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【小説】バージンロード vol.4「カミングアウト」

そんな毎日を経て、ブログに手を出した私の勢いはとどまることを知らなかった。

なんせ、一日中休みだ。することがないので更新頻度もあがるし、コメントへの反応も抜群だった。

徐々にブログの閲覧数も伸びていった。

毎日楽しい仲間とパソコンでじゃれあって、パソコンが命、のような生活を送っていた。

そうして半年が過ぎた頃、ブログ友達がイベントをしようと言い出した。

ルパン三世風タイトルメーカーというツールを使って一発ギャグを繰り広げて、反応が最も高かった人が勝者、という単純なゲームだった。

しかし、このゲームを通じて、私はのちに私の人生に多大な影響を及ぼす人物と出会うことになる。

私はもちろん全力でこのイベントに取り組んだ。

すべての笑いを俺のもとに!と。

実際受けはよく、コメント数もなかなかの伸びだった。

イベントは徐々に人数を増し、かなりの人の輪ができた。

そんな中で、私はとあるブログが参加していることに気づく。

それは、技術系のブログで、あんまりネタに関係ないように見えるブログだった。

が、なかなかしかし、お主、やるなぁというネタの冴え具合。

書いている口調から、女性なのか男性なのかわからない。

女性と判断して仲良くなろうと試みるが、ブラウザのことなど、私にはわからないことばかり書いているこの人にとっかかれる話題がわからない。

とりあえず無難なところで、ルパン三世ネタについてコメントする。

割りとすぐに返信が返ってくる。

暇人なのか、それともネット関連の仕事なのか……?

とにかくこの人物が気になった。

ブログを読み返してみても技術系記事ばかりで、ほんとに意味がわからない。

なぜこんな人がイベントに参加したのだろう?

それを知りたくて仕方ない。

知りたければ聞いてしまえ!

そう思い聞いてみると、『知り合いのAさんが参加していておもしろそうだったので』なるほどAさんが出所か……。

Aさんは、ソフト開発に励んでいる面白い人だ。

Aさんの友達なら、確かに……。

この日から私のコメントは増えていく。

どうやら、同じ県内に住んでいるらしい。

世界は狭いなあと思った。

そして気づいた。

同じ県内に住んでいるなら

会 え る

夢に見たブログオフ会ですよ!

早速メアドを聞くべく、鍵コメントでメアドを聞いた。

彼女は意外にもすんなりメアドを教えてくれたのだ。

わっほーい!と喜ぶ私。

この時まで相手が女性だと思ってました……。

初メールは俺らしく

『件名:わっほーい!

本文:メアドありがとう!これからよろしくね!』

と送った。

返事は

『俺こそよろしくお願いします』

え……。

『俺』って女性じゃないの?

いや、今時は自分のことを俺って呼ぶ女子もいるな……。

『もしかして、男性?』

少し間があって

『はい、男ですけど』

あぁー……やっちまったよ、男だよ……。

そのまましばらくは男としてメールをしていた。

彼が大学生で山の上にある学校に通っていることもわかった。

本が好きな、意外と普通の男性だということもわかった。

しかし、『俺ブログ』の書き手としては、これは会ってネタにせねばならんだろう。

という私のおかしな観点が、彼と会うことを後押しした。

そこで、私は彼をメイド喫茶に誘うという暴挙に出た。

『いいですよ』

と了解する彼。

ここで言っておかねばならぬことがあった。

『俺…いや、私実は、女なんですよ』

『そうですか』

思い切りスルー。がくーっと来たけど、とりあえずメイド喫茶に行く約束はとれたのでよしとしよう。

女ってところ、驚いてほしかったな……。

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