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【転載】被爆者の証言を取材したアメリカの9歳の少年が故・安倍首相に宛てていた手紙(2015/6/14)

はじめに


以下は、2015年6月当時話題になった、アメリカの9歳の少年が当時の安倍総理に宛てた手紙について、その全文と周辺情報を記載した当時のブログ(下記参照)からの転載です。このブログ自体、当時2万に及ぶアクセスをいただき、大変話題になりました。現在は4万ビューをいただいています。

今回、当時この手紙が宛てられた安倍総理はこの手紙に反応を示さないまま故人となり、今年、被爆地広島でG7サミットを開き、安倍総理の一周忌に当たってその『遺志を引き継ぐ』と宣う現総理がいるので、それではこの少年の言葉を思い出してもらおうと、あらためて周知することにしました。

転載元ブログにある各種報道記事は、8年後の現在、ほぼすべてがデッドリンクとなっており、キャッシュすら辿れない状況ですが、それぞれ報道された事実はあったので、そのままのリンク・内容で転載します(一部、資料となる記事やまとめのリンクを追記する追記編集を行っています)。

転載元のブログ

当時話題になったTogetterまとめ

転載始まり


ある被爆者の証言から広島・長崎原爆投下の現実を知ったアメリカの9歳の少年が、安保法制の制定にひた走る安倍総理に最近宛てた、切実なるお願いの手紙。毎日新聞も取り上げたその手紙の全文転記です。是非読んでみて下さい。(※誰でも読みやすいよう文字を大きめにしてあります。)

ニューヨークで実際に被曝者の谷口さんと面会するローレンツ親子(長崎新聞より

安倍総理へ

僕の名前はローレンツ ルイスです。

9歳です。

ニューヨークのマンハッタンに住んでいます。

土曜日は日本語の補習校に通っています。

僕は7歳のとき、ワシントンDCにあるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念博物館に行きました。そこで第二次世界大戦中のユダヤ人の悲しい歴史を知りました。僕はどうしてこんなひどい事が起きたのか知りたくて 勉強していくうちに、広島と長崎に原爆が落ちたことを知りました。僕は原爆の事を知りたくて、お母さんに原爆の本を買ってもらいました。

その本には原爆の種類と広島と長崎に原爆を落として戦争が終わったとしか書いてありませんでした。

もっと知りたかったので、僕が8歳の時に広島に連れて行ってもらいました。

そして広島平和記念資料館に行きました。僕は怖かったけどしっかり見ないと本当のことがわからないので勇気を出して見ました。

とても恐ろしい写真がたくさんありました。こんな事が本当に69年前にあったのか信じられませんでした。
そして原爆よりも 250倍も大きな力がある核のことも知り、その核爆弾は世界にたくさんある事も知りました。

ニューヨークに帰って来て、こんなにひどいことがあった事を知っているかクラスのみんなに聞きました。
でも誰も知りませんでした。

僕のクラスメートの半分はアメリカ人で半分はヨーロッパから来ています。

みんなが知らないという事は、世界中の子供達は原爆の事を知らないかもしれないと思ったら、とても悲しくなりました。

僕はあまり話すのが上手ではないので、どうやったらみんなに広島や長崎のことを知ってもらえるか考えました。

考えた結果、子供にも分かりやすいように原爆を説明して、僕の願っている『戦争のない世界、核のない世界、国と国とがお友達になる平和な世界』を伝える本を書きたいと思いました。

そしてその本を買ってくれたお金で、広島と長崎の本を買って世界中の小学校に寄付しようと思いました。

勉強していくうちに分からない事がでてきたことと、本当にこんな事があったのか確認するために、ニューヨークの国連に来ている被爆者と、被爆者の心の治療をしてきたお医者さんに会いました。

どのくらい熱かったのか聞きました。

鉄は3秒で溶けました。

人の皮膚や肉も3秒で溶けました。

魚を焼いて魚の皮が黒くなるまでに3分はかかります。3分は180秒なのでどのくらい原爆が熱いのか分かります。しかもいくら魚を焼いても肉は溶けません。

どんなに痛かったのかも聞きました。

痛みと感じる限界を超えていたそうです。

被爆者の谷口さんは、傷が治っても痛みで70年間1日もきちんと眠れた事がありません。

谷口さんは、傷口にハエが何百も卵を産んで、あっという間に卵からウジ虫が出て来て、そのウジ虫が自分の体の中に入っていくのも見えたし、 腐った肉を食べられている痛みも感じました。

僕は、動けばハエも逃げるのにどうして動かなかったのか聞きました。

「痛すぎて1ミリも動けなかったし、そんなことを考えられる気持ちもなかった」と答えてくれました。

もし僕の体を虫が食べていたら、気持ち悪いしとてもこわいです 。そんなことも考えられないというのはどんな状態なのか僕には想像が出来ません。

やけどでボコボコになっている背中や、骨が腐って変形している胸や、 腐った骨と骨との間に食い込んで動いている心臓を見せてもらいました。

僕はそれを見て怖くて近づけませんでした。

谷口さんは何も悪い事をしてないのに、どうしてこんなにつらい人生を送らなければいけなかったのかとても悲しくなりました。

被爆者の心の治療をしているお医者さんは、 「被爆者達が今話している事は本当にあった事の10%しか話していないんだよ 。あまりにもひどすぎる経験をしているから全部は話せないんだよ」と教えてくれました。僕はこれが10%なら、もし100%の話を聞いたらどんなに恐ろしい話になるのか怖くなりました。

国連に行った次の日(4月28日)、クラスのみんなに国連で被爆者に会ったことを発表しました。

はじめに「広島と長崎の原爆を知っている人はいますか?」とクラスのみんなに聞いたとき、誰も知っている人がいなくて、悲しくなってきて目に涙がたまってきて声がふるえてしまいました 。

5月7日にもう1回クラスのみんなに発表する時間を作ってもらいました。

僕は、今度は原爆の本当のことを伝えるつもりでした。

でも途中で校長先生に止められてしまいました。

それでも最後に「僕は戦争のない平和な世界にしたいです」とみんなに伝えました。まだ話したかった事の5%しか話していなかったので、最後まで発表したかったです。

安倍総理が、日本の自衛隊を戦争に参加出来るように法律を変えようとしていると聞きました。僕は「そんなの絶対にウソだ!」と言ったら、お母さんは日本のニュースを見せてくれました。ウソではありませんでした。僕は本当に信じられませんでした。

70年前、広島や長崎の人たちは虫を殺すように殺されました。僕は虫も殺せないのに。僕たちの平和な未来のために死にました。戦争がどんなに恐ろしいのかを証明して死にました。

日本の自衛隊が戦争に参加する事になったら、何のために戦争でたくさんの人が苦しんで死んだの?何で同じことを繰り返すの?

日本は原爆を落とされた唯一の国だから、「戦争は絶対にいけない!」と世界のみんなに言い続けていくリーダーの国です。もし日本が戦争に参加したら世界のみんなは「日本も戦争に参加しているし、僕たちの国も戦争をしてもいい」と思ってしまいます。

それは世界に「戦争をする事は悪い事ではなくて良い事です。人を殺すのは良い事です」と言っているのと同じです。そして日本が戦争に参加することになったら、世界中の国がどんどん戦争をはじめて、地球は戦争の世界になってしまう。

そして地球はなくなります。

世界平和のために、日本は絶対に戦争に参加してはいけない国なのです。

戦争は人を殺す事です。全てのものをこわします。戦争は何の問題も解決しません。それどころか戦争はとても大きな問題を作るだけです。

世界中の子供達は 原爆や戦争の怖さを知りません。でも本当の怖さを知っているのは日本人だけです。そして世界が平和になるために、戦争の本当の怖さを伝えるのも日本人しかできません。日本はいつまでも世界のお手本でいなくてはいけません。

日本人が平和の大切さを訴えることは世界で一番影響力があります。

安部総理が世界のリーダーになって『戦争のない世界、国と国がお友達になる平和な世界』を訴えてくれる一番力のある人だと思います。

戦争で死んだ罪のないたくさんの民間人や兵士の死を無駄にしたくないから僕は戦争の怖さをにんなに伝えたいし、もう二度とこんなことが起きないように戦争は絶対にいけないことをアメリカで伝えます。

でも、僕の力はとても小さいです。

安倍総理、どうか僕の願いをかなえてください。お願いします。

ローレンツ ルイス  9歳 小学4年生

■2015.06.12追記 要約文の存在を確認

11日付の『岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞』によると、この手紙の要約版が、6.11の国会前集会で読み上げられたそうです。政党代表の挨拶で、日本共産党の藤野保史(ふじのやすふみ)衆議院議員が読み上げたのだとか。


『憲法便り』によれば、藤野議員は、ルイス少年が手紙を託した日本被団協の方から、演説の当日にこの要約版を受けとったのだそう。上記のように全体は13頁もあるところを、被団協が演説用に要約したみたいです。直筆のメモもありますね。最後の、「これが世界の声じゃないでしょうか」という走り書きは、演説の締めの文として議員が自ら足されたのでしょう。

岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞 (2015年06月11日)より

■2015.06.13追記 原文の存在の調査

当ブログでは、原文(英語の想定)の存在を確かめるべく、ブログ転載当初から、ローレンツ親子のあらゆる綴りを想定してネット調査を行ってきました。しかし、ローレンツ親子が全くの一般人のせいか、サーチにはまったく引っかかりませんでした。したがって、13日現在、(英語)原文の存在は確認できていません。

当初、”原文”と思われる文書は原水協のページにPDFとして掲載されていましたが、現在は掲載されていません。その後、こちら①と、こちら②の個人ブログに転載されていたのですが、ブログのオーナーに確認したところ、①の方は、”転載元”から「非公開で」とコメントがあり、非公開にしたそうです。この”転載元”が、②の個人ブログなのか、それとも原水協なのか、或いは被団協なのかは、憶測の域を出ません。②の方には、現在のところ確認がとれていません。

(2015.06.14追記)①の方が当ブログをご覧になり、以下コメントを下さいました。

「①の私の所に来たコメントは原水協の個人名の方です。非公開にしたので同じく非公開でという内容です。私のブログだけでも2〜3000の訪問者だったのでルイス少年を思い遣っての処置だと私個人としては思っています。」

ただ、ルイス少年に関する過去の報道記事を遡ったかぎりでは、ルイス少年は母親のケイさんの力を借りて、なんとか本を出版してみたいと考えていることがうかがえます。

これは憶測の域を出ませんが、もしかしたら、被団協や原水協は、ローレンツ親子の出版の意思を尊重して、出版前の「手紙」の全文は一般公開しないことにしたのかもしれません。だから、国会前の演説でも、要約版のみが共産党の議員に示されたのではないかと考えることもできます。

■当ブログの方針

本日(2015.06.13)に至るまで、『ルイス』少年の『手紙』をこのブログ及び他の媒体に転載し、このブログに至っては17,000件以上のアクセスを頂いていますが、”転載元”より「非公開に」というコメントはいただいていません。もしかしたら、自主的に非公開にすべき、という選択肢があるかもしれません。しかし、当ブログは、できうる事実確認の作業は行っているという前提で、ルイス少年の書いた『手紙』は実在し、そこにはルイス少年或いはローレンツ親子の並ならぬ思いが込められている、いう認識のもとで、この記事の公開を継続してゆくことを選択し続ける所存です。


転載終わり


noteをご覧くださりありがとうございます。基本的に「戦う」ためのnoteですが、私にとって何よりも大切な「戦い」は私たち夫婦のガンとの戦いです。皆さまのサポートが私たちの支えとなります。よろしくお願いいたします。