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海水温上昇が三陸の海にもたらす影響

こんにちは、タイム缶詰です。
昨年の秋ころから、ニュースや新聞の記事に、このような見出しを見るようになりました。

・「猛暑で海水温上昇 三陸わかめ、発芽遅れ 収穫伸びず生産者収入減も 宮城・気仙沼」(河北新報オンライン 2023/10/21)
・「三陸の海で進む”種の交代”海水温上昇の逆境に立ち向かう」(NHK 2023/10/27)
・「三陸なのに伊勢エビ、ホタテ養殖施設で相次ぎ見つかる…深水温2~12度高く北上か」(読売新聞 2023/11/18)
・「【ピンチ】海水温上昇で…ホヤ&カキが死滅 漁業への被害深刻に」(ミヤギテレビ 2023/12/12)

どれも海水温が例年より高いことが原因で、漁業・養殖業に深刻な影響が出ていることが取り上げられています。

今回は、海水温の上昇が三陸の海にもたらす影響についてと、今年の「番屋風蒸し牡蠣缶」製造についてご紹介します。

海水温が上昇している原因とは?

気象庁大気海洋部発行資料(2023年8月9日)

気象庁が東北地方の三陸沖で行った調査によると、2023年7月に行った調査で、平年より約10度も水温が高い17度になってることがわかりました。これは、30年間でもっとも高く、記録的な高さだそうです。
その原因として考えられるのは、黒潮暖流が北上していることと考えられています。

黒潮とは?

少し中学校の地理をおさらいしてみましょう。
「黒潮」は、日本の南にある東シナ海を北上して太平洋に入り、日本列島に沿って東側に向かう海流のこと。
日本近海を流れる代表的な暖流であることから、日本海流とも呼びます。
色は紺色なので、黒潮と呼ばれています。
一方、オホーツク海から日本列島の東側を南下する寒流を「親潮」と呼びます。
親潮の由来は、栄養塩が多く、魚類や海藻類を養い育む「親のような存在」に由来しています。色は緑や茶色がかった色をしています。

これら「黒潮」と「親潮」がぶつかる潮目が、岩手県の三陸沖。
暖流の魚も、寒流の魚も獲れる海域なので、「世界三大漁場」と呼ばれています。

黒潮が北上し海水温が上昇

海水温が上昇したのは、日本の南から流れてきた黒潮が、通常よりも北の方まで届いたことが影響しています。
黒潮は千葉県房総沖で日本沿岸を離れますが、2021年ごろから北上をはじめ、2023年春には岩手県沖まで達してしまいました。
なぜ北上したのか、その原因はわかっておらず、調査と研究が続けられているそうです。
ちなみに気象庁は、「地球温暖化と直接の関係はない」とみています。

高水温が三陸の漁業に与える影響、今シーズンは「番屋風蒸し牡蠣缶」製造が小ロットになるかもしれない

近年海水温上昇による深刻な影響を三陸で養殖されるワカメやホヤ、カキが受けています。
岩手県沿岸の地方紙『東海新報』(2024年2月29日)よりますと、
陸前高田市広田湾の
・養殖カキ水揚げ量、むき身、殻付きともに前年比約4割減と大幅に落ち込んだ
・イシカゲ貝減産
・ホタテは前年をやや下回り
・ワカメは生育が遅れている
とありました。
さらに、
「カキは身入り不良が多く、へい死が相次いでいる」
とも続きます。

タイム缶詰でも今の時期は「番屋風蒸し牡蠣缶」を製造しているのですが、カキの殻は3年物でも、いざ殻をあけてみると、実入りが悪かったり、小さすぎたり、身が無かったり。びっくりするとともに、問題の深刻さに悩まされています。

番屋風蒸し牡蠣缶

カキを仕入れているマルテン水産さんに、今年の缶詰の試作を持っていきながら話をしてきました。
当初から水温が下がらないことで死貝が発生、雪解け水や雨水が少なく、湾に流れ込む栄養分が少ないため身入りが悪いという話を聞きました。

今シーズンの製造はできないのかもしれない、できたとしても限定製造になるのかもしれません。
この缶詰を楽しみに待ってくださってる方々のためにも、できる限りのことを検討したいと思います。
製造の進捗については、また別の機会でご連絡させていただければと思います。

新しい商品化に挑戦

タイム缶詰は「陸前高田市水産加工業連絡協議会」に加盟していて先日もみんなで集まりましたが、魚も貝も海藻もいい話が一つもありません。
そんな中、唯一の明るい話題は今年初めて水揚げされる「養殖銀鮭」です。
新しい陸前高田のブランドとして育て行こうと話し合っています。
タイム缶詰では市内の水産加工で出る中骨を使った「中骨缶」を商品化できればと考えています。
しかし、海水温の問題はここでも、銀鮭は20℃を超えると死んでしまうため、いつ水揚げするのかが見極めが大変です。水温の上昇がゆっくりで、長く養殖できれば大きく成長させれますが、水温の上昇が早ければ、短い養殖期間で小さくても水揚げしなければならなくなります。
いずれ、水産加工業は海や自然と向き合って行くしかありません。常に新しい試みを続けていこうと思います。


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