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【小説】バージンロード vol.7「入院」

毎日来てもらうこと、それはガソリン代がかかることだった。

バカな私は、私と同じ感覚でレンのことを考えていた。

レンは私と会うために食費を削っていた。

そうとも知らずに毎日呼び出し続けた私。

12月頭にレンの誕生日がある。

私はもちろんプレゼントを用意していた。

渡したら

「ホントに貰っていいの?」

と目を輝かせながら言う。

「もちろん!」

と私は答える。

その後、車で話し込んでいたが、レンがお腹が痛いと言う。

まだ車で帰れる程の痛みらしかったので、名残惜しいが、解散となった。

それが、大変なことになった。

レンとはメールを続けていたが、それも困難になるほど痛いと言うのだ。

運転などできる状態じゃない。

私はすぐにタクシーか救急車を呼ぶように指示する。

ホントは私が駆けつけたいところだが、こんな時間にどこにいくのかと怒られるので行けなかった。

レンはタクシーを呼び、病院に駆け込んだらしい。

そのあとは痛みが酷いからとメールもやめてしまった。

私は心配で眠れない。

翌朝、レンからメールが入る。

お腹の調子は良くなったけど検査のために一週間入院するとのこと。

私は仕事に復帰していたので、仕事の後に花屋に寄りミニアレンジメントを作ってもらい、急いで病院へと向かった。

レンはすっかり元気な顔をしている。

昨日は点滴が効かなくて大変だったらしい。

感染症かの検査などがあるので一週間入院とのことだ。

私はレンが無事だったことにホッとした。

のちに、これはレンが無理をした時に出る症状とわかった。

食費を削って会いに来てくれた代償なのだ。

でもそれは、この時には知るよしもなかった。

私は次の日は半休をとって美容室に行くことになっていた。カラーを強めの赤にしてもらい、パーマをかけた。

ちょっと派手になってしまったが、このくらい範疇だろう。

似合うと言ってくれるかな?

私は美容室を出てそのままお見舞いに行く。

すると、今日は親が来て入院の手続きなどをするということだ。

私は帰ろうかなとも思ったが、せっかくならご両親に挨拶をしようと、待ち構えていた。

両親はきた。

が、私には目もくれず、会釈の一つもない。

やっぱり髪が赤すぎたんだなんて自己嫌悪に陥った。

そんな私の気持ちを知ることもなく、ご両親は入院手続きをすませると、アパート掃除して帰るから、とレンに言った。

こうして初めてのご両親との顔合わせは終わった。

私は毎日面会に行く。

看護師さんたちにからかわれるほど毎日行く。

「毎日来てくれてありがとー」

と言うレンに、私はとんでもない発言をする。

「彼女だから、来て当たり前だよー」

レンは特に否定もしなかった。

そのあとは、弟からのメールに勝手に返信したりした。

レンは嫌がってたけどね。

レンが退院してから、私はソウの家とレンの家とを行ったり来たりするようになる。

それも、一日のうちに、だ。

夕方五時半に会社を終えると、二時間半かけてソウの家へ。

そこから一時頃アパートを出て、高速に乗り一時間ほどでレンの家に行くという荒業を成し遂げた。

しかも、ほぼ毎日。

決めてあった12時門限にびびりながら、門限を破きまくった。

二人とも捨てがたかった。

それに、二人とも私の行動に何も言わなかったから、関係はそのままになった。

そのうち終わらせねばならない関係だけど……。

二人にはそれぞれいいところがあり、別れたくなかった。

それが私のわがままと知っても。

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