さんが出てこなくてそっちに気を取られていた…けど、流れに乗ってしまえばお富さんも高飛車お嬢様で可愛いし、骨董屋とお父様の掛け合いもザ•喜劇だし、何より何よりお春ちゃんがキュートすぎて最高。「お父さんキライっ」「ちぇっ」がはすっぱな感じでめちゃくちゃ可愛かったな~~いい幼さでした。娘役さんがここまでしゃべるの、ちょっと珍しい気がする。

そしてやっと出てきた柚香さん、オラオラ感はどこへやら、のらりくらりタジタジぶりがすんごく新鮮でよかった。キャラの性格的にセリフ数も多くないけど、しっかり存在の華で場を支配しててさすがだなと思った。というか立ち居振る舞いがかっこよすぎるんよな。途中の稽古のシーン、終盤でちゃんと強いことの伏線になっててよかった。助けに来るシーンはまんま少女漫画のヒーローで最高。これは鈍感やるときはやる主人公です。引っ張っていかれるシーンの流れとか、笑いの間合いが客層的にとてもウケてたな。

永久輝さんの僕っ子殿様、ここまでおバカな役どころは初めて見てびっくりした。何にでもなれるとは思うけど、顔が麗しすぎてちょっとそれどころじゃなかった。聖乃さん、振り切った「嫌じや嫌じゃ~😖」が可愛かったです。途中、平家の髪をほどかれる方は何者だ…?すごく綺麗な方だったので要チェック。

雨のお寺シーン、ところどころ挟まる沈黙とか、場面の端で物語が粛々と進む感じがなんかドラマっぽいなと思った。曲以外のBGMがとても控えめで、慣れればすごく心地よい温度感。

途中、変なシーンで離席する「男の人」いるな……とシルエットだけで判断してたら、なんと客降り準備の柚香さんでした何それ…?直感的に男性だと認識できるのすごくないですか?そしてとてもとても艶やかでした。

なんか急に祭りが始まってびっくりしたけど、「兄さんも!姉さんも!」のシーンで客席に振ってたのすごく良かった!我々も一部にしてくれてる。
「歌合戦どころではない!」もなかなか面白かった。タイトルとは?

ラスト、広げた伏線の答え合わせがまとめてあって、大団円で何より。お春ちゃんの「幸せになっちゃだめだと思ってない...?」で、初めて礼三郎の生き方に対する違和感に気付いた。鈍感というより、気づかないふりしてただけだったのね。ここで初めて礼三郎からお春ちゃんを受け入れたのがよかった。あなた最後お春ちゃんが引き留めなかったらそのまま去ってたやろ……。

ここでラスト、最初のテーマソングをもう一回、新しい衣装で。すごくおめでたい気持ちになったし、礼三郎が客席にお手振りしてくれて良かったな~我々も一部(以下略)。暗い話でもないから着物は派手で、すごく華やかだけど品があって良かった。浮世絵みたいな。番傘振り回したくなるな。

いろんな方の新境地が見れて、結果的にとても良かった!ヨイサ!ヨイサ!(何故か手拍子がずっと裏拍で面白かったです)

GRAND MIRAGE!

幕が開いた瞬間、優美なハットに滑らかなドレスの娘さんがたくさんいて「これ絶対好き…」となった。マーメイドラグーンを思わせる色合いに、花びらの一枚一枚のようなビューティフルがすごい。ここでぐっっっと引き込まれたと思ったら、薄く透ける帳の奥から柚香さんが見えて心臓止まった。あ~〜〜~帝王。

今回はバチバチガチガチというより、ゆっくりしっかり圧をかけてくるような、それでいて一瞬の表情の儚さにすごく不安にさせられるようなそんなキャラクターで最高でした。

ここでテーマソング。「愛~愛~それは幻~」の「あ」がめちゃくちゃエッジボイスで素晴らしかった。フォールもゆっくり、短調を聞かせるような音色が本当に誘われるよう。朗々と歌い上げるというより、ちょっと上に擦るようなハスキーさが儚さに拍車をかける。

お衣装もとんでもなく麗しい。ベストから伸びる足が長すぎる。全編通してお衣装が本当に素晴らしくて、やっぱりお顔がはっきりされているしスタイルもとんでもないので何でも(本当に何でも)似合ってしまうんだな~と思った。筋肉質に見えるのにちゃんと柔らかさを感じる部分があって、しなやかで生物として美しすぎる。神の最高傑作ですと言われてもそうでしょうねとなる。

前回のFashionable Empireで水美さんと踊るシーン(ラビリンス?)がすごく良かったけど、基本的にそれが全編続いているような感じ。あとメイクが他の男役さんに比べて薄い、気がする。なのにこの存在感と衣装映えですよ。

兵隊ミラージュのシーン、デュエダンで星風さん(とんでもねぇ麗し美しアリエル)を回した後、下ろすときに前側のスカート裾を軽く上げて、星風さんが転ばないようにしてたのなに?幻覚?死亡です。兵隊さんと一緒に我々もミラージュを享受するような錯覚…本当に良かった。

足にフリルのダンスのときも、もう足が長すぎるのでどんな振りでも映えるのよね~今回は柚香さんの麗しさに終始心打たれながら見ていた。(シボネーと言っていたので調べてみると伝統ダンスっぽい)

予告の段階で気になっていた黄色レザージャケットのシーン!!すごい!!何!!!永久輝さんの眼差しも素晴らしかったし、急にシティさを増して別ベクトルからのミラージュ、本当に良かった。柚香さんは本当にはっきりした色がお似合いになる....それからこれ、本当にオペラ上がってなかったの後悔したけど投げきっっっすされてましたよね最後?!上手側だから次回見れるかどうかちよっと怪しいけど、次はぜったいに逃さない。ここスナイパーポイントです頑張ろう。ラスト、チラチラっと灯りが消えていくのすごく良かったな~情熱たぎる夜が儚く消えていく感じ。

赤黒衣装のデュエダン、柚香さんが星風さんを逃すまいとなっているあの、あの表情がもうすごい。随所に「俺の女」感出すの上手すぎか?大階段でトップ二人が向かい合う(娘役さんは完全に背を向ける)構図大好き人間なので本当に良かった。黒地にゴールドラインストーンがギラギラに光って、反射で目が眩みそうだけど本当にお二人がそれに負けてないというか、むしろ舞台装置として適切な輝度なの本当に好き。星風さんも何でも似合うな~でも基本お上品なので終始費婦人で、愛されるべき人という感じ。最高です。

ラスト、紫衣装もとんでもないお似合いぶりで(というかシルエットがはまってるんだろうな)、ゆっさゆっさとゆれる羽が美しかったです。柚香さん星風さんの美しさを堪能しまくりました。

永久輝さん、見るたびに望海さんに似てると思ってしまう。そしてやっぱり歌がうまい。デュエダンの歌を2番手さんが歌うの珍しくない...?気のせい?前回のサンドといい、深紅がよくお似合いでした。伸ばす音を口を大きく開けて明るめの音色で歌うのがすごく良い。朗々と響く。何者にでもなれるけど、ここから凄みが出てくるんだろうか...めちゃくちゃ楽しみ。
聖乃さんも着々と3番手って感じだし、その他のアイドルちっく場面で出られてた方は路線系で固定されてる感じかな?白金衣装の方が好きだった。

全体的に短調でゆったりな曲が多く、歌唱パートがまとまっているからテンションがずっと上がる感じではない。ロケットの装飾も控えめで、本当にこれはロケットを見ているのか...?と、古い映画館のフィルターを通しているように感じた。けど、ゆらりゆらり、とらえどころのないメロディが儚さを増幅させて、本当にミラージュに閉じ込められたような気分になっている。これがロマンチックレビュー……ありがとうございました。

座席:1階27列中央

十分な近さ。銀橋オペラなしでも何となく分かる。オペラ有りは大階段の一番上まではっきり。
ほぼ真ん中なので目線が合いやすい気がする。そしてオケが良いし声も響く。舞台全体の把握もしやすいから初回に最適だと思う。ちなみに初めて友会が持ってきてくれた席でした。
ほぼコロナ前の水準で立ち見は幅狭2列まで戻ってた。このまま何事もありませんように。

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