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湿度と香り─沖縄暮らしで選んだ香水

夏向けに使っていた爽やかな香水が甘く感じる……?

季節によって香水を変えるのはごく普通のことですが、沖縄に引っ越してからここまで嗅覚の反応が変わるとは思いもしませんでした。
ちなみにそう感じた香水が、ルクヴォンのリマーカブルパルファムのひとつであるサンタクルス。

グレープフルーツ、ベルガモット、ユーカリ、シダーウッド……甘さを感じさせる要素はどこにもありませんが、柑橘の後ろにほんのりとした甘さのある香水。沖縄の気候だと、このほんの少しの甘さを嗅覚が拾っていたわけです。

湿度が高いときの方が、香りを強く感じやすいのは確か。パッケージに記載される香料を読み込むだけでは何も判断できなくなった私が、あれこれ試香しながら選んだ香りをいくつかご紹介していきます。

ZARA:ベチバーパンプルムース

まずはJO LOVESとのコラボで知られるラインから、ベチバーパンプルムース。文字通り、グレープフルーツとベチバーがベースのシンプルかつ爽やかな香りです。
ビター、ひたすらビター。果皮の苦さが前面に立っています。ミドルのマンダリンは柑橘としては少し甘さを含んでいますが、ほとんど気になりません。嫌味がなく、例えば職場などでも使いやすいタイプの香水ですね。

ただレイヤリングを前提に調香するジョー・マローンらしく、単体だとやや退屈な印象も。そこで2本目を探す旅に出ました。

ルクヴォン:アクアミレフォリア

冒頭でも取り上げたルクヴォンは、かの名調香師ジャン=クロード・エレナが監修を行っているブランド。そのため手頃な価格ながらも品の良い香りばかりで、個人的にはイチオシです。

アクアミレフォリアは「ボタニカルコロンアブソリュート」というラインの1つで、このラインは世界の神秘的な庭園からインスピレーションを受けているのだそう。エレナ氏と庭……ちょっとエルメスの名香を思い出してしまいますよね。私が手に取ったのも、それがきっかけでした。

バビロンの空中庭園がテーマのアクアミレフォリアは、青みのある柑橘で始まります。ほどなくしてスパイシーな甘みがほんのり顔を出す。初夏の雨がイメージにあるとされている通り、夏の雨のむせ返るようなグリーンを感じます。シトラスが中心の香調ですが、ベースのウードが支えているのでしっかり香るのも嬉しいですね。

これは沖縄から戻っても夏の定番になりそうです。

ROOM 1015:スウィート・リーフ

アクアミレフォリアもいいけど、もう少し香りに遊びが欲しい……そう思ったときに注目したのがROOM 1015。クラシックロック好きの方はピンとくるかもしれませんが、ロックの「ある意味において」聖地とされるコンチネンタルハイアットハウスへのオマージュなのです。どんな逸話が残るホテルか、ご興味ある方は下記からどうぞ。

音楽をモチーフとする香りを揃えたROOM 1015のラインナップから選んだのがスウィート・リーフ。なんとカンナビスを効かせた香りです。
実際にはカンナビノールを除去した香料なのだそうですが、思ったよりハーバルな香り方をしますね。

トップはグレープフルーツとユーカリの弾け飛ぶような香り。次第にスパイシーさと樹脂様の香りが顔を出し、それに乗って燻したドライハーブが主張してきます。ここがカンナビスでしょうか。
ベースにはカシュメランやパチョリ。その昔ヒッピーたちが、マリファナ臭さを隠すために愛用したパチョリを組み合わせてくるのが個人的にはツボでした。

ミドルから樹脂を香らせてくるにも関わらず、思いのほか重さを感じません。沖縄の夏には厳しいかと思いつつ手に取ったのですが、いい意味で裏切られました。

ちなみにROOM 1015では、それぞれの香水をイメージする映像も公開されているのです。これが正にイメージ通り。ほかのアイテムも欲しくなりますね。

沖縄の夏でもくどく感じられなかった香水を3本ご紹介しました。
1本目と2本目は、香水初心者の方でも使いやすい香りです。最後の1本は好き嫌いが分かれますので、ご承知おきのほどを。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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