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【小説】バージンロード vol.10「大輔」

私はダーツを趣味にしていて、いろいろな人と交流することが多かった。

mi○iなどでダーツが趣味のひとと絡んだりもしていた。

その中の一人が地元が一緒で、お盆休みに帰省するので、会おうということになった。

バスの停留所でその人を待つ。

その人とは大輔のことだった。

大輔はmi○iでかなり仲がよく、メアド交換をしてお互いの写メ交換もしていた。

だからバスから大輔が降りたときに、一発であれだ!とわかった。

大輔と会うことはソウにもレンにも言ってあった。

そのときはそんな展開になるなんて考えてなくて。

大輔はかなり私の好みで身長が高く、顔もそこそこだった。

それに抜群の運動神経だった。

彼はまだダーツ初心者だったが、それでも私といい勝負になるほどうまかった。

大輔を乗せると、大輔の実家へ向かう。

他愛ない会話をしながらも私の胸は高なった。

大輔の実家で違和感なくご飯をいただくと、早速車でどこかに行こうという話になる。

いつも行くダーツバーはまだ開店前だったため、違うダーツの場所へ行く。

そこで大輔が初めてのマイダーツを購入した。

「やっぱり初めてのマイダーツ、どう?いいでしょ?」

「いいねー。なんかカッコいい感じ」

「マイダーツが手に馴染んでくると、多分もっとグッとよくなるよ」

そんな会話をしながらいつも行くダーツバーに行く。

ここは大輔の実家からも近く、いつも私が利用してるので見せておきたかったのだ。

「コーラで。」

「じゃあ、俺もコーラで。」

「真似すんなって」

二人で笑いあった。

結局そのバーに夜までいると、今度は大輔の車でドライブする。

時刻は深夜を回っている。

最近母はあきらめたのか、門限電話もしてこない。たまにメールがくるくらい。

車は静かな公園の横の駐車場にそっと停めた。

大輔の車はランクルで、かなり大きかった。

そして、流れで私は。

またいたしてしまったのだ。

それから三日間はほとんど家に帰ることなく、大輔の車で車中泊した。

シャワーなどはダーツのあるネカフェで浴びた。

その間、ソウからはあまり連絡がなく、レンからは連絡があったが、ほとんど返事をしなかった。

四日目、大輔が帰る日に、私が一番最初にいったダーツバーへ行くとレンから電話があった。

私はそれに出ると、

『大輔といるから、来ないでね』

と言った。

それだけで私の有罪はわかってしまった。

レンがすごい早さと勢いでダーツバーにやって来た。

そして、大輔に向かって

「どういうつもりですか?」

と静かに怒りを溜めたまま言った。

大輔には彼氏がいることは言ってあった。

大輔は

「なんのこと?」

ととぼけて見せた。

「三日間、あなたといたことはわかってるんです。それはどういうつもりなのかって聞いてるんです。」

「レン、やめて、悪いのは私なんだから」

「あなたのことはあとでゆっくり話し合うから。」

その言い方の威圧感に背中がぞくぞくした。

「俺はなんにも関係ないよ。しらけたから俺帰るわ」

そのとき、レンが大輔につかみかかった。

身長が一回りも違う彼を片手で持ち上げると、こぶしを握った。

「やめてー!!」

私の号泣した叫び声に我に返ったレンが、手を離した。

大輔は、

「お前みたいな女は気違いだな、最悪」

と、私に一言言って店を出ていった。

他にお客さんが一人もいない時間でよかった、とも思った。

振り返ると、レンがものすごい形相でこちらを見ていた。

言い訳できない。

殴られるかも…と思ったが、とりあえず店を出て、アパートに帰ってから話そうということになった。

アパートに帰ってもすごい形相のままのレン。

今までこんなに怒るとこ見たことがなかった。

家に帰るとストーブが原型をとどめないようなほど、ストーブを蹴ってどなり散らした。

でも結果として数日後には、なんとか仲直りをしたのだった。

ソウに言うと

「またそれ?」

と言われた。

それとは男関係のこと、という意味である。

それだけ言うと、あとはじっくり話を聞いてくれた。

私が大輔に傾いたことも、レンのことも、全て。

それでもソウは全て許してくれたのだった。

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