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【連載小説】ガンズグロウ vol.1「オフ会」

「合コン?!行く行く!」

「いや、正確には合コンじゃなくてオフ会なんだけどね……」

「男何人来るの?」

「6、7名だと聞いてますけど」

「くうぅーっ、久しぶりに燃えてきたぜ!」

「だから、さやか、合コンじゃないって……」


私の友人の一人、レナはパソコンでなにやらアニメやらの活動をしている。

そのレナがオフ会なるものを開くという。

もちろん男つき☆

彼氏がいなくて干上がってしまったわたしに愛の手が差しのべられたのだ。

これは行かねば……


当日はつけまもメイクもばっちり、微妙に清純派なスカートにブラウスでまとめてみました。


レナと待ち合わせの場所に着く。

レナはいつも通りの垢抜けないトレーナーとジーンズでやって来た。

「そんなんじゃ彼氏できないってー」

「いや、彼氏ならいるから。」

レナはゲームのパッケージを指差し、

「ガンズグロウ様は私の婿だから」

と断言した。

「いやいや、ゲームの話じゃなくてよ」

「三次元なんか必要もないわ!」

「……」

「ところで、行くはいいけど、話についてこれるかな……」

「なんとかなるっしょ」

という訳で会場へと向かった。



「お待たせしましたー☆」

「いやいや、待ってない、大丈夫だよレイナ姫」

「おい、レイナ姫ってだれだよ」

「私のペンネームだよ」

座って座って言う男のほとんどがデブ、メガネ、チェックのシャツにリュックサックだった。

「区別がつかん……」

そのとき、

「こちらの姫ぎみは……?」

どうやら私のことのようだ。

「さやかです!」

半ばどうなってもいいやと開き直る。

「さやか姫かぁ、もっとこちらに座ってくださいよ」

「だから、姫いらないってば」

通された席に座る。


「それでは、第一回、ガンズグロウオフ会を開催します!」


もうこの時点でついていけなかった。

「さやか姫はガンズのキャラではなに推しですか?」

デブオタが聞いてくる。

「ごめん、私そっち系詳しくなくて」

冷たくするわけにもいかず返事をする。

「あ、初心者なんだね、ガンズグロウっていうのは、宇宙からやってきた敵をみんなで殲滅するゲームなんだけど」

「ふうん」

「キャラ選びが大事っていうか、※△○〜」

みんなが同じ話題を振ってくる。

始まったばかりだけど、帰ろうかなと思っているときに、視界の端にいい男が写った。

いい男と言っても、この中にいるからそう見えているだけかもしれないが、とりあえず私は彼の横へ席をうつした。

「あなたもガンズグロウやるんですか?」

「うん、でも初心者だから、まだまだわからないことが多くて……」

「私なんてそんなゲームで遊んだことないですよ。」

「そうなんですね、じゃあ俺と一緒っすね。ところでアニメはなにに今季はまってますか?」

「あー、アニメも見ないんで……」

「それだったら、今、軽音部っていうアニメがあっていて、すごく面白くてオススメですよ!」

結局こいつもアニメか!と思った瞬間、

「それ、ティフニーの新作ですよね」

と私がつけているネックレスに突っ込んできた。

「そう、そうなのよー。やっぱりわかっちゃう?」

「はい、俺ティフニー好きでよくチェックしているんす」

「同級生でもわからないんだよ!すごい!」

「そうなんすか、ありがとうございます」

そのあとは、彼といろいろ話した。


なんだ、オタクでも普通の人がいるんじゃない。


私は彼の名前も、メアドすらゲットし忘れて居酒屋をあとにしたのだった。

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