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20231118

ふと思い立って、夕暮れどきに銭湯へ

実はわたし、温泉がだいすきなんです
ほんとうなら温泉郷で源泉かけ流しが最高なんだけど、東京の銭湯のなかには、黒湯といって天然温泉が出るところもあるから、時折ふらっと立ち寄っていた

安定期に入り、日を追うごとに子がお腹のなかで育っていくにつれて、なかなか遠出は難しくなるころ
おおきな湯船で足を伸ばし、のんびり浸かってはやすらぐという贅沢を味わいたい一心だった
その一方で、もうじき自分のペースでゆっくり入浴することなど夢のようになるのは想像に難くなかったから、この自由きままな羽伸ばしのひとときが名残惜しかった
そんなわけで、身体が許すかぎり、おそらく臨月ギリギリまで足を運んでいたのを思い出す

おむつのこと、おぼつかない足取り、不慣れな環境に身を置いたときの当人の反応、湯冷めやのぼせの心配…
温泉宿ならまだしも、街の銭湯にちいさなひとを連れていくのはさまざまな側面から心配は尽きないから、どうしたって及び腰になる
とはいえ、ゆるりと湯に浸かりたい気持ちは募るばかり
そんな葛藤を抱え、もどかしく思ってきた

けれど、なんだかきょうになって急に、「いまならいける!」という気になって、敢行するに至った

受付の方におそるおそる尋ねると…
「湯船に入る前におしりをよくみてあげてください」
「床がすべるので注意してくださいね」
との注意を添えて、子連れ入浴ご快諾くださった
晴れて、坊やの東京銭湯デビューと相成りました

運良くはじっこのロッカーが空いていたので上着やら荷物を預け入れ、子を脱がせ自分も支度をし、さぁ浴場へ

最初こそつるんといってヒヤッとしたけれど、そのおかげで慎重になったのか、騒ぐことなくおとなしく洗わせてくれた
洗い場のみならず浴槽にいるときも、周りのみなさんはみな好意的なまなざしを向けてくれて、近くにいらした方は話しかけてくれたりもして
いつもの好奇心旺盛な果敢さがナリをひそめて、普段よりもおっかなびっくりにふるまう子もまた、愛らしさにあふれていた

無事に済ませて、身体を拭いて上がる
同伴した母に子の面倒をみてもらいながら、わたしもそそくさと身支度を整える
その傍らに子へと目線を向けたら、なんと年配の他のお客さまにドライヤーで髪を乾かしてもらっていた

放っておけないというか、なんだかわからないけれど構いたくなるようなところ
それはもう、彼の生来のものだろう
親としてはもちろん、ひとりのにんげんとして客観的にみても、いつもながら感心してしまう
天性のギフト、どうか本人にも大切にしてほしい

森と同様に、銭湯という社会でもまた、彼はたくさんのことを吸収して糧にしている

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