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三行で足りる生活

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三行日記です。たまに三行では足りません。 毎週火曜日、木曜日更新。
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記事一覧

【3行日記】そういえばあの黄色い看板も

【3行日記】そういえばあの黄色い看板も

 今更ながら歯科矯正をしようと思って、歯医者を探してみたところ、思ったよりも至る所に乱立していて驚いた。そういえば駅前にもバスの中にも高速道路の傍らにも、どでかい歯医者の看板があったような気がする。いつだって人には、見ようとしたものしか見えていない。

【3行日記】ぜんぶ低気圧の所為

【3行日記】ぜんぶ低気圧の所為

 体調不良の原因に「低気圧」が挙がるようになったのはいつからだっただろう。以前は体を壊せば、夜更かしのしすぎだとか、薄着をしすぎだとか、遊びすぎだとか、全部自分の所為にされたものだ。ずいぶん優しい世の中になって、お陰で高倉は頭痛を気圧の所為にして眠れる。

【3行日記】返せばいいというものではない

【3行日記】返せばいいというものではない

 映画「シャイロックの子供たち」を観た。池井戸潤先生十八番の銀行もの、一度悪い金に手を染めた銀行員がドツボへ転がり落ちていく様は、ピタゴラスイッチの玉に似ている。爽快感があるが、一度転がり出せば落ちてゆくしかない、という絶望もまたある。
 やはり金なんて、誰からも、どこからも、借りるものではない。

【3行日記】これを時間のムダと呼ぶ

【3行日記】これを時間のムダと呼ぶ

 倹約してこつこつ作った貯金の一部を投資に回そうと思い立ち、金額や投資先やタイミングを検討している。しかしお金のこと、特に金額の大きいお金のことは、なかなか誰にも相談し難くて、一人でうんうんと悩んでいるうちに日が暮れた。

【3行日記】ニキビと汗疹の区別もつけず

【3行日記】ニキビと汗疹の区別もつけず

 ニキビにクリームを塗りこみながら、そろそろ生理かしら、なんて考えている自分に気が付いて、つくづく行儀のいい女になってしまった、と落胆している。日焼け止めを塗ろうとする母の手をかいくぐり、汗だくで一日遊びまわり、できた汗疹を気にも留めない、そんな野生児のままでいたかった。

【3行日記】いずれ落ち葉の舞う季節

【3行日記】いずれ落ち葉の舞う季節

 クラリネット四重奏「落ち葉の舞う季節」を延々と聴いている。散りゆく木の葉の哀愁と、気ままに舞う葉の優美が耳から全身に染みる。主旋律をうたいあげるファーストクラリネットの伸びやかたるや。感嘆に浸りつつ見上げた街路樹には、若葉があおあおと茂っている。

【3行日記】Wait for Tuesday

【3行日記】Wait for Tuesday

 映画「ソイレント・グリーン」を観た。人間は所詮資源であり、資源は使える限り使い尽くすのが正しい。卵パックをリサイクルして再び卵パックにするように、人間もリサイクルして人間の糧とするのが合理的なのかもしれない。

【3行日記】本と暮らしのエディオン

【3行日記】本と暮らしのエディオン

 広島駅前にある蔦屋家電を、高倉は書店だと思っていたし、事実、今日も蔦屋家電で良い本に出会うことができた。しかし会計の際、レジの店員さんがエディオンの制服を着ていることに気付いて、此処はあくまで電気屋なのだということを思い知る。或いは、エディオンが書店だった世界線に迷い込んでしまったのかもしれない。

【3行日記】只今絶賛製氷中

【3行日記】只今絶賛製氷中

 アニメ「BARTENDER 神のグラス」を最新話まで観た。バーテンダーもまた、観察者であり表現者であるらしくて、文章を書く人間としては少々親近感が湧いた。お互い、見えない氷作り、頑張りましょうね。

【3行日記】朝は寝床でぐう

【3行日記】朝は寝床でぐう

 朝活をしようと思って、アラームを30分間早めてみた。今朝はゆっくりと朝ごはんを食べて、勉強をして、なんと洗濯機まで回すことができた。しかし、優雅な時間と引き換えに日中めちゃめちゃな眠気に襲われてしまって、仕事に支障をきたしそうなので、もう二度と早起きはしない。

【3行日記】因習村には鴉が似合う

【3行日記】因習村には鴉が似合う

 麻耶雄嵩著「鴉」を読んでいる。閉鎖された因習村を訪れた青年と殺人事件の物語だ。まるでヒッチコックの映画のような冒頭に心を奪われてしまって、読む手が止まらない。

【3行日記】二ヶ月で取ります

【3行日記】二ヶ月で取ります

 会社の貸出可能図書にLPICの問題集があったので取り寄せてもらった。担当者に貸出期間を聞いたところ、いつまで借りててもいいという前提を置きつつ「まぁ高倉さんなら三ヶ月もかからないんじゃない?」と発破をかけられてしまった。二ヶ月で取ります。

【3行日記】拍手喝采とエンドロール

【3行日記】拍手喝采とエンドロール

 映画「のだめカンタービレ 最終楽章」前後編を一気に観た。やっぱりオーケストラの演奏が好きだ。フィナーレの盛り上がり、奏者は音楽にしがみつくように楽器をかき鳴らし、終焉へ駆け出す。観客は終わりを予感しながら、この時間が永遠に続けばいいと願う。そしてとうとう指揮棒が降り上げられ、音が止んだ瞬間の充足感と、喪失感が満ちる、この時間が一等好き。

【3行日記】七輪焼きとすべきでは?

【3行日記】七輪焼きとすべきでは?

 瀬戸内海を臨む道の駅に、「七輪で焼く魚介BBQ」なるものが食べられるスペースがあった。この絶景を眺めながら食べる魚介はさぞ美味しかろうと思うが、七輪で魚介を焼く行為を果たしてBBQと呼んでいいのだろうか?