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【ベスト8敗退国】曖昧な記憶で振り返るカタールW杯2022

いやー、こんなところで負けるとは!!!が連発するのがワールドカップですな。

ベスト16敗退国その2はこちら!

ブラジル

「固い時のブラジルは強い」「男は長さよりも固さだ」「ギンギンでビンビン」という都市伝説に基づくと優勝という感じだったのですが、前回大会同様あえなくベスト8で散っていってしまいました。スコアが1-7ではなく、1-1でPKによる敗戦だったので今回はクロースに煽られないことだけが唯一の救いでしょうか。

実際、ここまでの内容としては完璧だったんじゃないでしょうか。初戦でセルビアをワンパン粉砕、2戦目でも難敵スイスに勝利。突破の決まった3戦目では控えメンバーを出場させて、謎のカメルーン固有スキル「不屈のライオン」が発動して負けますが、まあそれは織り込み済み。怪我をしたネイマールが戻ってきたベスト16では韓国を前半で4-0に仕留めて、後半には第3キーパーのウェベルトンを出場させる余裕綽々の展開。異常な守備の固さをベースにした試合内容は完璧に近く、これはさすがに久々のW杯にブラジルニキの怒張陰茎をぶち込んでくれるのではないかと期待がされましたが、結果は御存じの通りです。クロアチアの寝技にいつの間にか引き込まれ、決定打を放ちながらもなぜか追いつかれてPKじゃんけんで負け。全体的にはかなり押し込んでいてチャンスの数もクロアチアと比べると圧倒的に多く、延長に決めた先制点はこれぞブラジルというネイマール起点→ネイマール終点の見事な中央突破でしたが、これがあまりにも見事な崩しだったのが逆に悪かったのかもしれません。その鮮やかな攻撃で封印していたサンバ魂が解放されてしまい、リードしているのにノリノリで人数かけて攻め込んでいたことが逆転の呼び水となったようにも見えました。延長残り5分切って、なんで攻めてんの。ネイマールの全盛期最後のW杯っぽいですが、涙の敗退となりました。しかし、強かったですよね。アリソンは最強、DFラインも異常に強度があり、中盤以降も一見チャラそうな面子で切り替えの速さが鬼。ヴィニシウス、ラフィーニャ、ネイマール、パケタ、リシャルリソンでの攻撃は速さもうまさもある。センターフォワードらしいセンターフォワードがいないことが問題視されましたが、あんまりそれも重要な要素じゃない気もします。たしかにちょっと遊びが少なかった感もありますな。速さを追求しすぎていて全体が張り詰めた糸のようだったので、それを緩めることも難しかったんでしょう。かつてのデニウソンのようにコーナーフラッグに向かってひたすらドリブルを仕掛けるような人を舐め切った選手が必要だったのかもしれません。ただ、このメンバーでもダメということは、もはや「固くてもチャラくてもダメじゃん」ということで、どうしたらいいんでしょうかね。半生?半熟?半熟女パブ?半熟女ブラジル人パブ??

・気になった選手 ネイマール
「今大会はネイマールの大会になる」「ブラジル久々の戴冠に導くのがネイマール」「ネイマールのは固くて長い」ともう大会前からビンビンに打ち出してきてましたよね。実際、その雰囲気はあったんですよね。グループリーグで怪我してうまい具合に休めて、それで戻ってきて初戦も活躍してましたし、流れは完全にネイマールでしたよね、金髪でしたし。それで、クロアチア戦のあのゴールですよ。俊敏さとテクニックそしてアイデアが詰まったパス交換からの中央突破からキーパーを抜いてシュートを流し込むという、これぞブラジル、これぞネイマール、ネイマールのは固いぞ!カッチカチやぞ!という素晴らしいゴールでしたね。0-0で延長からの先制ゴールというタイミングも最高。これで勝ってたらもう本当にネイマールの大会になったでしょう。ただ、サンバのリズムがこれで鳴り響いちゃってノリノリでシティ・オブ・ゴッドしちゃったのもブラジルでしたね。あんなもん攻めになんていかないでダラダラパス回したり、接触ごとにこの世の終わりのようにぶっ倒れてりゃいいのに、乗っちゃうともうダメ。親の葬式でもサンバするし、国会でもサンバ。まあそれがブラジルらしいといえばらしいんですが、どうにかならなかったんでしょうか。さて、これでネイマール全盛期の大会は終わってしまいました。次の大会は34歳ということで、速さが圧倒的アドバンテージになってる選手なんでどうなんでしょうかね。メッシみたいな移動砲台としてでもいいから、ぜひ出てほしいですね。あと、リシャルリソン、ヴィニシウス、アントニー、ラフィーニャ、ロドリゴ、ネイマール、パケタというアタッカー陣はめちゃくちゃ治安悪そうな見た目をしていたので、ぜひ次もどこかで再結成してほしいです。

はーい、僕ら丸腰ですよー!!
(この後背中から出したマシンガンで蜂の巣に)

オランダ

ファン・ハール最後の遠征は、ベスト8で終わりを迎えることになりました。タレント的には第1グループから若干見劣りするオランダは、ファン・ハールらしい固めの仕上がり。グループリーグは難敵セネガル&エクアドルを1勝1分で凌いで、カタールを一蹴して首位通過。アメリカはイケイケで攻めてきましたが、それをしっかりと防ぎきって、カウンターから進撃のドゥムフリースが1得点2アシストでボイエガして、勝利。そして、ベスト8でアルゼンチンとの泥試合が開始されます。初戦とは見違えるように整ったアルゼンチンはオランダをハメ殺し。きっちりと攻め手を潰されたオランダは、フレンキー・デ・ヨングがなんとか攻撃をしようと手を変え品を変えて色々試みますがうまくいかず、メッシのスーペルスルーパスからモリーナに先制点を叩き込まれ、73分にはメッシにPKを決められて万事休す。と、思いきや、「もう何もかもどうにもならんから放り込んどけ」とビッグ・サムの霊が乗り移ったかのように、ファン・ハールは前線にルーク・デ・ヨング、ウェクホルストを投入してがんがん放り込みを開始。そして、ウェクホルストがパワープレーから1点目を決めると、後半ラストプレイのゴール正面のFKから、そのウェクホルストへの足元に縦パスをつけるというトリックプレーで同点。メッシのゴール以降、ほぼほぼファウルしかしてなかったアルゼンチンがこれで心を入れ替えてまともにサッカーをするようになったため、これ以降は点が入らず、結局はPKにより敗退となりました。さすがに、タレントの質がイマイチだったな、という印象です。守備はファン・ダイク、中盤はフレンキー・デ・ヨングという世界的な選手がいますが、前線が駒不足。ウィル・スミスに殴られた奴にちょっと顔が似てるガクポは抜群のサイズとテクニックでスターの可能性を感じましたが、決勝トーナメントではかなり消されてました。メンフィス・デパイさんも組み立ての局面ではかなり重要な働きをこなしていたのですが、得点を取ることに関してはメンフィス・しょっぱいさんにクラスチェンジするという重大な欠陥仕様になっているため、なかなか厳しい。もう1人そこに絡んでくるのが今大会ナンバーワン老け顔の暮らし安心クラーセンだったり、白人警官と48時間でロスの事件を解決してそうなベルフワインだと、迫力不足でした。パスワークはうまくいくのだけれど、決定的な仕事はできないというのがスペインなんかと被るところもあり、これはもうタレント次第になっちゃいますよね。圧倒的な身長というストロングポイントもあるので、なんかもう最初からずっと放り込んでたほうがよかったような気もします。次の監督はパーデューかラニエリにしてください。

・気になった審判 マテウ・ラオス
W杯ベスト8の試合を鉄火場に変えた張本人。前半はイエローカード4枚となんとか理性を保ってた感がありますが、時間が経って試合が熱狂を帯びてくるとファウルを勘でとるようになってきて、80分以降は完全にバグってしまい、イエローカードを乱発。交代出場してきた選手にお通しのようにイエローカードを出す姿は、吉田類が訪れた名酒場の店主を連想させます。しねえよ。ファウルの判定が完全にぶっ壊れてて、倒れた瞬間にAボタンを押す音ゲーと化した姿はもはや恐怖。もう1回ファウルができるドン。カードを出す基準もぶれっぶれで、何の理由で出されたのかさっぱりわからないイエローを出しまくりつつ、二人連続で足を刈ってその後にボールを相手ベンチに蹴り込むという治安ゼロのブエノスアイレスコンボを決めたパレデスにはレッドでなくイエローという、仮想通貨並の基準の乱高下具合。その一方でW杯記録の17枚のイエローカードを出しながらも、PK戦の最中にドゥムフリースだけを退場させるという国連安保理並の不思議なバランス感覚を発揮して、ここはサッカー場ではなくて戦場なのだということを我々にきっちりと教えてくれました。エルサルバドルあたりだったらたぶん試合後に射殺されていたので、ここがカタールだったことにマテウ・ラオスは感謝するべきだと思います。どっちに有利とかそういうわけではなく、ただただ基準が無茶苦茶だったのが、本当に狂ってる感じでよかったですね。もう大舞台に出すのはやめましょう。おつかれさまでした。

これパレデスどつかれてるけど、相手ベンチにボール蹴り込んだ後だからな

ポルトガル

いやー、モロッコの波に飲み込まれましたね。いわゆる「ロナウド問題」ですが、グループリーグを余裕綽々で駆け抜けた後の決勝トーナメント1回戦で一発回答が出ました。答えは「ロナウドを外して、代わりの選手がハットトリックする」です。ロナウドの代わりに先発したゴンサロ・ラモスは大柄ながらもスピードもテクニックも兼備した21歳で、スイス相手に3点を取ったのです。これでロナウドパイセンが「わいのほーがえーやん!」となることが防がれました。モロッコ戦も当然ラモスが先発。ただ、モロッコも強かったですね。総合的にはポルトガルが強かったですが、粘り強く守られて、ハキミ、ツィエク、ブファルのカウンターに度々脅かされ、チャンスは作るものの決定打をキメられません。そうこうしているうちにエン・ネシリの「フライングモロッコマン」ゴールを決められて、あたふた。最後はレオン、ロナウド、カンセロを投入し、ブルーノ・フェルナンデスとジョアン・フェリックスが手を変え品を変え攻め込みますが、ゴールを割ることができず。終了間際のペペの炎のヘッドも枠を外れ、万事休すとなりました。敗れはしましたが、今大会最強クラスの強さだったのではないでしょうか。ロナウドが外れることで前プレが火を噴き、スイスをアルプスごと轟沈させたサッカーはお見事でした。オタビオ、ブルーノ・フェルナンデス、「好きな選手は?」って聞かれて名前を上げると通ぶれるサッカー選手ナンバーワンのベルナルド・シルバ、ジョアン・フェリックスがポジションを次々と変えて責め立てる攻撃はかなり強力で、よくモロッコが防いだというべきでしょう。実際、GKのボノがセーブをしなければ危ないシーンもかなりありました。ラモスが不発だったこともあり、試合を見ながら「ここがロナウドだったらなー」と思うシーンもなくはなかったですが、それは「ここが(若い)ロナウドだったらなー」ということだと思うので、どうしようもありません。ブルーノ・フェルナンデスとジョアン・フェリックス中心にEURO優勝も全然狙える陣容なので、がんばっていただきたいものです。あと、そんなに責任はないけどカンセロは反省してください。

・気になった選手 クリスティアーノ・ロナウド
歴史に残る大エースも、ついに代表キャリア終焉ということになりました。開幕前にマンチェスター・ユナイテッドを退職して無職になり、グループリーグの間もフィットしているかどうかはかなり微妙で、決勝トーナメントに入るとスタメンを外されました。しかし、モロッコ戦の途中から投入されると、数々の試合で危機を救ってきたように今回もやってくれるのではないかと期待感が出ましたよね。これぞスターです。実際ダメだったんでこれで最後ということなのでしょうが、近年のW杯やEUROは常にロナウドと共にいたので、寂しいものです。近年はクラブで中々出場機会に恵まれず、若干「老害」的な立場になってしまっていますが、それも異常なまでに得点を取ってきたがゆえに起こったことではないでしょうか。秀でているがゆえに引き際をうまく作ってあげることができず、自分でも上手に引けなかった印象です。あと、単純に自分に素直なんだと思うんですよね、この人。だから、冷遇されたら平気で文句言うし、監督も批判するし、そして、そういう素直さがあったからこそ自分を信じて歴史に残るストライカーになれたんだと思います。本当のキャリアの終焉には誰かが総括するでしょうが、スチャラカドリブラーからセンターフォワードへといい年してモデルチェンジして世界的なストライカーになったという稀有な例で、こんなことができたのはロナウドだけなんじゃないでしょうか。最後に腹いせにパレデスぶん殴って帰っていってください。代表、おつかれさまでした。神戸で待ってます。

誰にでも終わりは来る

イングランド

「地を這うロングボール」「限りなく透明に近い現代サッカー」「サッカーは胸板が9割」などと私は言っておりますが、非常に固いサウスゲートサッカーは今大会でも健在でした。ストーンズ、マグワイア、ウォーカー、ルーク・ショーという柔道やってもそれなりに勝ち越せそうな肉体派でディフェンスラインを組み、バイタルはデクラン・ライス:トマトと白トリュフのピューレを添えてとヘンダーソン&ベリンガムで封鎖。後は前線にボールを供給してサカとケインでぶっ叩きます。そしてファウルを貰ったらマグワイアが合わせるという、ハメプレイ。バランスをほとんど崩さないので圧倒的につまらないのですが、これは格下にはかなり効くんですよね。グループリーグではアメリカに引き分けたものの、イランとウェールズは粉砕。決勝トーナメントでもセネガルを一蹴しました。まさに横綱相撲。ただ、フランスは甘くありませんでした。互角以上の相手になると単純な圧力勝負となり、バリエーションの少なさが目立ちましたね。チュアメニのミドルを決められたもののケインのPKで追いつきましたが、ジルーに再逆転されてケインがPKを外すと、打つ手がありませんでした。なんというか、軸がどこにあるのかわかりづらいんですよね。ケインを生かすのか、サカを生かすのか、それともフォーデンなのかベリンガムなのか。控えも含めて手駒は豊富なのですが、1+1が2でしかなく「1+1が200で10倍だぞ、10倍!!」とはならないというのが、サウスゲートサッカーの限界だったでしょうか。フランスがジルーとグリーズマンがエムバペを生かすために最適化されてる感じとは対照的でした。最終盤にグリーリッシュを入れてどうするつもりだったんですか。それでもセットプレーと馬力で押し切る力はありましたが、運がなかったですね。サウスゲート、運なさそうな顔してますもんね。PK戦持ち込んでも負けそう。もうこれからはやっぱりロングボールに回帰しましょう。帰れロングボールへ。

・気になった選手 ジュード・ベリンガム
なんなんですか、この19歳は。前回のEUROはカルヴィン・どこがヨークシャーのピルロやねん・フィリップスがレギュラーでしたが、今回はデクラン・ライス:南瓜のドフィノワーズを添えてと中盤でコンビを組んだのはこの選手でした。ドルトムント所属ということでロクに見たこともなかったのですが、19歳で全試合先発をする理由がわかりました。球際の競り合いに非常に強くて守備が固く、組み立ても全然オッケー、前線と絡んでフィニッシュの局面で躊躇なくPA内に入り込んで仕事をする技術、さらにはサイズも186㎝と十分という、もうあとは何が必要なんだというパーフェクトミッドフィルダー。頼んだら、高いところの蛍光灯も変えてくれるし、確定申告もきっちりやってくれるんじゃないでしょうか。10人監督がいたら10人は欲しがる、将来のキャプテン候補ですね。ドルトムントからイングランド国内に移籍してくることが濃厚とのことで、リヴァプールだなんだの名前が上がっているのも当然でしょう。ただ、まだ若いので、イングランドに戻ってきてヤンチャをしないのかが大きな心配ですね。代表合宿抜け出してコールガール呼んでパーティーくらいなら「元気があって大変よろしい」となって1フォーデン(10グリーンウッド)獲得となりますが、ビッグクラブでは何かと誘惑も多いでしょう。それを避けるためにもまずはチャンピオンシップでドサ回りをしてはどうでしょうか。すでにバーミンガムユースから上がってきたレジェンドではありますが、ウィガン、ブラックプール、コベントリー、ミドルズブラあたりを回って炎のイングランドサッカーを学べば箔もつくし、代表にもきっと生きてくるはずです。may the long ball be with you. イングランドを知らない若者に幸あらんことを。

これは先輩からカツアゲされているのではありません

ベスト4はこちら!!


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