違いが分かる男 違いが分かる女
父は違いが分かる男だった。年を取るにつれてさらに増々違いが分かる男になっていった。普通は年を取るにつれて感覚が鈍くなり味覚も衰えるものだと思っていた。しかしなぜか父に限って言えば全く反対。年を取るにつれ味覚・嗅覚が鋭敏に繊細になり違いが分かり過ぎる男になっていった。例えばお味噌。数年前父が一時体調を崩しもう一人で生活させるのは限界だと私がいっしょに暮らし始めたときスーパーで適当にお味噌を買ってきて使っていると「この味噌はうまくない」と言い出した。何か旨味が感じられないのだそう