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雪組『仮面のロマネスク / Gato Bonito!!』(2024/5)

友会が驚きの座席を持ってきてくれました。
なんと1階3列目どセンター。
GWやしどうせ当たらんやろ…と、ステータスのためだけに申し込んだ1公演が当たるとは。本拠地だとあんなに当たらないのに不思議ですね。
ということで、初の全ツ(名古屋)・初の1桁列での観劇となりました。正直、美しすぎてあまり覚えてません。



座席 : 1階3列センター

近いなんてもんじゃない。全てが見える。全てが聞こえる。オペラ?要りません。
ジェンヌさんが歩いた時に衣装が擦れる音、金具が跳ねる音、声にならない息遣い、端で話してる声まで全部。手をこちらに伸ばした朝美さんの爪まで見えたし、朝美さんの白目に反射する光が見えた。嘘みたいな本当の話です。

今回は特にセンターだったので、奥から真っ直ぐこちらに迫ってくるように見えた。
向かってくる、じゃなくて迫ってくる。
奇跡の造形に迫られる恐怖を感じた。絵画のような美しさがすぐ近くにある。美しすぎるって怖いんですね。

あまりに眩しすぎてちょっとどうにかなりそうだった……。
この感想を書いてる今も、脳の一部分が麻痺しているような感覚になってる。

ただし、いくつかデメリットはあると思った。

まず、必然的に首を上げて観ることになるので、結構首が痛くなる。
暗転のタイミングで首肩を休ませないとかなりきつい。

次に、音があまりまとまって聞こえない。
これはこのホール(愛知文化芸術センター)が、5階席ぐらいまであるのが原因かも。肉声じゃなくて反響音だけ聞こえる感覚。音の芯がないので特に歌詞が聞き取りにくい。
ただ、朝美さんがfffで声を張り上げたときはしっかり聞こえた。声量どうなってるんや。

最後、ちょっとこの世の美麗さじゃなさすぎて、演目に集中できない。怖い。美しすぎると人間って怖く感じるんですね(2回目)。
(この「怖い」という感情について考えてたけど、たぶん「魅入られる」に近い。つまり今回で言うトゥールベルみたいな感情なのかも)


仮面のロマネスク

幕が上がった瞬間、真正面に一筋の光を浴びて、朝美絢様が背を向けて立ってた。
真っ白な衣装、金飾、流れる黒髪。神?

天啓こそ受けなかったけど、受けてもおかしくないぐらいの神々しさ。時が時で私が力を持っていたら、担ぎ上げて架空の宗教の神にする。朝美さんは私に力がないことを感謝してほしい(?)

ここまで、信じられないことに始まって1分経ってません。視覚情報のあまりの多さに混乱し、これが今から3時間続くのかと覚悟を決めました。
放っておいたらこのまま10000字ぐらい、ただ美しいということを書きそうなので自重します。ただ、どのジェンヌさんも、近くで見てもオペラ越しで見た時と変わらない麗しさでした。持って生まれたものだけではこうならないはず。改めて、どれだけの努力を積んでいるんだろうと思いました。

ヴァルモン

・ずーーっっと苦しんでる。苛立ち、焦燥、憎しみ、苦しみ、全部をごちゃまぜにして、あの綺麗な綺麗な仮面の下に隠してる。

・ぐっと寄った眉根と、ニヒルに歪んだ口元が、彼の抱えるとんでもない闇を表しているようで良かった。

・タイを外したり上着を脱いだり、ちょっとその色気しまってもらってもいいですかね…となったシーンが多々あった。困る。

・相手を狙ってる時、あからさまにずーっとその相手の目を見ていて狡すぎる。そして首元に擦り寄る仕草が凄すぎる。こんなん誰でも狂う。

・トゥールベル夫人に縋り付かれた時(躊躇いながら肩に触れる)や、セシルに勘違いされた(幻想?)時の、少し仮面が剥がれた表情が良かった。人間らしい苦悩というか。もうこの人、どうすればいいか分かってないんだろうな。

・「じゃあ彼女を捨てればいいんだろう!!」の迫力。

・素人ながら、この役ってめちゃくちゃ難しいと思う。軽薄すぎても深すぎても不足で、朝美ヴァルモンは最初から割と深さがあって良かった。事前にあらすじを読んで、どんなクズ男…と思ったけど、朝美さんの役作りによる説得力を感じた。例えば、あの顔面で生まれたことを後悔した日があったんだろうか、まで思い至れるみたいな。

・それはそれとしてダンスニーもいる所でセシルにちょっかいかけたシーンは「こんのクズ男が…」となったので何にせよ表現力がカンストです。許すまじ。

・従者に「しばらく消えておけ」と言ったのは、自分の立場を察して従者だけでも…という意図かな?

・ラスト、爆音鳴り響く中でのダンスシーンがあまりに映画で、たぶん一生忘れない。フランソワーズを抱きしめたあの表情が、ヴァルモンの中にある愛だったんだろうな。

フランソワーズ

・え、この美女、悪すぎ……??

・前提としてあまりにも美しい。そんな顔小さくて目が大きいことある?

・この役も結構難しそうだと思う。あくまで可憐で上品さを備えた上で「悪さ」を出さないといけないというか。「悪い」迫力がありすぎてもいけないし。したたかだけど儚さもあって、夢白さんの表現力もすごい。

・それはそれとして「この女…!」となる小憎たらしさが凄かった。シラは切りまくるし煽りに煽りまくる。『フランソワーズの煽り語録〜相手を確実に激昂させる100の方法〜』欲しい。現代社会を生き抜く中で杖にしたい。

・フランソワーズの方が仮面の扱いが上手かったように思う。欲も嫉妬も、基本的に綺麗な仮面に綺麗に隠す。ちょっと落ちかけるけど、愛に気づいてそっと外す。ラストの憑き物が落ちた笑顔がとても美しかった。

トゥールベル

・あまりにハマり役。今回、ジェンヌさん元々のお顔立ちと役が合ってる方が多いと思うけど、希良々さんもその1人。「貞淑」を背負わせて何の違和感もない。

・「これ以上の快楽があろうと知りたくない」「友情なら全てを差し上げる」が悲痛すぎて辛かった。高潔な人が散り散りにされていく、その混乱と痛みがひしひしと伝わってきた。「双曲線〜」でも思ったけど、本当に上手い方だと思う。

・ヴァルモンからのアプローチ()をサラッと受け流せるならこんなことにはならなかったんだろうな

・ヴァルモンの足元にすがりつくシーン、言行一致しない感情が辛かった。

・結局最後は修道院で内罰に暮れるんだと思うと、つくづくゲームに巻き込まれたことが嘆かれる。静かに暮らしたかっただけなのになぁ

ダンスニー

・今回、ものすごく「男役」だな〜と感じた。席的にジェンヌさんの足元が見切れがちだったけど、それでも恵まれた骨格から出る長い手足がよく分かった。掌と指の長さがほぼ同じなことに気づいた…指長すぎん?

・あたふた…わたわた…する熱血役、割と何度か見ているような気がするけど、今回は何か洗練されてたような

アゾラン

・なんか化けそうな方だ…!暁さんみを感じる

・主人とは別ベクトルの軽薄さで、だけど主人のための仕事はしっかりこなす

・今回出てきた登場人物のなかでトップクラスに要領がいい

・嫌味のない役柄をナチュラルにこなされていた気がする

その他

・出演者が半分なこともあり、これまであまり注目したことがない方にしっかりスポットが当たって良かった。本公演だとどうしても3、4番手までになってしまうからなあ

・上級生(特に真那春人様)の存在感が際立つ。執事としてしっかり構える役がハマっていたし、存在のありがたさを感じた。当たり前だけど主演だけで舞台はできないんだな

・ちょいちょい壁に映る影がいい演出してて良かった。

・テーマソング(タカタカタッターンターン)の印象が、序盤とラストとで全然違う。

・雪組生さんの表現力の凄まじさを垣間見た公演でした。所々美しすぎて記憶飛んでるから、もう一回見直したいところ。

Gato Bonito!!

キラッキラ…!本当に記憶が飛んでいるので箇条書きで。

・朝美さん、寝転んで、る…?!なにその、その、高貴な猫みたいな…

・スチールそのままで抜け出てこられた衝撃で、ちょっと本当に冒頭の記憶があまりない。なんで写真と実物がイコールになるんだ……?

・衣装がキラッキラ。それに負けず、朝美さんのハイライトもキラキラ…。お芝居は前髪で若干隠れていた綺麗な目がよく見える。

・エルクンバンチェロ、とてもとても熱い!熱気がすごい。熱いぜ名古屋ー!みたいなことをおっしゃってた気が。

・マリアを探すシーン(ブエノスアイレス?)
 娘役さんたちの猛烈アピールを袖にしていく朝美さんの鋭い麗しさ……。全く苛立ちを隠さず感情を剥き出しにするの、良いですね

・夢白さんが…ずっと綺麗で……。今回のテーマが「猫」なのもあり、ツンっとしたりぷくっとしたり、表情がくるくる変わって目が離せなかった。

・朝美さんからアプローチ?された後の、「隠したいけど好き」の表情がとてもお上手だと思う。恍惚ってやつですね

・咲城けいさんかな?すごく余裕ある微笑みで丁寧に踊ってらした印象

・下級生さんたちは全方面にアピールするから、近くでそのエネルギーを存分に浴びれる。フレッシュさに心洗われた

・のぼり?を持って、たくさんの組子さんが上手から下手へ移動するシーン、ここの夢白さんがとんでもなくキラキラアイドルで眩しかった。なんかすごく、夢白さんを見るとドルオタのスイッチが入ってしまう。心のペンラを振ってる気分。

・シャンソンのシーンの客降り、2列前に朝美さんがいる衝撃。「今日はこどもの日。見えますか?鯉…」→襟と背中に3つ🎏が付いてた笑(ちなみに夢白さんは頭の羽から🎏が生えてた)

・「大人の僕たちは屋根の下で、恋しませんか?」を最前の方に目を合わせながらされてた。伏し目になった睫毛の長さと声色の深さ、なにもう怖いよ……

・白猫縣さん、ブロンド×長身×足長でテイラースウィフトかと思った。あと朝美さんとめちゃくちゃ近くてたぶん顎先ぐらい触れてたと思う。は?

・ライオンキング(白衣装)の夢白さん、あまりにもaespaカリナ(だからドルオタの血が騒いでたのか)。途中からずっと真ん中で舞い踊るしなやかさ、気高くて凛々しくて本当に好き。

・紫ジャケット衣装の朝美さん、あまりにも麗しい。デュエダンでリフトされてた…!!結構回っててすごい

・フィナーレもエネルギーいっぱいでした。緞帳が下がるギリギリまでシャンシャン(もふもふ)をバタバタさせてらして、本当に楽しかった。何回かバチコンウィンクも捉えられた

・ラストの挨拶、朝美さんのコメント要約
「こどもの頃、宝塚に入りたいとずっと思っていた。今後もずっと、こどもたちから憧れてもらえるような舞台作りがしたい」
昨今のあれこれから、どうしても言葉以上のものに思いを馳せてしまう。
今日、間近で見て「研鑽を積んだ人間が表現すること」の素晴らしさを改めて感じた。
「本当に」身体を使って演じて、歌って、踊っている。レンズ越しでも画面越しでもなく、その「生」はとても尊かった。
どうかどうか、これからいろんなことが良くなっていきますように。

•全体的に、朝美さんがすごく「統べる者」になっていて驚き。
私がハマった当時より、どっしりした貫禄が増しているのが素人目でもよく分かった。
以前、朝美さんはプリズムの擬人化という印象を持ってたけど(シティーハンター公演時)、今回は纏う光がキラキラからギラギラに変わったなという印象を受けた。光を反射する存在感はそのままだけど、より輝きがメタリックになったというか。ともすればぬめりさえしっとり感じられそうな程で、それが想定外でした。これが「準備」ってことなんですかね……。

他にももっと書きたいことがあるはずなのに、とりあえずずっと綺麗で美しくてエネルギッシュなので記憶がない。本当に、素晴らしい舞台をありがとうございました。友会くんはこれからも頼んだよ。

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