句:『●●いいね罪』

 『●●いいね罪』とは、Twitterで見られるある種の態度につけられた軽蔑や揶揄を含む名前
 ●●の部分には人の名前や作品のタイトルなど様々な名詞が入る。

 かなりネガティブな評価を伴うレッテルなのであまり紹介したくないし、筆者自身が誰かに向けるつもりもないが、備忘も兼ねて記しておく。

 例えば性差別的な内容のツイートがあったとして、このツイートをした人が批判されるまではいいだろう。そこから更に、そのツイートにいいねをつけただけの他のアカウントもまとめて性差別者として扱う動きがある。
 あるいは、ある漫画家のファン(を自称する人)が漫画家のいいね欄を自分から開き、そこで意に反するツイートを見かけて勝手に幻滅するような態度。

(直近の事例ではターゲットになった人が誹謗中傷に耐えかねて鍵をかけたりアカウントを消したりしているので、具体名は避ける)

 上記のような姿勢には幾つかの問題がある。

  • いいねが必ずしも賛同を表すとは限らないこと。ツール(ここではTwitterのこと)の使い方は自由なはずだ。

  • いいねを発言やリツイートと同等に扱っていること。AのツイートにBがいいねを付けたとして、それは明らかにAのツイートであってBのものではない。なのにBを叩くのは道理が通らない。

  • 評価基準が主観的なこと。批判する側がそうだと思っただけで差別/誹謗中傷/犯罪と見なし、ろくに真意を問うこともしない。

  • 幾つかの例で、Bの作品やサービスへのキャンセルを呼びかけていたこと。仮にBが差別主義者であったとしても、それを以て社会的制裁を加えようとするのは私刑である。

第三十一条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

日本国憲法 - e-Gov法令検索

 なお『●●いいね罪』という言葉は、Bを叩くXからBに向けられるものではない。X→Bはもっと苛烈だ。差別主義者とか性犯罪者とか、そういう極めて強い言葉が投げられる。

 そのような口撃を向けるきっかけ・根拠が、『●●にいいねを付けていた』ということだけ。だから(Bにとってはたまったものではないが)周りから見れば奇妙に感じられてしまう。
 B→Xに何らかの交流があってそこで行き違いや齟齬が生じたわけではないのだ。むしろ直接のやり取りは無いままに、ただBのいいねを(自発的に)観察したXが憤っている、という状況。これを批判的に表した略称が『●●いいね罪』である。

 ただし、人によってはXに狂気を見出してドン引きしたり、滑稽なものとして嘲笑するような態度でも用いているようだ。
 だから少なくとも筆者は使わないつもりでいるし、あまり広まらないことを願っている。もう手遅れかも知れないが。

 以上。

Twitterだと書ききれないことを書く