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個人情報保護の無い国
ある税理士の方が、マイナンバーに関連して次のようなことをツイートしていた。
前段には同意する。やり方によっては確定申告も年末調整も不要に(または極めて楽に)なりうるなど、データの紐づけを行えば便利になるのは間違いない。
しかし後段には大きな問題が2つある。
『データ連携に反対する奴は後ろめたいことがあるんだ』という蔑視を含むこと。
まともに(?)生きててもデータ連携されたら困ることな
競技における公平と平等
スポーツを観戦していると、ジャッジに納得しがたく感じることはままある。今がシーズンのフィギュアスケートのように、審査員の採点が挟まる種目はその傾向が強い。
『納得いかない』といった声はあちこちから聞かれるし、ここまでなら筆者も漏らすることはある。
ただし、しばしばついて回る『八百長』や『出来レース』──つまり『不公平なジャッジが行われたのではないか』という疑惑は別だ。
この疑念、気持ちは
包括的性教育に対する批判的検討
包括的性教育(英:Comprehensive Sexual Educationの略)というカテゴリの歴史はまだ浅く、ここに何が含まれるかは時期によって微妙に異なる。
語義の細かな移り変わりは本稿の主題ではない。
原点だけを簡単に踏まえておこう。EUが公開している『Sexuality education across the European Union: an overview(PDF直リ
事実/事実認定/優しい嘘
※おことわり※
拙稿『犯罪者呼ばわりという人権軽視』の補足的な内容を含みますが、ジャニー喜多川氏および事務所の件は話題の中心ではありません。
特に最後においた本題は全く別の社会問題についてです。ご了承ください。
1◆“事実”とされる事実認定 前稿はとても多くの方に読んで頂き、正直なところヒヤヒヤしたものの、おおむね好意的に評価して頂いた。まずは御礼申し上げる。
もちろん批判的な声もあっ
犯罪者呼ばわりという人権軽視
言うまでもなく、基本的人権は所与のものである。生まれたての赤ん坊でも寝たきりの老人でも、基本的人権は等しく持っている──たとえ凶悪な犯罪者でも。
ただしこの原則を例外なしに適用すると犯罪者が野放しになってしまう。国民の安全や安心も守らなければならないので警察や司法は必要で、しかしこれらは“劇薬”だ。
行き過ぎれば“治安”などを名目に国民の人権を侵害してしまう──というより、刑務所や少年院に
人は複数の性なんて持てたっけ?
(前置き)
かつては自明と思われていた『性別とは何か』にも、今や色々な考えの人がいる。
最初に筆者の関心をはっきりさせておくと、『ある個人が社会から男性または女性として扱われる時、その最終的な決定要因は何か?』となるが、このように問題を限定してさえ、誰もが納得する答えはありそうにない。
また、定義や観念を問うことで実際的な問題から離れてしまう懸念もあった。
そこで(バカバカしく見える
LGBT法案の新旧逐語比較
本稿は、次の2つを細かいレベルで比べつつ読むものである。
2023年6月7日に内閣から衆院に付託された『性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案』
長く『議連合意案』などと呼ばれていた(維新・国民案が入る前の)『性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案要綱』
なお、『細かなことは置いといて概要を掴みたい』方は(筆者のもの
公共スペースのエレベーター利用:“優先”“ゆずりあい”よりも優先して欲しいのは
先月から公共スペースのエレベーター優先利用に関する話題が盛り上がっている。
その話題を追いかける中で、ダイレクトに関連する署名募集がchange.orgで行われているのを知り、拝読した。
【車いすやその他交通弱者のエレベーター問題を環境の整備で改善しよう!】 国交省にシンボルマークと優先表記の大型化を求めます
『シンボルマークと優先表記の大型化』。
後述する理由により、筆者はこの提起内
『狭義のゲイ(?)』から見るアイデンティティ政治の歪み
LGBT(Q+)という語は広く知られるようになった。
Gがゲイの頭文字であることも。
では、ゲイとは何か?
──おかしな問いに感じるかも知れない。
筆者も上のように理解していた。男性の同性愛者は例外なく含まれるカテゴリーだと。
主体および対象にトランス男性(FtM)を含める含めないの議論はあるにせよ、それを除けばこのシンプルな定義に異論があるとは考えていなかった(その点は反省である