「誰にも興味を持たれていない」という世界 #虎note

2021/2/5 15:00 教え子から連絡があった。

「思うように結果が出ない、どうしたらいいのだろうか。」

こういう相談があると、私がやることは常に2つ。

1. その人が作り出している、無意識の人生の枠組みを洗い出すこと。
2. そして、それを超えてその人がどんな人生を生きることに、コミットがあるのか。

私はこの能力に長けているので「貴方はデフラグ能力が凄いですね」とよく言われたことがある。人間の無意識の構造を見抜く能力は、私自身も我ながら優秀なのではないかと認めている部分はある。

会話の中で教え子が言った。
「私、一人になろうとするんですよね」
決して不器用なタイプではなく、人付き合いも満遍ない。

世界一周をしているような人で、日本人が他にしたことのないような記録を持っていたりもする。だがどこか哀愁の漂う雰囲気を持っていて、行動とのギャップに違和感を感じる人物でもあった。

会話が続くにつれて、彼女は自分で発見した。
「ああ、私って自分のことちっぽけだって思ってるんですね。」
自身に対して課している無意識のレッテルを自身で発見した瞬間だった。

そして、彼女は自分自身の中に在るパワーを発見した。彼女の人生は実際、色々な人にエキサイトメントや楽しさを提供するネタに満ちている。

「日本に1億何千万の人がいたら、貴方の経験を楽しいと聞く人は、1億人はいますよ。」

そう言って電話を切った。

そして、「自分もそうだな」と思った。
私なんてちっぽけで、誰にも影響を与えることはなくて、誰にも興味を持たれない、そういう風に生きてるな、と。

その時、思い出したことがある。
私は、逮捕されたことがある。誤認だったので懲役には行かなかったのだが、60日間拘留された。

何をどうしようもないという体験が、自分をちっぽけな存在だと、何にも抗えない無力な存在だと、留置所の真っ白な壁が私に言っているようだった。

そして、その後、留置所から出てきた時には当時付き合っていた彼女が浮気していて、そのことが原因で人生で初めてできた親友と距離ができ、その後働いた不動産屋(やばいとこ)で、100万ほどの借金を背負わされた。

その時は、ただ辛かった。

辛くて辛くて辛くて死んでしまいたい。

だのに、何故誰も私を助けてくれないんだろう、大事にしてくれないんだろう?私はそんなに価値のない存在なのか、意味のない存在なのか。
こんなに苦しんでいるのに、こんなに辛いのに……。

そんな孤独な時間を、2年ほど過ごした。

それを思い返した時に、気付いたことがある。
ああ、その時に私は自分で自分に言ったんだなと。

私はちっぽけで無力な存在だと。
そして、誰にも興味を持たれないような、価値のない存在なのだと。

そして、私が自分のことを無意識でそう思っている限り、私は本当には誰にも興味を持てないし、大事にはできない。そして、自分自身を大事にもしないのだと気付いた。

それに気付いた時「あ、胃が疲れているな」と思った。
先述のNoteのように飯も酒も丁寧に食べないので、内臓が恒常的に疲れている。そんなことが当たり前になるくらい、私は自分をいじめていた。

「人生に疲れた……」と思っていたが、自分を大事にしないことで、わざわざ自分で自分を疲れさせていたのだ。

人生で大事な人達が沢山いるのだが、決まって「自分を大事にしなよ」と言われていた。「なんで?何が?」と聞くと「そういう感じがする」と言われ、その度にどういうことなのか、よくわからなかった。
そして、こういうことなのだったんだと、初めてわかった瞬間だった。

そして思い出した、人生は楽しむためにあるのだと。これも先述の通り、人生は何のためにあるんだっけ、とよく思っていた。
どんなことも、結局は楽しむためにあるんだと、そういえば昔思った瞬間があって、そのことが心に戻ってきた感覚があった。

ああ、俺は自分も人も大事にしていいんだなと思うと同時に、自分の深い悲しみに出会って、部屋の中で静かに泣いた。

ひとしきり涙を流しながら、気付いたことが1つ。

電気が止まっている。

私は優秀に見えてとても間抜けなので、よく電気代を払い忘れる。

おかげで私は電気が止まったから泣いている貧困者、のような図でコンビニ支払いをする羽目になった。間抜けだ。

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